アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

推理する楽しさ

f:id:harienikki:20171109014045j:plain

(2017年10月26日  アルツハイマー認知症の診断から約10年8ヶ月)

 

楽しみのひとつ

  推理小説はお好きですか?

私は最近あまり読んでいませんが、サスペンスドラマは大好きです。

あらっ?私ったら、なんの話をしているのやら…。(^。^)

 

  ブログを始めてから、私はおママの貼り絵をしっかりと見るようになりました。

それまでは私の感想も「キレイね」「色の組み合わせがいいわね」と言う範囲でしたが、もう少し突っ込んで考えるようになったと思います。

 

「これは…、何を使ったんだろう?」

パーツの元となった紙は何なのか?それが気になって仕方がありません。

 

何だろう?何なんだ!

 

  私は事件現場の刑事のように(刑事ものドラマの見過ぎか?笑)おママの作業机の周囲に何か残骸が残っていないか調べます。

ゴミ箱を漁って切り残しがないか丹念に中身を洗い出します。

「何しているのよ〜。」

おママには怪訝な顔をされますが、私はその白い視線に負けません。

「これって何を使ったの?」

そんな事を聞いても、おママから正解を教えて貰える可能性は皆無です。

 

  作業机の周辺を捜索しても判明しない時は、

手掛かりが見つかるまで、じっと網を張って待つか?(ひょっこり残りの紙片が出てくる事があります。)

又は推理力を働かせるか?

 

この推理したり、手掛かりを求めて捜索するのが、思いのほか楽しいのです。

 

本日アップの貼り絵の場合

   この貼り絵を見た瞬間、私は腕組みをして唸ってしまいました。

紫と金が基調となったスッキリとした品の良いデザインだと思います。

1番上の写真は少し暗いので、もう1枚⬇️アップします。

f:id:harienikki:20171108233451j:plain

しかし、私が唸ったのはデザインではなくパーツの材料です。

紫地に金色の模様が入った千代紙はわかるのですが、白い楕円形に金の菱形が組み合わさったパーツが気になりました。

 

「これは…、何かのマークに違いない…。」

残念ながら、私が実家に行っていない日に、おママはこの貼り絵を制作しています。

私はすぐに捜索を開始しましたが、頼りのゴミ箱はすでに空。

 

しかし、作業机の周辺には若干の手掛かりがありました。

同じパーツが5枚ほど残っていました。どれもキレイに切り抜いているので、

元の紙にはこのマークがいくつも印刷されていたのでしょう。

「おそらく包装紙ではないか?」

問題はどこの包装紙かです。

(楕円形に菱形…。どこかで見た気がする。どこだったか…。)

最近も外で目にしているような気がしました。

「もしかして、どっかのデパート?」

私は1週間ほど考えても思い出せませんでした。

 

解決した時は喜びもひとしおです。

それで、かつておママが行った事のあるデパートを全部パソコンで検索してみました。

すると、出てきました。分かりました。本当に便利なgoogleさん!

東急百貨店公式ホームページ

⬆️を開いていただきますと、見つかります。

 

「昔は渋谷の東急本店も東横店も、おママには使い慣れたデパートだったわ〜。」

  特定できた達成感とともに、懐かしさで胸がいっぱいになりました。

 

  私がまだ結婚する前の事。おママと一緒に渋谷のBunnkamuraで展覧会を観た後に、隣の東急本店に寄った事が何度かあったわ。

乗り換えのついでに「東急のれん街」で食品をみたり…。

今は取り壊されてしまったけど、渋谷の東急プラザ地下には「渋谷市場」という庶民的な食料品フロアがあり、ジジとおママはよく連れ立って買い物に行っていたっけ…。

あれこれ走馬灯のように蘇りました。

 

  全く家族目線でしかない話ですが…、

推理して解明できると、まだアルツハイマー認知症になる前のおママの暮らしや嗜好、行動パターンが思い出される事が多いのです。

それも、ちょっとした喜びでもあります。

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

お誕生日にはケーキを買って

 

f:id:harienikki:20171108001144j:plain

(2017年10月8日  アルツハイマー認知症の診断から約10年8ヶ月)

 

おママ84歳になる。

こんなサブタイトルを読んだら、おママは「えーっ」と首を傾げそうです。

でもおママ、今年もまたお誕生日が来たのですよ。(^。^)

 

私達はここ何年も、おママのお誕生日にケーキを買って、ささやかなお祝いをしてきました。

 

「お母さん、お誕生日おめでとう!」

「あら、私は幾つになったの?」

「84歳ですよ。」

「えーっ⁉️そんな?75歳くらいじゃないの?」

オネコと私が首を横に振りますと、

「じゃあ、お父さんは幾つなの?」

「89、もうすぐ90歳よ。」

「えーっ⁉️もう、そんななの?」

年齢のところを変えれば、毎年全く同じ会話をしている私達。

この同じである事が幸せなのだと思います。

 

今年も無事に4人でケーキを頂けましたね。

これからの1年も現状維持ができますように。

 

もう、10年経ちましたから、来年はどうなるだろう?

でも、毎年そんな心配をしながら、なんとか持ちこたえているし。

 

おママのお誕生日のケーキは格別な味わいがあります。

深く、ほろ苦く、そして芳醇な甘さ。

これからの1年が、おママと私達にとってより良いものでありますように。

 

本日アップの貼り絵

 おママお気に入りの貼り絵の一つです。空になったテッシュボックスからパーツを切り出しました。

⬇️  こちらの貼り絵は姉妹版です。

harienikki.hatenablog.com

harienikki.hatenablog.com

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

 

いつの時代やら⁉️

 

f:id:harienikki:20171107011322j:plain

(2017年10月9日  アルツハイマー認知症の診断から約10年8ヶ月)

 

おつかい

  今日(11月6日)実家へ行く時、私は最寄駅周辺のスーパーで買い物をしました。

「昨夜のおでんが残っているんだけど、具が足りないからシュウマイでも買ってきてよ。」

ジジに頼まれたのです。

ジジ料理ですから、袋入りおでんをお鍋に開けて温めるだけです。寒くなると、そのお手軽おでんも美味しいですね。

ジジは翌日残りおでんにシュウマイを入れるのが好きなんですよ〜。

それで、私はシュウマイを買って実家へ行きました。税込193円也。

 

相変わらずのお帳面

  お帳面とは…。

このブログで何度も話題にしている、おママの「家計簿もどき」です。

前日の残高から本日の支出を引いて、本日の残高を出すだけのもの。

このお帳面、残高とお財布の中身がいつも若干違ったりしますから、やって意味があるのかといえば、家計管理の面では無駄でしょう。

しかし、長年きちんとした家計簿を算盤を駆使して付けていたおママです。

今でもパチパチやろうとすれば使えるので、おママの能力を保つためには有益だと思います。

 

  私は例によって、おママにお帳面をつけてもらってから、シュウマイの立替を払ってもらわなければなりません。

 

冴えてるぞ⁉️

買い物が1つだけだったからか、今日のおママはとてもスムーズに出来ました。

  お帳面に「シュウマイ   193円」と記入してから、おママは財布から小銭を出しました。

 

「あなた、203円上げるから……。」

 

今日は冴えてますね❗️

おママは私からお釣りとして10円もらいたいのでしょう。

今回のように小銭が不足した場合のやりとりは、最近のおママには難しくなっていたのです。

今日のおママは本当に素晴らしい。

 

  私は自分の財布から10円玉を出そうとしたら…、おママったら…。

 

「あら、いいわよ。10銭要らないわ。」

「……、10銭?」

「そうよ、10銭はいいわ。」

「10円でしょ。」

するとおママは小首を傾げました。

「えっ?10円?」

 

203円は大丈夫だったのに、急に10円は10銭になってしまいました。

今日この時のおママの中では、まだ銭単位が日常生活でも通用していたようですね。

まったく、いつの時代やら⁉️  (^O^)

 

調べてみると

  私は気になって、銭単位の通貨がいつまで流通していたか調べてみました。

それは昭和28年(1953年)です。

当時はインフレが進み、日常の買い物では銭硬貨は使われなくなって、使用価値を失ったのも廃止の一因だったそうです。(現在でも利息や外国為替の計算には銭単位も使われています。)

 

  おママは昭和8年生まれですから、20歳ごろまでは銭硬貨を手にしていました。

新しければ新しい事ほど全く記憶のないおママです。

物心ついて20歳くらいまで使っていたのですから、おママの認識では小銭は円より銭なのかも知れません。(^。^)b

 

(11月7日追記)思い出したのですが、おママは20代後半で結婚するまで、銀行員でした。配属されたのは外国為替の取引を扱う「外為(ガイタメ)課でした。この課は銭硬貨が廃止されても「銭」「厘」単位を扱っています。一般より長く、おママは「銭」に馴染んでいた可能性もありそうです。

 

  でも夕方の買い物から帰った時のお帳面付けの時、おママは円以下の単位を言う事はありませんでした。

昼はたまたまの事だったようです。ホッとしました。

ちなみに、1円は100銭ですって。 

1円未満のお金が使えなくなったのはいつからですか? : 日本銀行 Bank of Japan

 

⬇️この韓紙を使いました。

f:id:harienikki:20171104011134j:plain

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

 

何でしょう?

f:id:harienikki:20171105221952j:plain

(2017年10月3日  アルツハイマー認知症の診断から約10年8ヶ月

小津和紙の包装紙。歌舞伎座の花吹雪は大変薄い紙なので、左側は貼る時に一部ちぎれました。それもご愛嬌。青系のストライプは千代紙。他はよく分かりません。)

 

考えずに、インスピレーションで。

   本日アップのこの貼り絵を一目見て、何に見えますか?

考えないで、第一印象で…。

 

 私は一目見て、

「カワイイ〜‼️」

と声を上げてしまいました。

「そう?そうかしら?」

おママはあまり実感はない様ですが、嬉しそうに笑いました。

「これって、何?」

「えっ?別に何でもないわよ。」

私にはウサギにしか見えません。

「ウサギでしょ?」

「どうかしらね?」

おママは全く何の意図もなく制作した様です。

完成してからも、何かであると言う意識もありません。

前にもこの様な例はありましたね。(笑)

 

人さまざま

今回はいろんな見解がありました。

オネコは「うーん。カニ?それとも昆虫?」

私の夫はひとしきり唸った挙句「ニワトリ❗️」

私とアズキは「ウサギにしか見えない。」

 

各自いろいろな事を言いますが、

作者のおママにイメージがないのが不思議なくらいです。

見る人の印象で何に見えてもいいそうです。

 

⬇️以前もありましたね。 

harienikki.hatenablog.com

harienikki.hatenablog.com

harienikki.hatenablog.com

 おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

おママの目線

f:id:harienikki:20171105002025j:plain

 (2017年10月6日  アルツハイマー認知症の診断から約10年8ヶ月)

 

ジジのつぶやき

今日私が実家に行くと、パソコンでネットを見ていたジジは開口一番、こう言いました。

「このところ、色々分かって考え方を変えたんだよ。そうしたら、おママにとっても良いみたいだ。貼り絵も結構やっているよ。」

なるほど〜。

今までも頑張っていると思いますが…。 

「自分のやり方ではなく、おママの視線を尊重していくんだ。」

「ほぅ、例えば?」

 

例えば

おママが何かを片付けようとしている時、「これはどこにしまうの?」と聞かれたら、

「冷蔵庫の上に載せておいて」

「食器棚に片付けて」

と言うだけでなく、具体的に共に片付ける場所に行き、指し示して上げるということです。

 

確かに、ジジにとっては冷蔵庫も食器棚も自明の事柄ですが、今のおママは「冷蔵庫」「食器棚」と言われても、それが何を意味しているのか分かりません。

 

自分には分かる事が、おママには分からない。それを自覚しておママに接していくという事。それがジジの言わんとするところでした。

 

おママがアルツハイマー認知症の診断を受けてから10年。

おママの症状が進んでいく現実を前に、今もジジは悩み考える日々を送っています。

 

⬇️本日の貼り絵と同じ韓紙の作品です。

harienikki.hatenablog.com

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

 

ソウルの土産

 

f:id:harienikki:20171103183455p:plain

(2017年10月5日  アルツハイマー認知症の診断から約10年8ヶ月)

 

本日の貼り絵について

  おママのハサミの技術?が冴えている作品です。

これも、とにかく切抜きたい一心だったのでしょうかね。

この赤い唐草文様を見ると感慨深いです。


かれこれ11年前

  11年前といえば、まだ、おママはアルツハイマー認知症の診断を受けていませんでした。しかし、ジジと私達姉妹は小首を傾げながらおママの様子を気にしていた頃です。

   おママは既に盛んに貼り絵の作成をしておりました。

 

  ちょうど韓流ブームの頃でした。実は、私もお友達とソウルに行ったんですよ。

出発前に旅行の事を話したら、おママは言うのです。

「あら、気を付けて行ってらっしゃいね。もし、向こうでキレイな紙があったらお金は上げるから買ってきて欲しいわ〜。」

 

  何となく、おママの事は気掛かりでした。貼り絵のように好きな事があるなら続けて欲しい。

(是が非でも、韓国的な感じの良さげな紙を見つけて来なきゃ。)

そう思いながら羽田空港から飛び立ちました。

 

日本では和紙ですが、韓国にも伝統的な韓紙が有ります。

私の印象では和紙の千代紙より少し薄手です。でも、韓紙も趣のある紙です。

 

  そこで私はソウルで韓紙の専門店に行きました。(方向音痴で記憶力の悪いので、今では場所もお店の名前も分かりません。)

流石に専門店だけあって、扱っている韓紙の千代紙は膨大で見ていて飽きません。

しかし、私は韓国語が殆ど理解できなかったので、1枚の値段も今ひとつ聞き取れません。💦

それで、店員に何度も聞きながら、ちゃんと聞き取れてお財布に見合う韓紙を購入しました。やはり、華やかで金や銀の入ったものは値段が高かったように思います。

こちら⬇️

f:id:harienikki:20171104011134j:plain

(右側の文字の方は今だに使われておりません。)

 

反応はイマイチ

  帰国して実家に韓紙を持参しましたが、おママは喜んでくれました。
「面白いわね。キレイね。」

そう言ってくれたのですが、

「私が全部もらったら悪いわ〜」

と言い張るではありませんか。それで、大きいので韓紙を半分ずつに切り分け、私と半分こにしました。そしておママは自分の分を勿体無がり、すぐに巻いて引き出しにしまい込んだのです。

(気に入らなかったのかな。)

以来、この韓紙を見る事はありませんでした。

貼り絵の材料に使われる事もなく、私は内心がっかりでした。

 

敗者復活

  今年の夏に、我が家で片付けをしたら、私の分が出てきました。

それで、実家に持っていき作業机周辺に置いておきました。

しかし、それでもおママは使う素振りもありません。


(やっぱりおママの好みと違ったんだなぁ〜。)

そして、あの時のほろ苦い思い出が蘇りました。

 

でも、分からないものですね。

私が実家に行かなかった10月5日に、おママは急に韓紙を手にしたようです。

オネコが目撃した時は、ハサミで唐草模様の細かい線までも切り抜こうとしていたそうです。⬇️

f:id:harienikki:20171104011255j:plain

(2017年10月5日オネコ撮影)

 

この日突然おママの興味を引いたのですね。


11年の時を経て、ようやく私のお土産は日の目を見ました。

 

harienikki.hatenablog.com

harienikki.hatenablog.com

harienikki.hatenablog.com

harienikki.hatenablog.com

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

 

お椀どうしたの?(昨日の続き)

f:id:harienikki:20171103004034j:plain

 

(2017年9月23日頃  アルツハイマー認知症の診断から約10年7ヶ月)

 

 

harienikki.hatenablog.com

 

昨日の記事の続きです。
  昨日の記事は、おママが眼鏡を探しながら、探している事を忘れた話でした。

この件については、まだ私の中ではモヤモヤしています。

 

  継続している行動の途中に、その行動自体を忘れる。
きっかけは、声を掛けられたり、何か他のものが目に入って、一瞬おママの意識が移ろう事です。

 

(もしかしたら、あの時も今回と同じだったのかもしれない。)

 

あの時とは去年でした。


  昼食時に、私はおママに話しかけました。
それはごく普通の会話で、急に声を掛けたり驚かすようなものではありません。
その時、たまたま、おママはお汁を飲もうとお椀を手にしていたタイミングだったのです。
私と二言三言話しているうちに、おママはパッと両手をお椀から離しました。

それは取落すとか、手が滑ったのはなく、おママの両手が お椀を持つのをやめたという印象でした。


ガチャーン。


お椀は音を立ててテーブルに落ち、お汁は見事にこぼれました。


「あら? お椀どうしたんだろう?」


おママは状況が飲み込めないようでした。


  私はこぼれたお汁を拭いて片付けながら、衝撃を受けていました。

なぜおママはお椀を持っている最中に、持っている事を忘れたのだろうか?

手にしているお椀の感触はおママの掌に有ったはずなのに…。

 

 この時も、話しかけられた事がきっかけになって、おママはお椀を取り落としたとすれば…。
絶対に、おママが何かを持っている時は、声を掛けてはいけないのだわ…。

危険ですから…。

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。