アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

落ち葉を食べたの…⁉️

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 (2019年10月14日 アルツハイマー認知症の診断から12年8ヶ月)

 

食欲の秋⁉️

10月16日水曜日

「今朝ね。おママは珍しいものを食べたんだよ。」

「………⁉️」

私は嫌な予感しかしません。

 

この日の朝、ジジとおママは朝食にトーストを食べていたそうな。

ジジが焦がしたトーストの表面の焦げをフォークでこそげ落としていると、おママも真似してやっていたとさ。

 

何故かここ最近、ダイニングテーブルの上に10年以上前の文芸春秋が載っていたのです。それで、その時おママは何を思ったか、手許にあったその古い文芸春秋をおママが開くと、落ち葉が一枚出てきました。

一部はもう葉脈だけになっていて、結構長い期間挟まっていたように、真っ平らでカサカサに乾いていたらしい。

 

それをおママったら、パクッと食べたんだと!

いやいや…おママよ…。

 

ジジもかなり衝撃を受けたらしく、

「そんなもの食べるんじゃないの!」

「平気よ。」

「食べ物じゃないんだからやめなさい!」

するとおママは逆ギレ。

「これは大丈夫よ。私はちゃんと分かっているんだから‼️」

 

おママが食べたのはもみじではなく、楕円形を尖らせたような葉っぱだったらしい。

 

「なんの葉っぱか分からないんだよね。多分、外で拾ってきたのだと思うよ。柿の葉みたいな形だった。」

 

毒が無ければ良いのだけど…。心配です。

「ま、大丈夫そうに見えるよ。」

ジジはそう言うけど、

落ち葉を食べるようになったかと思うと…。

認知症の症状である、見当識障害が進んできたね…。(^◇^;)

 

きっとおママは何年も前に、一部分が葉脈になっている落ち葉を見つけて、面白いと思って拾ったのでしょう。

その時は貼り絵に使うつもりだったのかしら?

それを食べちゃったのね…。

因みに…、

幸いな事に、おママはお腹を壊さずに元気にしております。

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本日アップの貼り絵

ミントグリーンは梱包テープです。

白い鹿の子模様の四角は⬇︎白松がモナカ本舗の包装紙です。

www.monaka.jp

 中央のブルー系はこちらの包装紙です。

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www.abekama.co.jp

 

 

おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。

ジジの介護保険、認定区分見直しの調査

 
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(2019年9月7日 アルツハイマー認知症の診断から約12年7ヶ月)

 

認定区分を見直したいです❗️

91歳のジジは認知症歴12年のおママを抱えて、今までも今も頑張っています。

現在、「要支援2」です。

しかし、今年の6月に脊柱管狭窄症と診断され、昨年とは比べられないほど動作が危うくなってきました。

日常生活は2階ですが、階段はキツくなっており、実際危ない。

そろそろ、1階で生活できるように変えていかないとダメなのだと思います。

それでも、長年2階で暮らしてきたジジとおママですから、生活を大きく転換させるのはなかなか難しいようです。

 

夏前からただでも衰えを感じてきたジジですが…、

先月10月中旬に台所で転んで右手首の手根骨を痛めてからは、

もう踏んだり蹴ったりでした。

これで聞き手が思うように使えなくなったために、長年付き合ってきた内痔による脱肛が悪化してお尻まで痛むのです。たびたび流血沙汰にもなりました。(°_°)

(⬇︎の記事にあれこれ)

harienikki.hatenablog.com

〈ジジの内痔については若干の進展があったので、これはまた別の機会に書きたいと思います。 〉

 

ジジは室内でもどこかに摑まりながら歩いている状況です。

最近、本人は入浴時に恐怖を感じるそうですし、私達から見ても自宅の浴室に危険を感じます。私が来ている時に見てあげる事は出来ますが、腰痛持ちの私が毎回、狭い浴室でジジの身体を支えられる自信はありません。

出来れば…、デイサービスで入浴サービスが受けられれば…。

それには「要支援」ではなく「要介護」の認定にならないと不可能なのです。

今年は状態や状況に変化があったので、思い切って介護保険の認定区分の変更を申請しました。

harienikki.hatenablog.com

 

認定調査

下の記事は昨年の2度目の認定調査の記録です。

harienikki.hatenablog.com

 

今回も調査員の質問はあまり変わりがありません。

緑は調査員の方の質問、青はジジの答えです。私の発言は黄色です。

 

まずは氏名年齢生年月日住所などを聞かれました。

ジジは認知症の症状がないので問題なく答えられるはずなのですが、まず調査員さんの声が聞き取れません。これは昨年はさして気にならなかったので、その時より更に耳の聞こえが悪くなっているようです。調査員さんの声はごく普通の大きさで、通りの悪い声ではないと思います。しかし、その後全ての質問にたいして、私が横で大声で通訳しないと、ジジは答えられませんでした。

 今回は再調査だからでしょう。その理由や現在の生活などについて親身に聞いて下さいました。

脊柱管狭窄症の事や、今回転んで右手首を痛めた事。ギブスが取れても利き手の痛みが全くない訳ではなく、それが内痔の処置に影響がでて座っていても痛い時が増えた事。

 

デイサービスの回数を増やしたり、入浴サービスを受けたい事などなど…。

父だけでなく、横で私が微に入り細に入りお話ししましたわ。

 

 

 そしてまた、質問に戻りました。

「寝返り打てますか?」

 「寝ていても、身体をうまく動かせなくて、寝返りは辛いです。」

「掴まらないで座っている位置を少しずらせますか?」

「できません。それだけでなく、掴まっていても位置をずらそうとすると身体が倒れそうになります。」

 

「衣服の着脱はお一人で出来ますか?」

「なんとかやれないでもないが、辛いから最近は着替えたくない。このところ1週間以上お風呂に入るのが辛くて、着ているものもそのままです。寝る時はパジャマに着替えるのも大変だから、このまま寝たりします。」

「爪はご自分で切れますか?」

「手の指の爪は震えて深爪したり肉まで切りそうで怖いです。そんな調子なので、長女に切ってもらいます。」

 「食事は御自分で食べられますか?支度などは?」

「自分で食べられます。朝はなんとか電子レンジで卵や野菜や冷凍物を使って作ります。

週に3回下の娘が来る時は昼夜おかずなど作ってくれます。その他はデイサービスでお昼を食べ、夜は長女が来てくれたり、冷凍品や、行かれたらお使いに行き調達しています。」

 

その他、掃除洗濯など家事をどうしているかなども聞かれました。

現実通り、概ね娘が来てやっていると答えていました。

「やはり誰かの介助が必要なのですね。」

「はい。」

そうなんです。

 

「外出はされますか?」

「最近は週2回のデイサービスくらいで、週に一度天気が良ければ妻と買い物に行きます。ただ、シルバーカーでやっとなので、電車に乗る外出は難しいです。」

「奥様とご一緒に行かれるのですか?」

「はい、1人で家に置いておけませんから。」

「ご一緒なさるのも大変ではありませんか?」

調査員の方が私の方を向いて言うので、所見を言わせてもらいました。

「今、お気づきだと思いますが、父は耳が悪いのです。片耳が子供の頃に完全に聴こえなくなり、もう片方は補聴器を入れても聴き取りにくいです。障害者手帳も持っています。それで、自動車や自転車の音が聴こえませんので、私が一緒でも危険を感じる時があります。」

 

そして、実際の身体の運動能力を調べました。

座ったままで両腕を横に開いて肩の高さまで上がるか?前に伸ばして肩の高さまで上げられるか?

これは苦しそうですが、やっとこさ出来ました。

そして両腕を天井方向に上げて伸ばせるか? それは出来ませんでした。

「腕や肩は痛いですか?」

「痛いです。でも、腕や肩ではなく全部腰に響きます。」

 「座ったまま膝を伸ばして上げられますか?」

ジジは必死に試みるも撃沈。調査員がジジの膝が伸びているかどうかを触って確認したら

「あ…、膝は伸びませんね…。」

 

次は歩行する時の様子を見るのですが、現在ジジは母親(私の祖母)の介護の時に買った歩行器を使って歩いています。

「痛いです。腰が痛いです。」

 

後は認知機能のテスト。「ここはどこですか?いまの季節は?」など、ジジは問題なく正解できます。

 「繰り返し同じことを言う事はありますか?」

これは私が聞かれました。

「物忘れはありますけれど…。年相応かと思います。」

「それほど気になるほどの繰り返しはないのですね。」

しかし、だからといって、意思疎通がスムーズとは言えません。きちんといったほうがいいと思いました。

「今、質問してくださった時に感じられたと思いますが、耳が聞こえにくい事が原因で、自分勝手に解釈したりします。聞き取れないから聴かなかった。質問を正確に認識出来なかった。そんな事が多いです。」

「聴力が衰えたことによって、認知力が低下したと言うことですね。」

「はい。」

 

後は介護保険で取り付けた手摺や、レンタルの手摺などを確認し、いつも使っているベットやおママの様子も見て頂きました。

「娘さんがいらっしゃれない時に、ヘルパーさんをお願いする方が良いかもしれませんね。例えば買い物に一緒に行ってもらったり、夕ご飯を作るために1〜2時間来てもらうのとか…。」

確かにそれも検討する時期だと思いますした。

 

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膝が伸びませんね…。

 本日アップの貼り絵

9月6日に⬇︎私はこんな感じの「お題」を作業机に出しておきました。

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 そして翌日の9月7日に完成したのが本日アップの貼り絵です。

 ⬇︎の貼り絵もこのお題から制作された、もう一枚の貼り絵です。

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 光の当たり具合でキラキラと色が変化する紙を使っています。

⬇︎波打って見えますが、真っ平らな紙です。

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 ⬇︎同じ紙から生まれた作品群。(^O^)

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おママの貼り絵を見てくださり、ありがとう御座います。

胃癌の経過について。クレバアのQOL(番外編)

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(2019年7月31日 アルツハイマー認知症の診断から約12年5ヶ月)

 

 その後のクレバアの様子

クレバアはダンナのお母さんです。つまり、私に取ってはお姑さんです。

80代ですが頭はキレッキレでとてもクレバーな人なので、私と娘のアズキは密かに彼女を「クレバア」と呼んでいます。

 

そのクレバアは今年の春くらいから食が落ちて、今思えばその頃から体調がイマイチでした。

そして7月下旬にステージ4の進行性胃癌と診断され、8月初旬に退院しました。

癌は胃だけでなく肝臓と肺にも小さな転移が見られるようです。そのため、治療は手術ではなく抗がん剤治療になると説明を受けました。

 

しかし、高齢で体力もなく、厳しい副作用が予想されます。

家族で話し合った末に、クレバアが出した結論は抗がん剤治療はしない」でした。

少しでも長く自分の家で、癌の進行を遅らせながら、なるべく元気で良い状態を保ちたい。

クレバアの願いは、QOL(クオリティ  オブ  ライフ)、元気な状態で延命をはかる事です。

 

その後のクレバアはお蔭様で家の中のことはゆったりとマイペースで行い、食事も自分で食べられそうな物を作ったり買ってきたりして食べています。

今現在は痛みや苦痛が有る訳でもなく、クレバアが望んだQOLは保たれております。(^O^)

 

しかし、抗がん剤治療をしないとなると、クレバアは何の治療もなくなってしまいました。あとは緩和ケアのみです。

それはそれで張り合いがない。

クレバアは抗がん剤治療は嫌だけど何かしたいという思いが強くなりました。

そのため、医学的には賛否が分かれますが、丸山ワクチンをかかりつけ医に預けて、週3回注射に通っております。

この件につきましては、更に数ヶ月様子を見て書いてみたいと思います。

 

しかし、先々、在宅で対処できなくなる時も来るでしょう。

そのために、かかりつけ医から入院も可能な緩和ケア専門外来がある総合病院を紹介していただき、定期的な検査はそちらで行う事になりました。

これにより、訪問診療も可能なかかりつけ医と、いざとなったら入院できる総合病院も見つかったので、クレバア自身ホッとしたと思います。 

 

先週、クレバアは総合病院で3ヶ月ぶりのCT検査をしました。

それによると、胃癌の大きさに変化はありませんでした。しかし、肺と肝臓にある癌のような影はほんの少し大きくなっているようです。

「それでも、気にするほどの大きな変化ではありません。」

医師にそう説明されて、クレバアも付き添っていたダンナも胸を撫で下ろしたそうです。

この安定した状況が、少しでも長く続きますように…。

 

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 本日アップの貼り絵

ここ数ヶ月、おママはぼんやりしていることが多く、なかなか貼り絵に取り組まない日が増えてきました。

しかし、ハサミや糊を使わないでいると、おママは貼り絵に限らず、本当に何も出来なくなりそうです。

そのため最近では、あらかじめ私が作業机に何種類かの紙や切れ端を出して置き、

まるでおママが貼り絵をやり掛けているたと思えるような、お膳立てをすることも増えました。

 私はこれを「お題方式の貼り絵」と呼んでおります。

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それで、2019年7月31日の「お題」はこちらでした。⬇︎ 

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 細長くて光沢のあるブルーの紐状の紙はとても華やかで綺麗でした。これらは過去におママが自ら切り抜いて仕舞い込んでいた物です。

 

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おなじみ紅茶のティーパックの袋は入れたいのですね。⬆︎

 

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 ⬆︎なかなか構成がまとまりません。

いろいろ思案中。ブルー系の細長い紙は使わないようです。

 

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 途中、昼ごはんや休憩などを入れながら、トータルで1時間半ほどで出来上がりました。

 

おママの貼り絵を見てくださり、ありがとう御座います。

ファイルの中からこんにちは❗️No.5 (2008年ゴージャスな謎)

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①の貼り絵

(2008年7月4日か?「07.04.57'」と表記されている。

 アルツハイマー認知症の診断から約1年5ヶ月)

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②の貼り絵

(2008年7月9日「07.09.080」と表記されている。

アルツハイマー認知症の診断から約1年5ヶ月)

 

やさぐれチャーコ

週明けの月曜日だというのに、身体がついていきません。

妙に生暖かかったからでしょうか…。

時々、私は理由もなく、どうにもならない疲労感に襲われます。

ほぼ、気分の問題だと思います。

全てから逃れたいような、ちょっと捨て鉢な気分になるのです。

ジジもおママも老体に鞭打って頑張って生きているのに、私ったら「わーーー」と叫んで、走って逃げたいような…。

こんな時は1ミリだって線は描けないし、1文字だって文章は書けないと思うのです。

(と言いつつ書いている…。)(^O^)

 

そして、ふと、思い出した

体調が下降線になって気分が沈むと、私はひたすら内省に走ります。

それで気が付いたのです。

このブログで幾つかあるシリーズの中でも、1年以上放置しているのがあった❗️

 

「ファイルの中からこんにちは❗️」のシリーズです。

これは過去のファイルから私が心を惹かれた作品を紹介したり、現在の作品と並べてみたりする企画でした。

 

(そうだ、過去のファイルを見てみよう❗️)

 

おママがアルツハイマー認知症の診断を受けてから1年ほど経過した2008年のファイルを開いて見ていると、本日アップの2枚の貼り絵が眼に飛び込んできました。

 

昔から私は心身共に疲弊している時に、光り物を見ると元気になる傾向があります。

特にゴールド、プラチナ、ダイヤの輝きは、私を元気にしてくれます。

しかし私は安上がりな女です。

デパートの宝飾店売り場のショーケースを眺めて歩いたり(眺めるだけね)、煌びやかなジュエリーや王侯貴族の冠などの写真でも良いのです。

 (^◇^;)

 

それで、この貼り絵に眼が止まりました。

広告写真ですね。指輪なのかしら?

ゴージャス‼️

 

①②の貼り絵とも、恐らく同じ広告からおママは切り抜いたのでしょう。ファイルには⬇︎こんな感じで納められていたから、それほど時間を開けずに制作された連作だと思います。

 

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と平成をまたいだか?

ところが、貼り絵を裏返して日付を確認しますと…。

①の貼り絵は「07.04.57'」と記載されていました。

7月4日というのは分かるのですが、「57'」って何でしょう?

「1957年」でしょうか?

それとも

「昭和57年」(1982年)でしょうか?

 

②の貼り絵は「07.09.08」ですから2008年7月9日と分かります。

 

(おママさんよ。2008年のファイルに並んで収まっている連作なのに、51年間もしくは26年間の空白があったんですか⁉️)

 

いえいえ、これは単なるおママの書き間違えです。

2008年頃のおママは今よりシッカリしていました。大抵、新聞の日付を見ながら制作日を記入していますから、

おママは何か「57'」と書く根拠があったのでしょう。

その何かは何か?

11年も経過した現在では知る由もない事です。

古いファイルの中から突然ゴージャスな謎を発見して、

戸惑うチャーコで御座いました。(^O^)

 

 

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おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。

型絵染と装丁

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(2019年9月20日 アルツハイマー認知症の診断から約12年7ヶ月)

 

やさがし

11月になって、私は時々実家でゴソゴソ家捜しをしています。

チャーコが何か実家でお宝を見つけて、ネコババしようとしてるって?

そう思われるかも知れませんが、実家には一般的なお宝などと言う物はありません。

残念だぁ。

 

私が探しているのは、おママが貼り絵を始める前の作品です。

ルリユール(ヨーロッパの伝統的で美術的な装丁技術)の箔押し(金箔押し)やモザイク技法の作品は直ぐに取り出せるのですが、それ以前の革工芸のクラフトカービングの作品は残っていないのか…。

それともおママは何処かに仕舞い込んでいるのか?

 

思うような過去の作品が見つからないので、私は製本の作品を納めているタンスの引き出しを開けて、一つ一つ眺めていました。

 

すると、⬇︎これが眼に入りました。

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 恐らくおママが50代の頃に、練習用の白紙の本を製本した物だと思います。

あまり大きな本ではありません。

⬇︎このくらいの大きさです。

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皮革ではなく、布で装丁の練習をしたのですね。

私はおママがこの布地を大事にしていた事を覚えております。

そして、おママがこの練習作品に取り組んでいた事も、記憶があります 。

 

若い時に習った型絵染

この布地はおママが結婚する前に、自分で染めた物です。

昭和30年代の初頭、ほんの数年間だったと思いますが、おママは結婚するまで染色家である芹沢銈介先生の工房に型絵染を習いに行きました。

 

昔、おママから聞いた話ですが、女子美術大学で一般の人も参加できる芹沢先生の染色教室があったそうです。勿論これは短期間で、今でいうところのワークショップみたいな物だったのかも知れません。

おママはすっかり染色が面白くなってしまいました。それで、続けたいと思ったそうです。他にも数人希望者がいたらしく、定期的に芹沢先生の御自宅にある工房に通えるようになりました。

勿論、人間国宝の芹沢先生も見てくださったそうですが、主立ったお弟子さんから指導をうけたのではないかと思います。

銀行勤めをしながら、染色の勉強に通う。

そんな、おママの楽しそうな姿が眼に浮かぶようです。(^O^)

 

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型絵染とは…。(ザックリとした説明です。)

①渋紙に下絵を貼り付け、カットして型を作ります。(補強のためでしょうか?裏面に薄い綱を貼っています。)

②型を布の上に置き、もち米を主原料とする防染糊を付ける。

③型を布からはずし、防染糊の付いていないところを染料で染める。

④染め終わったら防染糊を洗い流す。

 

実は、この装丁に使った染色布は型紙も残っているのです。

六十数年も前の型紙ですが、渋紙は丈夫ですね。全く、痛みや劣化がありません。

そして、私の知る限り、型と実際に染められた現物が残っているのはこれだけです。

(⬇︎これが型紙)

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古くて紐も切れてしまったカルトンに、何枚も型紙が残されていました。


⬇︎下の写真の中で、左上の図案は、後におママの箔押しの作品に使われています。

その件については、また別の機会にでもご紹介します。

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⬇︎芹沢銈介先生の作品や経歴が詳しく書かれています。

www.seribi.jp

⬇︎丁度、おママが通ったのは昭和30年代でした。

www.seribi.jp

そして革工芸、ルリユールへ

昭和34年に25歳でおママは結婚しました。当時、ジジの勤務地は小樽でした。

昔のことですから、おママは結婚と同時に銀行を退職しました。

恐らくこの時に、芹沢先生の工房もやめたのでしょう。

後年、下の娘(チャーコ)も小学校高学年になって、子育てが一段落した頃に、おママは革工芸に取り組みました。

 

何故、革工芸を選んだかというと、

「昔、芹沢先生が私の染色を見て、『あなたは革の染色に向いているのではないか』と仰ったのよ。それで、いつか革工芸をやってみたかったの」

と言っていました。

 

若い時に尊敬する芹沢銈介先生の工房に通い、先生の作品に接した事は、おママのその後の手仕事に大きな影響を及ぼしてたと思います。⬆︎の「静岡市立芹沢銈介美術館」のサイトを見ますと、芹沢先生は本の装丁もなさっていたのですね。

 

20代前半に取り組んだ型絵染の布。

50代で始めた製本技術

 

この装丁の作品は、この2つが融合して生み出されたのですね。(^O^)

 

 

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本日アップの貼り絵

千代紙をたくさん使っています。民藝のイメージがあるので、選んでみました。

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

称賛の嵐

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(2019年9月4日 アルツハイマー認知症の診断から約12年7ヶ月)

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(2019年9月4日 アルツハイマー認知症の診断から約12年7ヶ月)

 

 平常運転

11月13日 水曜日

夕方、トイレに入ったおママ。出てくるなり、

「あの、あそこのあれ、あれがあーなんで、どうしよう」

と身悶えながら訴えました。

いつもながら、おママの発する言葉には単語があまり出てきません。

ジジも私も今ひとつ理解できませんが、なんとか推測するのもいつも通り。

平常運転で、これが実家の生活においてはスタンダードになっています。

 

恐らく…、トイレットペーパーが無くなったのだと思いました。

しかし、おママの様子を見ると、状況はそれより緊迫しているように感じました。

 

もしかして…、トイレットペーパーが無くなって、拭かないで出てきちゃった⁉️

もしかしたら…何時ぞやみたいに、便座の前にナニが鎮座してたりしたら困りますわ。

 

ジジは「紙がないの?」とおママに訊ねると、

「えー?あれなのよ」

と、紙でもなさそうです。何なのよ。(^O^)

 

褒めよ、称えよ。

おママは私よりジジに訴えかけていたし、ジジも伝い歩きをしながらも動けたので、

私は座ったままテレビの大相撲中継を見ていました。

 

それで、ジジか一緒にトイレに行ってみると、おママが指差したのは、やはりトイレットペーパーホルダーでした。

「それまだあるけど、なくなるから」

「本当だ。」

なるほどね〜。

(おママ、なんて気が効くんでしょう。)

無くなりそうだから、次の人のために補充しておきたかったのね。

エライ❗️

ジジはトイレットペーパーを押入れから出して、ホルダーの側に設えてある棚に置きました。

そうしたら、おママったら…。急に大きな声で嬉しそうにいうではありませんか。(^。^)

「エライわ‼️良く出来ましたー‼️」

パチパチパチと手を打ってジジを称賛しました。

「何言ってんの…。」

ジジは大して嬉しくもないでしょうが、こそばゆいような笑顔でこたえていました。

急に上から目線でジジを褒め称えたおママが可笑しいやら可愛いやら。

 

この時、私は手を出さなくて正解だったと思います。

きっと私がやったら、おママは「あら、すみません。ありがとうございます」と恐縮しながら言うでしょう。

でも、ジジがやっとこさ歩いている状態で、おママの困り事を解決したのですもの。

確かに称賛に値しますよ。

 

考えてみれば、おママが誰かを称賛する姿は最近見なかったような気がします。

おママが誰かを褒める機会を奪わなくて良かったわ…。

 

本日アップの貼り絵

⬇︎下の包装紙を使っています。

以前、知人から頂いた松蔭饅頭のものです。

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 松蔭饅頭は和菓子屋さんではなく、老舗のパン屋さんで売っているらしい。

何度か食べたことがありますが、私はお店に行ったことは無いのです。一度行ってみたいなぁ。

因みに松蔭饅頭はとても美味しいです❣️

 

⬇︎下記サイトのページに紹介されてます。下の方にスクロールすると松蔭饅頭の写真もあります。

icotto.jp

 

⬇︎松蔭饅頭の箱にかかっていたのし紙を使った作品です。

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 おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。

『正倉院の世界 皇室が守り伝えた美』展を観に行きました。(番外編)

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(2019年9月20日 アルツハイマー認知症の診断から約12年7ヶ月)

 

天皇陛下即位の行事のうち、「祝賀御列の儀」が11月10日日曜日に行われました。

体力がない私はテレビで見ていました。

天気が良くて良かった。強い風が吹いていなくて何よりでした。

天皇陛下と雅子皇后陛下がとても和かで、TV組の私でさえ幸せな気分になったのですから、直に沿道で御列を見た方は感動的だったのではないかしら。

 

現在、東京国立博物館の平成館で『正倉院の世界 皇室が守り伝えた美』展が開催されています。これは御即位記念特別展です。

今回は番外編として、「この展覧会に行ってみたよ〜」という記事です。

 

因みに平成館というのは天皇皇后両陛下の御成婚を記念して平成11年(1999年)に開館した東博の展示館です。2015年のリニューアルで2階は特別展、企画展専用の展示室となりました。

 

事の発端は…。(°▽°)

正倉院展」は毎年奈良国立博物館で開催されていますが、東京に来ることは滅多にありません。秋に展覧会があると知った時点で私は行くと決めていたのですが、実際に前売り券を買う段になった時、ふと思いました。

(ウチのもうすぐ25歳になろうとしている娘は行くだろうか…。

いや、そもそも、正倉院を知っているのだろうか?)

娘のアズキは特に歴史に興味があるわけでもなく、プロ野球スマホのゲームに熱中しています。

でも、歴史の授業で習っているよね?

それで、本人に正倉院展があるけど、正倉院って知ってる?」と聞いてみました。

すると嫌な予感的中です。

「あ…、あ…ねぇ…、あー?」

知らないのか⁉️ 歴史の授業で習っても忘れたのね。

 

正倉院っていうのはだね…、東大寺の近くにある奈良時代に建造された倉庫なの。そこに当時の宝物が納められていたのよ。主に聖武天皇の遺品ね。今も8世紀に建てられた倉庫が1棟だけ残っているのだけど、それ自体が文化財でしょ。納められていた宝物は移されて、現在は管理の行き届く御蔵で保存しているのよ。」

「聞いたことあるかも?」

「その宝物が東京に来ることは滅多にないけど、今年は令和になったし、東博でやるんだけど、行く?」

「あ…行きます。」

それで、アズキと2人で行くことになりました。

shosoin.kunaicho.go.jp

artexhibition.jp

4www.tnm.jp

 

夜の展覧会

成人している娘と展覧会に行くとなると、土日になってしまいますが、人気のある特別展は必ず混雑するし、入場に1時間以上並ぶのも良くあることです。

それで、今回は21時まで開館している金曜日(土曜日も21時まで)に行ってみました。

先週は風邪などを引き掛けましたから、私の体調は万全ではなかったけど、アズキと一緒に行かれる日は限られていました。それで、8日の金曜夜に強行したのです。

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 ⬆︎東博本館。日が短くなりましたね。18時前ですが、既に暗い。(^。^)

私達は足早に平成館へ向かいました。

幸い入館の列はなくて、直ぐに館内に入れました。

しかし、館内は思いの外、人が多かったです。

コインロッカーに荷物とコートを入れたいのに空いていない❗️

少し様子を見ていたら、荷物を取りに来た方が声をかけて下さり、ロッカーを確保することができました。

 

入場規制はありませんでしたが、会場内が空いているかというと、とんでもない!

はっきり言って混んでました。特に小さい宝物の展示を熱心に見る方が多いので、ガラスケースの最前列は常に人だかりになっていました。

それでも金曜の夜は、昼間や土日よりは絶対狙い目だと思います。

 

展示物は正倉院御物と東博法隆寺宝物館の所蔵品(伎楽面、古染織物の残欠など)で構成されており、見応えありました。

ただ、展示は前期と後期に分かれており、展示物が入替になってます。これは文化財保護の観点から行われるので仕方がありません。

現在はもう後期なので「観たかった展示物が行ったらなかった❗️」なんて事はあるでしょう。⬆︎のHPで確認なさった方がいいかもしれません。

 

私としては…。

8世紀唐代の輝きを今に留めている、美しい螺鈿の「平螺鈿八角鏡」。

聖武天皇愛用の水差しで、漆黒の表面に可愛らしい草木が描かれている「漆胡瓶」。
端麗な花紋様を織り込んであるフェルトの敷物「花氈」。

篆書の文字に鳥毛を貼っている「鳥毛篆書屏風」。

などが印象的で、見て良かったと思います。

 

最後は撮影することができる展示物です。

⬇︎「正倉海老錠」江戸時代に作られた鍵です。

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⬇︎「模造 螺鈿紫檀阮⬜︎」明治32年に制作された模造。螺鈿が素晴らしかった。

(⬜︎は入力出来ない漢字でした。入力する方法が分からないのです。)m(_ _)m

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⬇︎「 模造 螺鈿紫檀五弦琵琶」明治32年制作。

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模造と言えども、明治時代の優れた技術を以って制作された工芸品です。見事というほかありません。

 

全体的に小さい展示物が多いので、単眼鏡をお持ちの方は是非是非、持参なさった方が良いと思います。

⬇︎は眼の悪ーい私が使っている単眼鏡です。20㎝離れてさえいればピントが合わせられるの優れもの。(^O^)

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www.vixen.co.jp

 

 38年前も…。(^O^)

実は、私が東京国立博物館で「正倉院展」を観るのは、これが2度目です。

まだ子供の時に、ジジと2人で観に行った事があるんですよ。

恐らく歴史や美術に興味を持っていた私を、ジジが誘ってくれたのだと思います。

 

それはやはり晩秋で寒くなってきた頃でした。

まだジジは50代の初めくらいだったと思います。勿論、サラリーマンのジジと一緒なので日曜日だったのでしょう。

入場規制が行われるほどの大盛況で、私達は東京国立博物館の本館前に幾重にも蛇行しながら何十分も並びました。

展示品の詳細は覚えていませんが、1000年以上前の宝物を観られた感動で、並んで辛かった事は帳消しになりました。

「絶対、いつか奈良国立博物館正倉院展も観に行きたい。」

そう思いました。それは学生時代に実現しています。

 

私がジジと行った「正倉院展」は何年前だったのかしら?

前回「正倉院展」が東京で開催されたのは、いつだったのでしょう?

ネットで調べてみたら⬇︎の記事を見つけました。

今回、令和元年の天皇陛下御即位特別展が、実に38年ぶりだそうです。

えっ?

38年前って、私は15歳。ジジは53歳ではありませんか⁉️

つまり、私がジジと観に行った、あの思い出の「正倉院展」とピタリと合うのです。

この時の展覧会の名称は『正倉院宝物展』1981年10月〜11月20日まででした。

 

前回はジジに誘われて観に行き、

そして38年後に、私は娘のアズキを誘って正倉院御物を鑑賞した。

滅多に東京では開催されない「正倉院展」を、組み合わせは違えど2度とも親子で鑑賞することが出来て、私は縁のようなものを感じました。

 

bunshun.jp

 本日アップの貼り絵

私が9月の「今月のイチ押し」にしようと思ったくらい気に入っている作品。

シックで現代的でありながら、とても伝統的な雰囲気も感じられます。

使用した2種類の千代紙は日本橋小津和紙で買ったものです。

よくおママが使う紅茶のティーパックの個別包装袋も使われていますね。(๑˃̵ᴗ˂̵)

 

おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。