(2017年5月22日 アルツハイマー型認知症の診断から約10年3ヶ月 下方の正方形パーツは洋菓子屋さん「シュガーバターの木」の包装紙からとりました。)
*食卓の定位置
どこのお宅にも食卓に座る時の定位置があると思います。
それは一人暮らしでも何人暮らしでも同じ事。
実家もそうなのです。
おママには何十年間も座ってきた、食卓の定位置があります。
それが乱されると、はっきり言語化できないけれど、違和感がある…。
*ドラマ鑑賞中の出来事
土曜の昼過ぎ、ジジとおママは、ぼんやり大河ドラマの再放送を見ます。
ジジはいつもの食卓の定位置ですが、おママは少し離れたロッキングチェアで寛ぎなから見るのが好きなようです。
しかし、その、おママの視界をジジの頭が遮ります。
「あなた、ちょっと壁に寄ってよ。見えにくいから。」
「はいはい。」
ジジは言われた通りに動いたのですが、今度はジジが見えづらい角度になってしまいました。
仕方ないから、ジジは黙って食卓の反対側へ移動しました。
そこはおママの定位置です。
「あら、いいのに、ちょっと壁に寄ってくれるだけで、いいから!」
おママは何度も繰り返し言いました。
「お父さんは自分で見やすいように動いたんだから、気にしなくても良いのよ。」
私もおママを諭しましたが、
「いいんだって、ちょっと壁に寄ってくれるだけで。そっちに行かないでもいいから!」
なんだか効果ない…。完全に繰り返しのドツボにはまってしまいました。
ジジはといえば、耳が遠いいからか?意に返さずテレビに釘付けです。(笑)
*領土侵害か…(笑)
そして、私が御不浄に行っている数分の間に…。
(いや、私が姿を消したのを見計らって?)
おママはロッキングチェアから起き上がりました。
「そこは私がいつも座っているのよ!どいてよ!」
なんだか語気も荒いですね〜。まるで領土を侵害された勢いでした。
あらあら、どう見ても、ジジはとばっちりです。
それでも、平然とおママに従っているのがすごい…。
ただ考えてみれば、お互い本来の定位置に戻れて、ジジとしては良かったはず。
もしかして…。ジジ…。
長年の経験から、こう言う流れが予測できていたのかもしれませんね。
*定位置の記憶
しかし、おママに「私のいつも座っているところ」
という認識が強く残っているのが不思議です。
認知症が進むと場所や位置も見当がつかなくなると聞いたことがあります。
食卓というのは食に関係する場所。
食いしん坊のおママには強烈なインパクトがあるのかしら?
でも、おママはマイお箸もわからない人ですから、「食」がキーワードとも言い切れません。
おママの食卓の定位置は、台所に一番近い席です。
それは長年、主婦として一家に重きをなした証の場所。
だから今でもしっかりインプットされているのでしょうか。
う〜〜ん。
単に今も居心地が良い、しっくり来る場所ってだけですかね〜。
その居心地が良いという、感覚は本能のなせる技のように思えます。
そういえば…。
貼り絵をしなくても作業机に向かってしまうおママにも本能的なものを感じます。
おママには今も家の中に定位置が2つもあるんですね。とても素敵な事に思えます。
あっ…。そういえば、おママは2日間貼り絵をやっていませんでした。
またまたスランプかしら〜⁉️(笑)