アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

スロープの途中で

f:id:harienikki:20170422000413j:plain

  (2017年3月30日 診断から約10年1ヶ月   これは文章中「これは黄色の三角が大きすぎるでしょ。良くなかったわ。」と批評していた貼り絵です。そんなに悪いとも思えませんが…。(笑)中央の赤字水玉柄の三角は透明のポリ素材で、何かお菓子の袋から切り取ったものかも知れません。)

 


おママ、少しもどっているね。でもまた、口うるさくなったね〜。
これは前記事の、ジジの呟きです。


   アルツハイマー認知症歴10年のおママですが…。2月中旬頃から、少し頭がはっきりしているような気がします。
気のせい?希望的観測かもしれませんね…。(笑)

今までもこう思う事はありました。

  これまで10年の経過を考えれば、おママの進行はそれほど速くありません。
なだらかなスロープを降りるように下降線をたどり、しばらく(1年から数年のスパン)横ばいになります。そして、まれに若干症状が良くなり、またゆっくりとスロープを降りていくような感じでした。


  改善すると言っても、ごく一部分だけ。それでも私達からする嬉しい事です。
例えば自己主張だけでなく、他にも変化を感じていました。

 

良くなっ思える

①一度は出来なくなりそうだった小銭の勘定が出来る❗️
  若い頃からお得意の算盤。

今年の初めから2月頃は引き算は出来ない時も多かったのです。

しかし、最近は問題なく、パチパチ弾いています。
それだけでなく、今日(4月12日)のことですが、

おママは私に立て替えた買い物代の425円を支払う時、こう言いました。

「525円上げるから、あなたは私に100円下さい」
「えーっ⁉️」
かなり冴えてます。

②自作の貼り絵について明確なコメントをする

3月の初め頃は貼り絵のファイルを一緒にみて、
「素敵ですね〜、とてもきれいですよ〜」
と褒めると、
「そうかしら…?ありがとう…。」
くらいの反応でした。

 ところが、最近は自ら雄弁に批評します。
「この斜めのラインの流れに沿って、小さいひし形の配置が良かった。」
「ブルーが多い中で赤が少し入るからパッと明るくなるわ。」
これは黄色の三角が大きすぎるでしょ良くなかったわ。
「これは何かしら、変だわね⁉️」
そんな具合なので、私の通り一遍の褒め言葉では通用しなくなりました。まずい…。

 

変わらない点
  記憶力の改善は見られません。やった事、言った事、直前の全ての記憶が瞬く間に消え去ります。

 

  こうしてみると、私達が「もどってきた」と感じるのは、その瞬間の判断力や認知力だけですね。それも、かつて得意だった事や好きな事が中心かも知れません。

  でも、おママ自身の意識がしっかりと前向きになると、結果的に食事や排泄などの自立が保てる期間が延びるのではないかしら。
少し期待してしまいます。

 

  なぜ、最近のおママが冴えているか⁉️
ナゾですわ〜。
年明けからジジが極的に食べさせているオクラか?
2月から本人気づかず摂っているココナッツオイルのせいか?

  オネコに言わせると、
「私達が貼り絵をしょっちゅう見て褒めたり、写真を撮ったりするからじゃない?」
ですが、前から見てるしね〜。

 

  緩やかに進行し、ごくたまに、良くなったかなと思う。
これからも、おママはそんな調子であってほしいです。

日向ぼっこ

f:id:harienikki:20170420234609j:plain

          (2017年3月5日 診断から約10年1ヶ月)


   あっという間に桜も終わったこの頃。


  4月5月は紫外線の強い季節と言われます。

でも、骨が弱ったジジにとってはビタミンD生成日和。

日差しの良い日は窓辺でウトウトしながら日向ぼっこををします。

ついでにカルシウムの吸収を助けるビタミンDを体内で作り出し、骨を強化したいものですね。

 

   窓ガラスから射す陽にジジの背中や頭がほんのり温まり、

気持ちが良くなったその時、頭上からおママの口撃にあいました。

 

「あなた!そんなところで昼寝したらダメ!
頭があつくなって、おかしくなるわよ!」
「大丈夫だよ。そんなに暑くない。」
「あついわよ!やめなさい!」
「大丈夫だって…。」

 

ジジが一向に耳を貸さないから、おママは何度も繰り返し、やがては

「そんな昼寝してるならごはんたべさせないわよ!」
とまで言う始末です。

誰が昼ご飯を作るやら⁉️

 

   私が気がついた時は些か手遅れでした。おママは興奮気味だし、
ジジもその強烈なこだわりに困惑気味です。

「夏じゃないから、窓ガラスもそんなに熱くないわ。」

「こんなに暑い陽気なのに、頭が痛くなるわよ!」

 

  高齢になると寒暖の差に体が鈍くなるとよく言われますが、

この時のおママは、季節がちゃんと把握できていないみたい。

見当識障害の一種でしょうか。

「お母さま。テレビでも見ましょ。」

私は強引におママの腕を引いて、ジジから離しました。(笑)

 

  おママはアルツハイマー認知症になっても、その瞬間瞬間の判断力はありました。ですから、ジジは何かの弾みで虎の尾を踏んでしまうと、おママの自論で集中砲火を浴びてしまうのです。

 

  それが昨年末頃から、おママは感情や意思がふんわりしました。

妙に大人しくなり聞き分けがいい。口撃回数が激減したのです。

 

   これを私は認知症が一段階進行した状態と思います。

自分の感情や感覚も分からなくなりつつあるのではないか?

なかなか、恐ろしい事ですね。

 

   ところが最近、それが部分的に回復しているように感じます。

この日向ぼっこの話もその一例です。
2月にはこんな事もありましたね〜。
⬇︎

 

harienikki.hatenablog.com

 

 

「おママ、少し戻っているね。でもまた、口うるさくなったね〜。」
ジジは苦笑していました。

 

   おママの症状が戻ってくれるのは嬉しいが…。
あらあら…そんなぁ。
ジジ、ほんとお疲れ様です。(笑)

せっかく…、

 

f:id:harienikki:20170419233956j:plain

 (2017年4月9日診断から約10年2ヶ月  赤い四角は布のリボンです。)

 

  仕事の区切りがつかず、遅れてお昼の食卓に就いた私。


あらま⁉️


  今日のおママはお汁を作ってくれていました。玉ねぎやキャベツがたくさん入っているので、上出来ですね。
素晴らしい。パチパチ👏👏👏

 

  私は台所でお椀にお汁をすくいました。
こういう場合、私には鉄則があります。

具をなるべく多くいれ、汁は極力少なくする。

よく、ご家族が患者の認知症を疑う要因の1つに、
料理の味付けがおかしくなる、というのがあります。

主に、しょっぱすぎてしまうのです。
おママも初期の段階から塩辛かった❗️
それは仕方ないのです。

味付けしたそばから忘れるのですから、何度も入れてしまう。


  だから、おママがコンスタントに野菜スープを作っていた頃から、私はこっそりと、おママの目を盗んで、汁だけ捨てていたのです。

 

  例によって、私は汁を極端に少なくよそったお椀を御膳にのせました。

すると、ジジが突然電気ケトルから私の椀に湯を注ぐのです。
「…⁉️」
私は凍りつきました…。
ジジ、何するんだ⁉️

しょっぱすぎるから、お湯を足すと丁度良いよ。」

「…⁉️」

  男性は無頓着ですね。驚きました。(笑)

私は常々、ジジの血圧を心配しています。だから、ジジにはおママに内緒で汁を残すように言ってきました。

 

  だからと言って、それをおママの目の前でやってはなりませんよね〜。💦

 

   食事を作る者は皆、それなりに頑張って料理をするのです。
自分が作ったおかずやお汁に、自分の目の前で、家族に醤油やソースで味を足されたらムカッとするでしょう。
私だったら尊厳を踏みにじられたように思います。(大袈裟か(笑))
ジジだって、私が結婚して家を出るまで、そんな事しなかったと思います。

それに今更どうして…?

 

  案の定、おママは
「なんでお湯を入れるの?」
と言っていました。
「だって、何度も入れるから、しょっぱくなったでしょう。」
と、更にだめ押し。
おママはかなりムッとしてましたね。

 

  私も今日は疲れていたので、ジジに物申したりはしませんでした。

ジジにも理由があるはず。今日のお汁は耐え難い辛さだったのでしょう。

確かに、ジジが湯を注いだおかげで、塩加減はバッチリでした。

 

  でも、アルツハイマー認知症になっても、気持ちはしっかり主婦のままなんです。
デリカシーの無い行動はご法度ね。ジジ❣️

おママ、せっかくお汁を作ってくれたのに、少し残念でしたね。

 

介護保険改正案

 

f:id:harienikki:20170419010532j:plain

          (2017年3月29日 診断から約10年1ヶ月)

 

   タイトルとは関係ないのですが…。

人には1年を通して調子のいい時と、悪い時があります。

体調も気分もそうです。

「最近、おママの調子が良いのは季節のせいかな?」

オネコとそんな話をしました。

「おママは春に良かったのかな〜?」

私には最悪の季節です。もう、花粉に悩まされマスクを、してヨレヨレの毎日。

溜息。。。あ〜、春は苦手だわ〜。

でも、今日もおママがご機嫌で過ごし、ジジが歩けているから良しとしましょう…。

 

    ところで、唐突ですが…。

 今日(4月18日)介護保険改正案が衆議院を通過しました。今後、参議院で審議され、5月中に成立する見通しです。

http://介護保険制度.net/entry91.html

 

   介護保険はお金を給付されるものではなく、簡単に言ってしまえば介護サービスを割引で受けられるというものです。

要介護度によって支給限度額が決まっていて、この範囲内なら被保険者は所定の介護サービスを自己負担額のみで受けられます。この自己負担額は所得に応じて1割だったり2割だったりします。

 

   今回の改正で所得の多い高齢者により多くの負担を求めていくそうです。

年収340万円以上(年金のみなら344万円以上)で3割負担となるそうです。

この、340万円が高所得と言えるかどうかは何とも言えません。

勤続年数40年のサラリーマンだった夫の厚生年金と妻の国民年金を合わせると、こんな額になるでしょう。う〜む…。

介護保険もこのままでは立ち行かなくなるだろうし、40歳から保険料を納める働き盛り世代の負担を増やすのもなんだし…。

しかしながら、負担が増えると介護サービスの利用を控える方も出てくるでしょう。

それでは本末転倒です。

 

   今日は北朝鮮の問題や、アメリカから副大統領が来日したり、突然イギリスでEU脱退を問う総選挙が行われるなどのニュースにかき消され、今ひとつ話題になっていませんね。まぁ、成立前だから仕方ないですね。

 

   改正が必要なら、十分審議を尽くして頂きたいと思いました。

 

  いずれ、ジジとおママだけでなく、私だって介護サービスを受ける年齢になるのですから。誰にでも他人事ではないのですから。

 

記憶についてNo.7 心残り

f:id:harienikki:20170416215219j:plain

             (2017年3月17日 診断から約10年1ヶ月)

 

  上の貼り絵。⬆️  最近とても珍しいのです。

何が最近珍しいと言いますと…。

小さいパーツを中心とした入り組んだ構成だからです。

今年に入って、単純なデザインの貼り絵が増えています。

   例えば、⬇️の記事の貼り絵とか、昨年秋の作品はかなり凝ったデザインのものが多くありました。

 

harienikki.hatenablog.com

 

harienikki.hatenablog.com

  

harienikki.hatenablog.com

 

  しかし、今は、あまり細かいものは取り組みたく無いようです。

「もう、目がダメなの。」

目のせいか、脳の問題かは定かではありません。

 

  この⬆️一番上の貼り絵。もう1つ、珍しい点があります。

 

実はとても時間をかけた作品なのです。

  3月17日にほぼ1日がかりで完成しました。

おママは頭や目が辛くなるから、一度に出来るのは30分〜1時間が限度です。

この作品は4回に分けて取り組みました。

午前中に仕上げられず、昼食をはさんで午後完成させる事はよくあります。

でも、ここまで粘って完成させるのは、今のおママには容易なことではありません。

 

その流れは…。 

   昼前に30分以上試行錯誤しているのを、私は目撃しています。

「上手くまとまらない。」

糊付けまでは遠い道のりのようでした。それで私は昼ご飯に誘いました。 

 

   昼過ぎに取り組んでいましたが、細かいパーツの配置は決められない。

悩んで「頭がいたい」となりました。

この日は家庭医のところへ行くので中断。

 

   ここまでは私も見ているのですが、この先はジジの目撃談です。

「帰って来て夕食を食べてから、また始めたんだけど、やっぱり悩みすぎて出来ないんだよね。お風呂に入るように言ったら素直に入ったよ。血の巡りが良くなるんだろうね。出てからまたやったらしく、寝る前に『出来ました…』って嬉しそうに見せに来たよ。」

 

  アルツハイマー認知症のおママは作業机を一旦離れれば、作品が途中になっているという記憶はなくなります。

日常の記憶は5分で消え去り、今は昔の事も怪しくなっている人ですから。

出来上がっていない記憶が、おママを突き動かしたわけではないでしょう。

 

なのに、なぜ、おママは1日がかりで完成させられたのかしら?

 

   いつもの事ですが、

おママは常にふと気がつくと、作業机に向かってしまいます。

小さなパーツをたくさん構成しようすると、なかなかまとまりません。

そして、貼り絵を中断するたびに記憶はリセット。

再び机に向かった時に、おママは途中になった貼り絵を発見するのです。

 

これからは私の想像。

上の一連の行動を1日の中で何度も繰り返すと、もしかしたら?ですよ。

まだ、仕上げられていない…。

そんな心残りな気持ちが残影になり、脳に宿るのかも…。

ひょっとして、それは脳ではなく、ハサミで紙を切る手の感触。

指でパーツを動かすその皮膚の触覚に宿り、

おママをまた貼り絵に向かわせるのかも知れない…。

 

おそらく私の考えすぎですね。(笑)

 

 

暗示にかかってしまった‼️

 

f:id:harienikki:20170417000702j:plain

(2017年4月11日 診断から約10年2ヶ月  天秤のような均衡のとれたデザインだと私は思います。本人は中央上部の赤い三角が効いているわ!とお気に入りのようです。)

 

  先週の火曜日。4月11日のお昼に私はおママに言われました。

 「あなたも後20年もすれば、こうして分からなくなってしまうのよ。みんな、同じように分からなくなるものなの。」
「…………。」

 

harienikki.hatenablog.com

   今までもおママを見ていて、いつか私もアルツハイマー認知症になるかも知れないと思っていました。

でも、これを言われてから、自分の中で確信に変わったのです。

奇しくも20年後の私は、おママが認知症を疑われ始めた歳になります。

 

私は絶対になるのよ。アルツハイマーになってしまうの。

 

   そんな思いに取り憑かれてしまいました。

でも、絶対にならない保証はどこにもない。なってしまうと考える方が良いかも知れません。

 

    それにしても我が事になると、これは恐怖です。

直前の記憶を失ったら…。自分が何者か分からなくなったら…。

家族も認識できなくなったら…。

全てが不確かな世界になります。

認知症は必ずしも遺伝するとは言えないようです。しかし…。

 

   私は若い頃からあまり記憶力が良くありません。

学生の頃は短期記憶は良かったので、学校の定期試験の成績は良かったです。

でも、私の頭は長期記憶は苦手らしく、定期試験が終わればすべて忘却の彼方となります。そのため、外部模試は惨憺たるものでした。

長期記憶が弱い。その上、最近は短期記憶もめっきり弱くなりました。

人は弱いところから衰えが目立ってくるとしたら、

私もおママと同じように記憶からやられていくかも知れない。

 

 「予防…。予防しなきゃ。」

私は真剣に、歩きながら一人しりとりを始めました。

NHK認知症予防の番組でやっていたから、ハーブのお店でレモンバーム買いました。

  寝る前に飲んでみると口当たりが良く、脳味噌に沁み渡る様な気がしました。

ほっとするわ〜。

「ふう〜。」

すると、お相伴していた娘のアズキが一言。

「これってさ〜、喉がすっきりして、(カラオケで)良く声が出そうだわ🎵」

うむ…。アズキは若いんだね〜。

確かに喉にもスッキリですが、頭に効いて欲しい私です。

 

harienikki.hatenablog.com

 

 

 

机にお菓子ばかり

 

f:id:harienikki:20170416000842j:plain

(2017年3月27日 診断から約10年1ヶ月)

 

   今週の私は仕事が忙しく、残業ばかりでした。

だから、あまりおママと話すゆとりもなかったわ…。反省…。

いえ、そんな殊勝な話ではないんですよ〜。(笑)

 

   私が残業で遅くまで実家にいる事。

それはおママにとって、ちょっとした異変なのです。

おママの暮らしの中に入り込んだ異物…。

 

  全く気がつかないでいてくれれば良いのですが、気になりだすと強く意識してしまいます。そして、繰り返しが始まります。

「あなた、これ食べてね…。」

カステラを一切れ持ってきたり、しばらく経つとチョコレートを

「食べたらどうかしら?」

と、差し出してくれます。

そしてしまいには先ほどのチョコレートを箱ごと持ってきて、

「これを帰りに持っていらっしゃいよ。途中で食べたら、どう?」

 

あ〜〜。お願いよ〜〜。仕事を片付けたいのよ〜〜❗️持って来ないでよ〜〜‼️

 

でも、絶対にそんな事は言えません。

「ありがとうございます。そちらに置いてくださいな。」

そう言って、受け取ることにしています。

時々、気持ちにゆとりがない時は、やんわり断ります…。

そんな時は、なるべく丁寧にお断りするように努めています。

 

だから、机の上はお菓子がたまってしまいがちなのです❗️

どうするかね〜。

全部食べたら太るわ。

こっそり、戻しましょうか?おママの目を盗んで…。(笑)