アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

月末企画! 今月のイチ押し❗️(2017年2月版)

新企画です。

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           (2017年2月3日  診断から約10年)

 

思いもかけないような貼り絵が生まれる時があります。

これ…。
今月1番の異色作❗️
元は何だったか?
すぐお分かりになる方も多いのではないでしょうか。(笑)
スーパーのパン棚で見かけた事がありますね。フジパンのぶどうくるみばん。

ジジもおママも美味しかったでしょう。(笑)

 

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  ジジの目撃談では…。

   朝食後に食卓で包みを開き、いきなり切り抜き出したそうです。
そして配置から糊付けまで、あっと言う間だったとか…。

 

    私が言うのも何ですが、この絶妙な構成はもはや神業です。(笑)
しかし、オネコと私は感動するのと同時に絶望感に襲われました。

 

  おママにとって、文字は遂に幾何学模様と同じになってしまったのか⁉️
文字は形ですが、言葉と音を宿すもの。
「ぶどんくぱつみる」では意味不明です。しかも「う」の上部分が有りません。

(笑 涙)

 

  後日、改めておママにこの貼り絵を見てもらいました。
「ぶどん?くぱつ?るみ? ぶどん?くぱつ?みる?何かしら?変ね。」
眉をひそめるおママ。あらっ!文字と認識していますね。
図形の扱いだったのは、制作中限定だったようです。
良かったわ〜。

 

  御本人はあまり気に留めてもいないようですが…。
ともかく…、
この「ぶどんくぱつみる」を、

〜おママの貼り絵、今月のイチ押し〜   に決定❗️

パチパチ👏

電気ケトル2(2017年2月)

   電気ケトルの後日談です。

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 <オレンジ色は何を使ったか謎です。

ゴミ箱を漁って残りの部分を探しましたが見つかりませんでした。>

        (2017年2月3日  診断から約10年)

harienikki.hatenablog.com

 

ジジの話では…。

 

  2月4日の午前中、2階からおママがバタバタ下りてきました。

すっかり取り乱したおママが言うには、

「水道の水が止まらないのよ‼️」

  一階のパソコン部屋でくつろいでいたジジには青天の霹靂です。

慌てて階段を上がると、ダイニングテーブルの下に水が溢れていました。

それも広範囲に…。

(水道ではない。)

  まずは一安心ですが、この水は何故?何処から?きたのでしょうか。
おママには一応聞いてみたものの、
「どうしたんだろう…?」
覚えているはずもなく…。

 

もう状況証拠から推理するしかありません。

 <状況証拠>

◉卓上には電気ケトルが本体と電源プレート(台座)が離れた状態で置いてある。

  ジジはこんな置き方はしない。
電気ケトルがほぼ空である。
◉コードの先のプラグが曲がっている!
◉おママのズボンや靴下がびしょ濡れ。

 

<ジジの推理>

  おママはコードに足を引っ掛け、電気ケトルは電源プレート(台座)もろともテーブルから落下。そしてお湯は溢れた。
おママは暫く茫然と立ち尽くし、やおら本体と電源プレート(台座)をテーブルに載せてから階下に向かった。その時、記憶は消滅…。

 

  ジジの脳裏にはそんな情景が浮かびました。
とにかく、床をタオルで拭く。おママに着替えをさせ、

濡れたものは全部洗濯機にぶち込んだ頃に、

私がのこのこ現れたのです。

「本当に大変だったわね。お疲れ様です。」
ジジの顔には疲労の色が滲んでいました。

 

   転倒水漏れ防止仕様でしたが、もしかしてロックが外され、お湯が注げる状態だったのかも知れません。
お湯が適当に冷めていたから、おママは火傷せずに済みましたが、

ひとつ間違えば大変な事態を招いていました。
おそろしや〜。

 

   今回はテーブルから床にコードを垂らして、コンセントにプラグを差し込んだままにした事が原因でした。不注意と言えば、反論の余地はありません。

  ただ…実家は築80年の古い家屋。コンセントは少ないく、私が子供の頃からタコ足延長コードが部屋や廊下のあちこちを這っております。

ジジとおママは高齢ですが、長年培った習性により、

今まで殆どコードに足を引っ掛ける事はありませんでした。

 

でも、もうそんなことは言っていられませんね。

 

   私は曲がったプラグの差込をペンチで直しながら、電気ケトルの安全な置き場を思案しました。

今までガラクタを置いていた木製スツールを移動して、その上に載せる。

そしてコードは壁際を這わせましょう。
私が洗濯物を干して、電気ケトルの置き場を作っている間、おママはご機嫌で貼り絵をしておりました。

 

  結局、電気ケトルは壊れもせずに、今もジジに愛用されています。

 

   新参者が移動してテーブルから消えたので、古参のステンレス魔法瓶は以前より幅を利かせているようです。勿論、おママはこちらを愛用中。

 

  相変わらず、現在ヤカンから魔法瓶にお湯を入れているのはジジだそうです。

電気ケトル1」にも同じことを書きましたが、

くれぐれも気を付けてくださいね。ジジ…。

 

パーツの組み合わせ

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<菱形をいくつかまとめて切り、この構成はすぐ出来たようです。 >

            (2017年2月4日 午前  診断から  約10年) 

 

   貼り絵をする時、おママはまずどうしているのか?

最近、気になったので観察してみると、

まず、使いたい紙からイメージに合うパーツをまとめて切り出すようです。

 

  それを和紙ハガキの上で、あれこれ指で動かしながら配置を決めていきます。

その作業が一番楽しいようですし、一番骨が折れるようです。

1枚完成させるのに、順調にイメージがまとまれば、30分から1時間で出来ます。

しかし、複雑なデザインにはまり込んでしまうと、いくらやっても配置は決まりません。

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 (2月4日午後、もう1枚菱形を使って配置を決めようとしています。

直ぐ出来そうな感じだったのですが、どつぼにハマり頭が痛くなったらしい。

赤い菱形は福砂屋さんカステラの包装紙(写真手前)の裏面を使っています。)

 

 

  例えば、午前に配置がうまくいかず、それを途中にして昼食を食べる。

食べると悩んでいたことも忘れて、まっさらな気持ちで貼り絵に向かうと仕上がる。

そんな事はよくあります。

 

  例えば、上手く配置が気に入っても、

糊付けが終わらないうちに昼食を食べると、

午後は気持ちがすっかり変わって、全く違うデザインになってしまう事も多いです。

 

  近頃は以前より単純な構成の作品が増えてきたように思います。

おママが楽しめる貼り絵をマイペースに作ってくれたらいいなぁと思います。

 

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<真ん中の写真にみえる制作途中の貼り絵の完成バージョン。イメージはずいぶん変わりました。>

     (2017年2月5日  診断から約10年)

 

 

電気ケトル1(2016年11月)

   皆さん、卓上のポットはどんなのをお使いですか?

 

    実家は長年、ステンレス魔法瓶を使ってきました。
ヤカンに沸かした熱湯を移し入れて保温するタイプ。電気を使わないポットです。

 

    朝食後の後片付けの時に、ヤカンに残ったお湯を再加熱してステンレス魔法瓶に移す。これが長年おママの生活サイクルに組み込まれた動作です。
腕力はまだあるから出来ますが、考えたら危ないですね。

 

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     (2016年11月10日  診断から約9年10ヶ月)

 

   昨年の11月の事。

「今の魔法瓶は出が悪くなったし、重たいし、新しいのに変えたいんだが…。

電気ポットにしようかな。小さいのでいいかなぁ。」
ジジが言い出しました。潮時ですね。

   おママは沸騰する前のお湯を沸いたと勘違いして魔法瓶に入れる事も度々です。

熱いと思って注いだらぬるかった‼️なんて事も度々ですもの。(笑)大賛成。


「それなら電気ケトルにしてみる?」

 

   帰りに意気揚々と家電量販店に寄った私ですが、

ズラリと並んだ電気ケトルの前でハタと立ちすくんでしまいました。

本当に良いのか?
 

   おママはまだ、ヤカンで湯を沸かし、

ポットに入れるという能力が残っているのだ。それを止めさせるのが正解なのか?

今まで目の前に有ったヤカンやポットを取り上げて良いものか?

何より、おママは新しい物を受け入れられないかも!

悩み出したら果てしもないどツボにはまる私。

この日は買えずに帰宅しました。

 

 しかし、結局一晩ぐちゃぐちゃ考えた末に、電気ケトルを買いました。

転倒水漏れ防止仕様。安全そうなのをね。

おママが拒絶したら、私の家で使ってもいいか…。

 

  それで…、私が悩んだ件ですが…。

ジジは電気ケトルを愛用中。
おママは魔法瓶を愛用中。やはり新しい物は認識できません。

でも、さすがにおママからヤカンと魔法瓶を取り上げるのも忍びない…。

 

   かくして年が変わり2017年となっても、

電気ケトルとステンレス魔法瓶の共存関係は継続中です。

その魔法瓶に熱湯を移す役はジジに変わりました。

ジジ、気を付けてね。

 

 

 

記憶についてNo.3

   

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              (2017年2月17日  診断から約10年)4連作の1つ

 

  記憶についてNo.2で、

海馬の底に沈んだ記憶がポンと引出しから飛び出すようなお話をしました。

 

harienikki.hatenablog.com

 

しかし、この2年間でおママの記憶の多くが損なわれています。

だから、もう引出しが急に開く事はないと思っていました。
ところが、あったのです。

それもつい最近。

 

◉ ずっと思い出しもしなかった過去の事を、突然思い出したりしませんか?

episode 2(2017年2月17日)


   夜、テレビでニュースを見ていたジジとおママ。

画面に日銀が映し出されると、

おママは堰を切ったように銀行勤務時代の事を語り始めたそうです。

   

  おママは高校(初めは女学校)を卒業して日本勧業銀行にお勤めしました。

殆どの女子行員は窓口係でしたが、おママは本店(内幸町)の外国為替課に配属されました。男性ばかりのなか、日銀との連絡役という、実務を担当しました。
日々、輸出入関連資金の為替や書類をまとめます。

そして、日本橋にある日銀の外為まで通うのです。
時代は昭和20年代後半から30年代初め頃。

ネットもなければ、銀行内の電話回線も多くありません。

順調に処理できれば良いのですが、問題が発生する事もあります。

そんな時は、日銀から日本橋の勧銀支店に走り、電話で本店の指示を仰いだそうです。

やり甲斐のある業務を任され、充実の日々だったのでしょう。

 

この話、オネコも私も若い頃に何度も聞いています。
おママにとって矜持とも言うべき大切な時代の思い出です。

 

認知症と診断されて10年。それでも、おママのプライドを形成する大切な記憶は失われていないのだと思いました。

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(2017年2月16日 診断から約10年)4連作の1つ

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 (2017年2月17日 診断から約10年)4連作の1つ

harienikki.hatenablog.com

 

記憶について No.2 (2015年10月15日)

  記憶について…。

あれこれ考えるこの頃…。

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      (2015年10月14日   診断から約8年9ヶ月)

 

◉  ずっと思い出しもしなかった過去の事を、突然思い出したりしませんか?

私はそんな時、引出しがポンと開くような感じがします。

おママにも、そんな事がありました。

 

episode1(2015年10月15日)

   オネコにはモモちゃんという孫がいます。
スマホ時代は便利ですね。一緒に暮らしていなくても、日々可愛い写真や動画が送られてきて、私もよく見せてもらうんですよ。

 

  2015年10月、この月もオネコはおママと一緒に歌舞伎を観に行きました。

2人のお目当ては夜の部の『壇ノ浦兜軍記』、坂東玉三郎の阿古屋でした。

歌舞伎座への往きの電車の中での事。

オネコのLINEに孫娘の写真が送られてきました。

当時、生後8ヶ月。可愛い盛りですね。

    いつもはひ孫の存在すら忘れているおママですが…。

「ほら、ひ孫ちゃんだよ」

オネコが写真を見せると、おママは思いがけない事を言ったのです。

 

「モモちゃんね。」

 

奇跡か空耳か?
(私は今一言も名前を言っていないのに!)
オネコはびっくりでした。

これなどは、おママが一生懸命に引出しをこじ開けたと言うより、

思いがけず開くのでしょうか?

  まさに、引出しがポンですね。
人間の脳、そして記憶って不思議ですね。

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      (2015年10月14日 診断から約8年9ヶ月)

記憶について No.1(2007年頃)

 記憶って案外いいかげんなものかも知れませんね。アルツハイマー認知症ではない私達でも、記憶に強弱が有ります。なかなか覚えられない事もあれば、すぐに頭に入って長く忘れない事がある。この差って何なのでしょうか?

 認知症はおしなべて直ぐに忘れるように思っていましたが、

おママにもこの記憶の強弱がちゃんと有りました。

2007年の事です…。

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  (2007年 6月頃 診断から4、5ヶ月)


◉日常の些細な事や行動は直ぐに忘れる?不安感が記憶に影響する?

episode1  (2007年夏)
珍しくポテトサラダを作ったおママ。自分で作って盛り付けておきながら、
「あら、誰が作ったの?」
本人に記憶はなくとも、ジジに言わせればとても美味しかったそうです。

 

episode2 (2007年 夏)
 オネコと近所へ買い物に出た夕暮れ時、パンが家にあるかどうか気になり、おママは繰り返し聞きました。
「パンは有ったかしら?」
「あったわよ〜。」

と何度答えても、おママの記憶には残らなかったそうです。

オネコは携帯から留守番をしているジジに電話をして、

おママに自分で確認してもらったのですが…。

「パンはどうだったかしら?」

最後まで、その有無は記憶出来ませんでした。

 

◉強く印象的な事や嬉しかったり楽しみな事は比較的長く記憶している?

episode3 (2007年 夏)
 この年の8月にオネコはおママにとって楽しみなお出掛けを企画しました。

坂東玉三郎の舞踊・鼓童の和太鼓コラボ公演「アマテラス」を観に行くのです。

私もこの話に乗ってアズキと一緒に御供しました。
おママはよほど嬉しかったのか、チケットを取ってから当日まで、

この予定を忘れませんでした。

 しかし、チケット代をオネコに払ったかどうかは忘れ果て、会う度に

「あげたっけ?」「払ったかしら?」

を繰り返していたそうです。

 そして、当日はご機嫌で観劇し、翌日になっても
「満員だったわね~」
とか玉三郎がどうの太鼓がどうのと話していました。

 

 これらはほぼ同時期の話です。

何度、聞いても記憶が短時間で消えてしまう。

それに相反する様に、一定の期間に亘って記憶が保たれる場合もある。

この差は何なのだろうか?
やはり、おママの気持ちが大きく関わっているように思います。