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アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母が作った貼り絵たち。

昔好きだったものでも…。(2007年夏)

2007年の話(診断を受けた年) 家族の気持ち

   あの頃…、診断から4ヶ月くらいの時の事です。

ジジにおママの様子を電話で訊くと、
「薬(アリセプト)は飲んでるよ。元気だよ〜。」
と、当たり障りのない話ばかりで、取り立てて深刻な気配はありませんでした。
ちょっと安心…。

   でも、おママは落ち込んでないか、楽しみもなく無気力になってないか。
気になるところをジジに聞き出してみると、
「貼り絵はやってるけど、テレビを見ても余り関心ないみたいね。」
そうなのか…。

ドラマから報道番組まで、おママは割と興味を持っていました。それに、私が家を出るまでは、一緒にドラマを見ながらツッコミ入れて楽しんでましたが…。

「ドラマは見ないね〜。

見てるのかと思っても直ぐにテレビの前から居なくなるし。」

 

トーリーを追っているうちに疲れてしまうのか?

少し前のストーリー展開も忘れてしまうのか?
ジジとそんな話をしました。

 

(それなら何度も観てよく知ってる映画なら楽しめるかも知れない!)

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                             (2007年6月頃  診断から4、5ヶ月)

 

  おママが大好きだった往年のハリウッドスター、ハンフリー・ボガートイングリット・バーグマンの『カサブランカ』なんてどうかしら?

その映画はおママの大のお気に入りです。(米国公開1942.日本公開1946)

ハンフリー・ボガートのキザな2枚目振りとイングリット・バーグマンの美貌。

ドゥーリー・ウィルソンが歌うテーマ曲『As Time Goes By』は哀愁をそそります。

 

  それで、私はDVDを実家に持参しました。
まぁ、今考えれば大きなお世話だったかも…。(笑)

 

顛末を語れば、私はあえなく玉砕しました。

 

「ねぇ、『カサブランカ』みない?DVDを見つけたの。懐かしいでしょう!」
「あら、ほんと!観ましょうか。」

そして、映画鑑賞は順調に始まりました。
「バーグマンは綺麗ね〜。」
「そうね…。」
しかし、おママは懐かしがりもせず、きょとんとしてます。しまいには、
「画面が暗いわね〜。」
という始末。
そして、20分もたたないうちに席を立ち、私が気が付けば作業机に向かって貼り絵に没頭してしまいました。

 

白黒映画がいけなかったか?
おママにはもう懐かしくなかったのかしら?

 

  昔、好きだったものより、

今のこの瞬間にやりたい事を優先しただけかも知れません。
それとも、若い頃に好きだった事を忘れているのか?

 

  この時、私は思いました。
アルツハイマー認知症の場合、昔の事も徐々に忘れていくのですね。
淋しいけど…。

 

   それに考えてみれば、『カサブランカ』の件はおママのためというよりは私のためでしたね。

 

  もう何十年も昔、おママが大好きだという映画がテレビで放送されました。

私は目を輝かせておママと観ていた…。バーグマンの美しさに見惚れて…。
その少女時代の追憶にふけりたかっただけですね。

 

  私ひとり空回りでした。(笑)

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        (2007年6月頃 診断から4、5ヶ月)