アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

月末企画❗️今月のイチ押し‼️(2018年11月版)

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(2018年11月7日  アルツハイマー認知症の診断から約11年9ヶ月)

 

 予想外でした

私の印象では、毎年秋のおママは元気です。

実際、一昨年、昨年の10月11月、おママは制作意欲が旺盛ででした。

秋は貼り絵の枚数とバリエーションが豊富な季節なのだと、私は勝手に思っていましたが、今年はどうもそうではありませんでした。

 

11年月28日現在、21枚でした。今日(11月30日)、1枚取り掛かっていましたから、もしかしたら22枚になっているかもしれませんが…。

 

しかし、考えてみればおママはアルツハイマー認知症歴11年。

ハガキサイズの小さな作品ですが、月に21枚も貼り絵を制作するだけで、充分元気だと思います。(^O^)

 

今月の特徴は…。

おママは貼り絵を何日もしないのに、やり始めれば1日に何枚も拵えた事です。

それは、コンスタントに続けるというより、何かキッカケがあり、気が向くと1度に何枚も作ったという感じでした。このキッカケはおママにしか分からないでしょう。そして、記憶のないおママには説明のしようのない事だと思います。

 

harienikki.hatenablog.co

月末企画❗️今月のイチ押し‼️』とは

  この企画はその月におママが制作した貼り絵の中で、私やオネコが1番気に入った(面白いと思った)作品をご紹介するものです。

 

判断基準は⬇️こんな感じ…。。

①綺麗もしくは興味深い作品。

②制作エピソードがある。

③制作途中の写真があれば尚良し。

④おママの独自性が強い作品。

 

2018年11月版は ①、④ が当てはまります。

 

オネコも私も、今回はあまり迷わず、この貼り絵を選びました。

2人ともこの作品の制作途中を目撃していません。

それでも選んだ理由は、一目見たら忘れられない大胆な構成で、色彩はとても潔く清々しい 印象があるからです。

 

中央のロゴマークですが、直ぐにピントくる方もいらっしゃると思います。

 

⬇︎老舗の和菓子屋、虎屋さんです。

これは私の想像ですが…、

かつて何方様からか、虎屋の羊羹や水羊羹でも頂いたのでしょう。おママはその時の包装紙を大事に取っておいたのだと思います。

www.toraya-group.co.jp

以前は何度かおママの作業机周辺で、虎屋さんの包装紙を見かけたのですが、この1週間、探しても見付けられませんでした。この貼り絵を作ってから、何処へしまったのかしら?(^。^)

「不思議だけど、面白いよね…。」

「どうして、突然、虎屋さんのマークを使ったのかしら。」

オネコも私も首を傾げるばかりでした。

 

プロ野球大好きでヤクルトファンのアズキ(私の娘)にこの貼り絵の写真を見せたら、「トラ❗️」叫びましたわ。(°_°)

それでも、全体の印象を訊ねれば、

虎屋のマークがお花なのでは?」

との事でした。

なるほど…。言われてみれば、花びらに見ますね。(^O^)v

可憐な花というよりは大輪の花でしょうか。

おママにそういう意図があったかどうかは分かりませんが、私は強く気高く上品に咲く花を感じました。

 

そんなこんなで…。

この「強く気高く咲く虎屋さん」

今月のイチ押しに決定‼️パチパチパチ❣️

👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏^

 

 ちなみに…。娘のアズキは洋菓子より和菓子派。虎屋さんの最中と一口羊羹が大好物です。(^O^)a

そして、この貼り絵が制作された日に、私は白内障の手術をしました。以後、1週間実家へ行かなかったので、オネコやジジ、おママに迷惑をかけたと思います。

m(_ _)m

なんだか落ち着かない1ヶ月でした。

 

緑のパーツは⬇︎のティッシュペーパーの箱を使っています。

細かいピンクの花柄は、千代紙から切り抜きました。

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おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

 

 

 

 

言語の壁を超えていけ⁉️

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(2018年9月30日  アルツハイマー認知症の診断から約11年7ヶ月)

 

運んでくださいな

昼食の準備は余裕をもってやりたいのですが、私はいつもバタバタです。

もう少し早く行けばいいのですが、買い物をして実家にたどり着くのは11時を大分回っている事が多いものですから…。

 

9月下旬の話ですが…。

この日もそんな感じで台所に立っておりました。

 

汁物は食べる直前に熱々を出すのが正しいのでしょう。高齢になると、それだと取り落としそうだから、私は少し温くなった加減でお椀によそいます。

(熱々でないから、おママに運んでもらおう。)

3つのお椀に味噌汁をよそいながら、

「お母さん、すみませんが、お味噌汁を運んでくださいな!」

と声掛けすると、食卓に居たおママは「はーい!」と元気にお返事をしてくれました。しかし、おママはピンとこないらしく、ジジに訊ねていました。

「お味噌汁って?どれ?」

嗚呼、おママよ。味噌汁が分からなくなったのね…。(°_°)

「向こうでチャーコさんが運んでって言ってるよ。」

ジジが付け加えても、おママはピンとこないらしい。

「お母さん、台所から食卓にお味噌汁を運んで下さい。」

私がそう言ったら、おママはなおさら混乱したようです。

「台所って?」

嗚呼、おママよ。長年、あなたが料理をしてきた場所は「台所」なんですよ。(°_°)

私は手を止めてもママの様子を見に行きました。右往左往しながら、反対方向の作業机に向かおうとしているではありませんか…。

それにはジジも慌てて、

あっちに行けば、分かるから❗️」

台所を指差しておママを促しました。

この後すぐに、おママはお盆で無事にお椀を運ぶことが出来ました。v(^O^)v

 

「こ・そ・あ・ど」が頼り

最近のおママは簡単な言葉が出てきません。

「台所」「お味噌汁」は主婦にとって馴染み深いものなのに…。

分かる時は分かるのでしょう。

でも、この日のように、咄嗟に口から出ないだけでなく、何を指す単語なのかも分からない事があります。

そのような時は「こっち・そっち・あっち・どっち」「これ・それ・あれ・どれ」などの 「こ・そ・あ・ど」を多用して、最後は「指差し」などの身振り手振りが最も有効な意思疎通手段になってしまうのかしら。

これこそまさにボディランゲージですね。

 

ふと、思ったのですが…。

言葉の通じない外国人同士がボディランゲージで必死に会話しているのと、どことなく似ているような気がしました。

もしかして、おママは日本語という言語の壁を超えつつあるの⁉️  (^_^;)

いやいや…。(^。^;)

 

 本日アップの貼り絵

 第52回キャノンフォトコンテストの募集要項の表紙を使ったと思われます。 

⬇︎は このコンテストの入賞作品集です。文字の配置は違うでしょう。でも背景のデザインは同じです。色合いがとても素敵なので、おママも触発されて、数点の貼り絵に使われています。

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cweb.canon.jp

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

2度目に御用心

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(2018年10月8日  アルツハイマー認知症の診断から約11年8ヶ月)

 

体調不良の原因は…⁉️

先週の金曜日は勤労感謝の日。祝日ですが私は実家へ行きました。

すると、おママはロッキングチェアにダランと身を委ねていました。いつもより元気がなく全く身体に力が入らないようです。

「フラッフラするの。なんだかお腹も苦しくて…。」

トイレに向かう姿は確かにフラフラで、どこかに掴まっていないと歩けそうにありません。どうやら様子を伺っていると、便秘がほんの少しずつ解消しているようで、何度もロッキングチェアとトイレを往復していました。

(これは…まさか…。)

蘇る嫌な予感。

⬇︎便秘解消時に失神した時の事を思い出すと、私は思わず身震いしてしまいました。

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お昼の用意ができても、

「私とても食べられないわ…」

と、この日こそは、本当に食欲がないようです。(°_°)

「お腹が苦しいわ。タイツがきつくて苦しいの。」(°_°)

 

そんな時にオネコが現れて、おママの下着やタイツを楽なものに取り替えてくれました。

6月の事件の再来を恐れた私は、その序でに紙パンツを持ち出しました。とにかくこれを履いてさえくれれば、不足の事態が来ても少しは間が持てるでしょう。

「お母さん、これが一番緩くて楽なパンツなのよ。」

「そうなの?」

母親を騙すようで、少し気が咎めたけど背に腹は変えられません。(^_^;)

 

「寒くて寒くて仕方がないのよ。」

ある程度便秘が解消しても、おママの愁訴は続きました。

 

その時、オネコがハッと気付いたのです。

「ねぇ、今日の分の薬は飲んだのかしら?」

 

おママの薬は1日分の血圧と認知症の薬が一包化されています。それにオネコか私が日付を書き入れます。

私が慌ててゴミ箱を漁ると23日と24日の日付を書いた薬の空袋が捨ててありました。その日は燃えるゴミの収集日でしたから、ゴミ箱の中身は今朝からのゴミだわ。

「あ……。2日分飲んでしまったかも…。」(°_°)

「えーーー。」

毎朝、ジジはおママに薬を飲ませています。しかし、おママは今も自分が薬を服用しているとは思っていません。記憶がないのです。

飲ませ忘れないように、おママの薬は目に付くところに置いていました。

この日、おママは何を思ったのか、自発的に2包目を飲んでしまったようです。

「血圧下がりすぎか…。」(°_°)

お腹が落ち着いてきたので、速やかにお布団に入っていただきました。

 

これからについて

おママが眠っている間に、ジジ、オネコと私は薬の管理について話し合いました。

今までおママは自分の薬にまるで無関心でした。私達は油断していましたが、今後は目に付かない場所に保管したほうが良いでしょう。

新しい保管場所はジジの薬を入れている引き出しに決めました。専ら、ジジがおママに飲ませるのですが、オネコと私で確実に服用の確認を心掛けようと思います。

 

他にも、おママの沢山ある衣類、苦しかったタイツ、下着類は新しくする事など。

今後、おママの身の回りで見直さなければいけない点は沢山ありそうです。

「もう、今まで通りでは難しくなるね…。」

症状の進み具合を考えると、おママは来年の今頃はどうなっているでしょうか…。

そんな事も、オネコと話し合いました。

 

その後のおママ

日が暮れた5時頃、おママは目を覚ましました。さっきよりずいぶん顔色も良く、気もはっきりしていました。

その後、土曜日はまだ食欲は戻らず、元気はなかったのですが、日曜日はジジと近所に買い物に行き、月曜日はすっかり食欲も回復しています。

 

昨日(11月26日月曜日)、ジジとおママはかかりつけ医の診察を受け、薬を処方してもらいました。おまけにインフルエンザの予防接種も済ませていました。

 

私は例の薬を2日分重複して飲んだ経緯などを、先生にお話ししました。おママの血圧と認知症の薬は2日分飲んでしまっても、それが元でどうなる容量ではないようです。今回は祭日だったから、先生にも相談できず、ただ寝かせておくばかりでした。でも、やはり、ひたすら安静にして薬が抜けるのを待つので良いそうです。

 

実家に戻り、私は一包化された薬の袋に日付を入れました。

28日分です。

11月27日から1日分づつ書くと、終わりは12月24日になりました。

クリスマスイブですね…。

「今年一年、早かった…。」

改めて、私は師走の足音に慄きました。

年末は慌ただしい毎日ですが、

おママもジジも、そして私を含めた皆んなが元気で、正月を迎えられますように。

(^O^)

 

*本日アップの貼り絵

こちらの紙を使っています。⬇︎

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こちらの仲間です。⬇︎

harienikki.hatenablog.com

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。m(_ _)m

 

 

 

暗くなる前に…。

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(2018年9月 21日 アルツハイマー認知症の診断から約11年8ヶ月)

 

早く帰りたい❗️

「最近、デイサービスでねぇ…。

帰りのバスの順番を待っている時は、大変なんだよ。」

ジジが溜息をつきました。

 

デイサービスはマイクロバスで送迎をしてくれます。どこの施設でも同じだと思いますが、スタッフさん達がきちんとルートを決め、効率よく同じ方向の何軒か廻るのでしょう。その為、幾便かに分けて送迎して下さっています。

ありがとうございます。(^O^)

 

ジジとおママの場合、火曜日は早い便なのですが、木曜日は遅めの便なので4時半くらいまでデイサービスでお世話になっているようです。私からすると、それはそれで良いですよね。だって、ゆっくりできるんですもの。

 

以前、ジジとおママは火曜日だけデイサービスに通っていました。でも、今年の夏から週2日となり、木曜日を追加しました。

 

ジジによると…。

このところ3時過ぎごろから「早く帰りたい」と、ジジに訴えて大変なのだとか…。

今までも、お昼ご飯と、その後のお片付けを手伝うと「そろそろ帰りましょう」なんて言い出す事もありましたが、さほど問題はありませんでした。

 

しかし、今週の木曜日は

「もう帰りましょうよ。」

「バスで送ってくれるから。まだここに居るよ。」

「でも、どんどん暗くなるわよ。早く帰らないと…。」

「順番にバスで家まで送ってくれるから、勝手に帰ったらダメなんだよ。」

「そんなの待っていられないわよ。すぐに帰りましょうよ。真っ暗になってしまうわよ。」

ジジはおママをなだめるのに難儀したそうです。(°_°)

 

バスを待たずに帰るなんて言語道断。歩いたら30分以上かかります。

それこそ真っ暗になるし、危ないわ‼️ (°_°)

 

つまり、ジジが大変になったのは、陽が短くなったせいなのです。

 

*帰趨本能

 この問題をどう解決するか。とても難しいでしょう。

皆さん順番ですから、おママだけが我儘を言うわけにはいきません。

 

「帰る直前まで、おママが何か集中できる物があれば良いんだけどね…。」

これから毎週同じ事の繰り返しになったら、ジジも神経衰弱になりそうです。

「でもさ…、陽が暮れれば。何かやってたって、ソワソワして落ち着かなくなるわよ。」

少し様子を見たがいいと思いますが、午後の遅めの時間になっても、おママがしっかり取り組めそうな作業を、スタッフさんから本人に勧めてもらうのよう相談した方が良いかも知れません。

 

でも、この話をジジから聞いて、私はふと思いました。

 

 時々自分の家という実感はなさそうですが、それでもおママにとって、我が家は一番安心できる場所なのですね。(^O^)

 

それにしても…、

陽が短くなると、おママは帰趨本能に駆り立てられてしまうとは…。

慎重派の怖がりな性格だから、1人で飛び出していくとは思わないけど、

今が一番陽が短い季節だから、しばらくしたら又少しづつ日は長くなるのだから、

なんとかやり過ごせればいいのですが…。(^。^)a

 

 本日アップの貼り絵

友人から頂いた包装紙を使っています。

濃く深い臙脂色はおママの好みの色でもあります。

クルミッ子」というお菓子包装紙だそうです。

中央のパーツには小さいリスのイラストをひとつだけ見えているのも面白いです。

真ん中のブルーのパーツはこの作品のために切ったというより、作業机の上に沢山ある細かい切り落としや残りの紙の中から見つけたのだと思います。(^O^)

 

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(2018年9月に21日撮影)

 

⬇︎こちらの包装紙です。

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⬇︎クルミっ子の公式サイトです。どんなお菓子か分かるのですが、最近パッケージがリニューアルされたそうです。おママが使用したのは旧バージョンだったのですね。(^O^)

クルミッ子 | 【公式】 鎌倉紅谷オンラインショップ

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

追憶の野菜スープ 酢味噌汁を作りながら。

 

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(2018年10月8日  アルツハイマー認知症の診断から約11年8ヶ月) 

 

今、実家は味噌ブーム

塩分取りすぎには要注意ですが、味噌は日本の伝統的な調味料であり、健康的な大豆発酵食品であります。(^O^) 味噌汁はお馴染みの家庭料理です。

ところが、おママがアルツハイマー認知症になってから、実家では何故か殆ど味噌汁を飲まなくなってしまいました。

 

今年に入って私が月水金の昼・夕食を担当する事になっても、

(ジジは味噌汁嫌いだったっけ?そう言えば、おばあちゃんは味噌を好まなかったしな…)

最近まで、私はそう思い込んでいたのです。

 

9月、ジジは『脊柱管狭窄症』の記事が読みたくて⬇︎下記の雑誌を買いました。それに『酢味みそ汁』の特集がありました。

確か先に読んだのは私。

「酢味噌汁は身体に良いそうですね。糖尿にも高血圧にも便秘にも効果あるって書いてあるわ。味噌汁に酢を加えるだけらしい。」

「へぇー。」

別にジジは味噌汁が嫌いではなかったらしい。そう言えば、たまにインスタント味噌汁は買っていましたね。

www.makino-g.jp

ジジも熱心に読み、以後、実家の食卓に上る汁物は断然味噌汁が多くなりました。

お酢も入れてね。」

ジジはすっかり気に入ってしまったようです。効果はまだ実感できていませんが…。(^O^)

「酢を入れると、かえって味噌の塩気が柔らかくなるね。全然酸っぱさは感じないし。」

(そうね…。私には少しだけ酸っぱいけど…。)

おママは何も気にならないようです。

 

ほぼ2人分なので、実家では味噌汁は小さな片手鍋で作ります。

それに大さじ一杯弱くらいの酢を投入しています。あまり酸っぱいとおママが嫌がるでしょうから、隠し味程度にしています。

最近では、味噌汁だけでなく、味噌煮込みうどんにも酢を入れています。

酢味噌汁は悪い事はなさそうだし、何よりジジが「身体が温まる」と喜んでいるから、私も作り甲斐があります。

 

おママの野菜スープ

酢味噌汁を作りながら、私は思うのです。

(なぜ、おママは味噌汁ではなく、野菜スープを作り続けたのか?)

私はおママが認知症の診断を受けて間もなく、ジジの仕事の手伝いの為に、実家へ通うようになりました。

その頃から2016年の夏頃(診断から約9年半)まで、

おママは毎日のように野菜スープを作り続けました。その間、私の記憶違いでなけれな、おママが味噌汁を作る事も味噌を買うことも無かったように思います。

 

その野菜スープは…。

ジャガイモ、玉ねぎ、人参、椎茸orしめじ、セロリ、ピーマンなどに、

ウインナーソーセージを切って加え、出汁はブイヨンです。味付けは塩胡椒。

 

おママは昼前になると、自然と台所に立ち、たくさんの野菜の皮をむき、形を揃えて切っていました。仕事の合間に私は2階の台所の様子を見に行くと、トントンと軽快な音がして、おママが俎板の上で野菜を切っていました。

柔らかに煮えた野菜は、ソーセージとブイヨンの出汁が良く沁みて…。

それはとても美味しかったし、野菜がたくさん入っていましたから、ジジの健康にも貢献していたでしょう。そして調理を続けられた事はおママ自身のためにも良かったと思います。

最後の2年間くらいは、認知症の症状が進み、何度も塩コショウを入れたりブイヨンを2度入れたりするから、塩っぱくて汁は飲めませんでした。でも、野菜だけならば、スープ煮として考えると美味でした。

 

何故、味噌汁ではなかったのだろう。

昭和一桁生まれのおママにとって、子供の頃から慣れ親しんでいたのは和食でしょう。実際、おママが主婦としてバリバリ台所に立っていた時分は、味噌汁や和風のお汁は定番で、野菜スープが食卓に上がる頻度は少なかったと思います。

それに、昔のおママは味噌風味が好きでした。柏餅だって味噌餡の方を好んでいましたもの。

 

なのに、認知症になっても作り続けたのは野菜スープでした。それはもう、強いこだわりがあるかのように、来る日も来る日もおママは野菜スープを作りました。

なぜ?

今のおママに聞いても答えはないでしょう。既に野菜スープを作っていた事自体、記憶にないでしょうから。

考えても私に正解は見いだせないと思います。 

 

ふと思い出すのは、私がまだ中学生や高校生、そして大学生だった頃、

おママがオーブンからグラタンを出す時の楽しそうな顔。

 

「これはラタトゥイユというのよ。」

「これはラザニア!」

昔の食卓にはちょっと洒落た名前の料理を作った時の満足そうな顔。

 

もしかしたら、洋風なお料理に憧れと強い関心があったのかしら?

豊富な野菜と風味豊かなウインナーソーセージをブイヨンで煮た野菜スープは、

おママにとって作って楽しいお料理だったのかも知れませんね。

 

 本日アップの貼り絵について

オネコが⬇︎この冊子の表紙が素敵なので、持ってきてくれました。

化粧品メーカーから送られてきたそうです。

キノコのイラストでしょうか。秋らしい雰囲気ですね。

「おママはこれ好きそうよね。どんな風になるかしら。」

オネコは楽しみなようです。

でも、ママがその紙をいつ使う気になるか、全く予想がつきません。

 

10月5日にオネコが実家に持ってきて、8日制作ですから、今回は早かったですね。何年もおママの作業机周辺に埋もれて眠ってしまう多い中、実に幸運な紙でした。

それだけ、おママの心の琴線に触れたのだと思います。

 

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 ⬇︎こちらが公式サイトのようです

www.haba.co.jp

 おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

 

読む力

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(2018年10月 5日 アルツハイマー認知症の診断から約11年8ヶ月 )

 

 そのままを楽しむ

  この日(10月5日)、昼前に実家に着くと、おママは上の2枚の貼り絵を制作していました。

見た感じでは、印刷された葉のイラストを大雑把に切って貼っただけです。

一瞬、(おママ、手抜きですか〜?)と言いたくなりますが、恐らくこれにはおママなりの理由があると思います。

 

葉のイラストは透明水彩絵の具で書かれたものでしょうか?

植物本来の色とは違うかもしれませんが、瑞々しさすら感じさせます。

「綺麗な葉っぱですね」

「そうね…。」

おママは糊を付ける手を止めずに微笑みました。

 

おママが葉を単純に並べた理由について、私なりに考えてみました。

 

この葉のイラストは、オネコがくれた演奏会のチラシから切り抜いたものです。

こんな形で残されていました。⬇︎(表面)

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⬇︎(裏面)

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⬇︎こちらのサイトでチラシ全体を見ることができます。

神奈川フィルハーモニー管弦楽団

 

おママはこのチラシが、とても気に入ったのだと思います。特に葉のイラストに心を奪われたのでしょう。だから、なるべくチラシの雰囲気をハガキに移動し、残しておきたかった…。

それでも、元の演奏会チラシのままではなく、葉をハガキに配置する時に、並べる順番を変えているのが、おママの工夫だったと思います。

 

ここで、もう一つ問題になるのは、文字の扱いです。

おママも少々悩んだと思います。葉の上に被っている横文字は残さざるを得ません。

では、それぞれの葉の下に記載されている曲名等はどうしましょうか?

結局、おママは絵と文字をセットで残しました。文字は葉のデザインの一部である。そう解釈したのではないか?

しかし…。

(曲名や作曲家名を残した事には、別の理由が含まれていたの知れない。 )

私がそう思ったのはこの直後でした。

 

読んでみましょう。

最近のおママは文字が書けなくなってきました。あまり書く気力もないようです。

それでも読む力は残しておきたい。

そう思うのは、おママではなく、私の願望です。

 

だって、平仮名、片仮名、簡単な漢字くらい読めた方が生活しやすい。それに非常時の伝言メモやが読めなかったら、おママ自身、困るでしょう。

でも、もう、おママは大人が読むような本や雑誌の記事は気力が続かず読めません。

 

それで夏頃に、私は娘が幼い頃に読んでいた絵本を実家へ持って行き、おママに音読してもらおうと思いました。文字数も少ないから読み通せるのではないかと思ったからです。私が子供の頃、おママは良質な絵本をたくさん読んでくれましたから。

しかし、現在のおママは絵を見て喜ぶのですが、今ひとつ読む気になってくれませんでした。

 

この貼り絵を見ながら、私はふと思いました。

(おママは読めるかな?)

それで真ん中の赤系の葉を指差して「これ読める?」と問えば、おママは表情を変えずにサラッと答えました。

ビゼーアルルの女、第2組曲

淀みなく、まるで何度か練習したような、完璧な読み方です。

私が他の葉も指差すと、

「べるでぃ、歌劇、運命の力、序曲」

「はちゃ、なんとかかんとか、バレイ音楽、ガイーヌより、バラの乙女達の踊り」

長い片仮名の名前はいい加減ですが、ほぼ完璧です。漢字はほぼ正解。

「素晴らしい。」

「当たり前でしょう。」

私からすれば、当たり前ではありませんよ。(°_°)

日頃のおママは単語が消えてしまい、会話は「あれ、それ、これ、どれ」を連発して、なんとか成立させているのですから。

 

おママは貼り絵をしながら、何度か文字を黙読し、反芻していたのかも知れません。

読みながら、記憶の奥に眠っていたイメージを呼び起こし、それが音楽の曲名なのだと認識できたからこそ、文字も貼り絵に残したのではないか?(^O^)

 考え過ぎかな?

 

暮らしの中の文字を拾って

 私の知らないうちに、おママは暮らしの中で一生懸命に文字を読んでいるのかも…。

 

私が薦めた絵本は、プライドの高いおママには子供っぽ過ぎて読みたくなかったのかも知れない…。

それに物語性のある絵本では、前のページの記憶が残らないから、おママには苦痛でしかなかったか?

 

これは、あくまでおママの例に過ぎませんが、

絵本に限らず、例えば、お菓子や食品の包装材に印刷されている文字や、広告の見出しなど、暮らしの中で目にする文字を、おママと一緒に読むと会話も進んで良いように感じました。

 

「リスト、交響?レプレリュード、前奏曲エス97…」

一緒に読み上げて、重なる声はハーモニー。良いひとときでした。

 

 

⬇︎気に入った紙の柄をそのまま切りぬき、並べた作品の例です。

harienikki.hatenablog.com

 

 おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

オヤツを食べましょう。

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 (2018年10月12日  アルツハイマー認知症の診断から11年8ヶ月)

 

お菓子大好き💕

おママはお菓子が好きです。

でも、目に付くところにあれば、食べた事をすぐに忘れる人ですから、最近はジジもあまり買わないようです。

と言うより、デイサービスの回数が週2日になってから、ジジとおママが買い物に行く回数が減ったから、買う機会が減ったのですね。

 

でも、全く無いのも考えものです。

それで、私が自転車で買い物に行ったついでに買ってきたお菓子がこれ。⬇︎

イチゴジャムが入っていて、美味しかったです。マレーシアのお菓子らしい。

開けたらおママは

「わー❣️キレイ」と大喜びでした。

個別包装のピンクの袋がキラキラしているものね。

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(2018年10月24日撮影)

 

早速、おママは1つハサミで切って中のジャムクッキーを出しました。

それを食べるのかと思いきや、事もあろうに更にもう一枚を手に取り、パサリとハサミで開けてしましました。

 

(両手で2枚持って食べるのかい❗️欲張りな~。)

呆れるような、可愛いような、子供みたいですね。(^O^)

 

ところが、おママは開けた個別包装の袋の口からジャムクッキーを半分出して、

「はい、これ、あなたどうぞ」

とジジに差し出すではありませんか。

(なぁんだ…。)

おママはジジのために袋の口を開けてあげたのね。

 

「いや、自分でとったよ。」

当のジジはすでに自分で一袋を手にしていました。でも、まだ開けてなかったので、それを容器に戻し、おママが出してしまったクッキーを受け取りました。

なんのかんの仲良いのね。(^O^)v

 

「あなたも食べてね」

と私に気を遣ったりしながら、瞬く間におママは3枚も食べていました。

それでも数分後には、食べた事をしっかりお忘れのようです。

「これ食べたいわ。食べようかしら」

「お母さんはもう3枚も食べてますよ」

と私は諭しましたが、おママは小首を傾げるばかりです。

「そうかしら?そんなに食べてないわよ。」

「食べたのよっ。」(°_°)

納得できないようでしたが、おママも空腹ではなかったから、すぐに矛を収めてくれました。

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(2018年10月24日撮影)

そして、今度は外袋にも興味津々。

私が雑に開けた封の部分をハサミでキレイに整えていました。

 

「お母さん、あらかじめ言っておくけど、その袋はプラ系だから糊でハガキに貼ろうとしても付きにくいわよ。」(^。^)

幸いこの包装材は貼り絵にはならなかったようです。

 

*本日アップの貼り絵

デイサービスで頂いた千代紙 を使っています。

⬇︎こちらも頂き物の千代紙で作っています。

そして、仲の良い話でした。

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おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。