アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母が作った貼り絵たち。

記憶についてNo.23 私は何なの?

 

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(2017年10月2日  アルツハイマー認知症の診断から約10年8ヶ月)

 

老夫婦の会話
 

  2週間ほど前、ジジとおママはこんな会話をしたそうです。

アルツハイマー認知症歴10年のおママは何となく我が家で暮らしています。

しかし、実は家族の事もよく分かっていません。時々、分かっているような?時もあるのですが、私に「お母さん」と呼ばれてもそれほど実感は無いと思います。

 

  ジジが1階のパソコン部屋でネットサーフィンをしていると、おママが2階から降りてきました。何のかんのと言いながらジジの前に座り込み、おもむろに言いました。


「お兄ちゃんは?どうしたっけ?」


おママのお兄さんは10年くらい前に亡くなっています。

この話題は何度となくジジとおママの間で交わされ、このブログでも取り上げてきました。だがら、おママは漠然とした諦めは付いているのです。


「死んじゃったんだっけ?」
「そうだよ。随分前にね。」
「そうか…。じゃぁ、あなたは誰なの?」
「田中太郎だよ。あなたは自分の名前は分る?」
「う〜ん。トモヒサ…。トモヒサ…。何だっけ?」
トモヒサはおママの旧姓です。
「あなたは田中芙貴子ですよ。」
「そうか……。タナカフキコ…。」
腑に落ちない様子です。それで、おママはジジとの関係性を知りたくなったのでしょう。

「それで、私はなんなの?」
「あなたはね〜、私の嫁さんですよ!」
「えぇ〜〜〜‼️」
おママは驚愕。こんな時、おママはたいていジジよりかなり若い気になっているのでしょう。目の前にいる齢89歳のジジが夫とは思えなかったのかも知れません。

harienikki.hatenablog.com

 

ここまではジジも想定内。しかし…。

  それでも、ジジはこの手の事には慣れっこです。あまり動じません。
「だから、タナカフキコなのか……。」
「そうだよ。」
おママはそれなりにジジと自分の関係に納得をしようとしていました。
しかし、ジジが驚いたのはこの先です。
「それなら、もう、おうちに帰りましょうよ。」
(えぇ〜〜〜!)
いやいや…、そんな〜〜。今度はジジが驚愕。
「何を言っているの。ここが自分の家だよ。」
「そうなの?  あ〜。良かったわ。」

 

他所の家に暮らすおママ
 

  今まで、おママは夜中に目を覚ました時に、自分の家かどうか分からなくなった事はありました。
しかし、今回は寝ぼけ混じりではありません。ジジも、この話を聞いた私も驚きでした。

そうすると、おママは他所の家に暮らしているのでしょうか?

 

  しかし、いつも分からない訳ではない。共に買い物に行った時やお出かけした時など、おママは自分の家の外観を判別する事ができます。そして、電気がついていたりすると、

「あらっ?お父さんは家にいるのかしら?」

なんて言うこともあります。このように「我が家」という信号が速やかに脳の回路を廻れば、自分の家として認識できる時もあるのです。

記憶障害も認知力の状態も、常におママの脳は変動します。一定ではない…。

だから、まだおママは家が分かる時もあるんだと、大丈夫だと、

私は希望的観測を持ちたい。…。

 

おママにとって家族とは

 

  短期記憶はおろか、長期記憶も怪しいので、おママは子供の頃の記憶すらボンヤリなのでしょう。

その朧げな家族の記憶には、ジジ、娘である私達の姿は刻まれていないのです。

きっと…。

それなら、おママにとっての家族は誰なのでしょう。

母親と兄だけなのかも知れません。(実父は早くに亡くなっているので怪しい?)

 

「おママにとって、血縁のある親や兄はいないだろ…、寂しくて不安なのかね。」

「この家に居ても、おそらく他人の中にポツンといるような感じなのかね〜。」
ジジの言う通りかも知れません。
まぁ、いつもいつもがそうとはいえないと、私は思います。いや、そう思いたい。

 

「ここはどこ?私はだれ?」


おママもだんだんそういう時が増えていくのでしょう。
それは私達には現実で、感傷的な部分は既に乗り越えてしましました。

 

実は昨日(10月29日)もおママは

「お兄ちゃんは?」に始まり、我が家に居ながら、

「なんでここに居るの?」

とジジに言ったそうです。


  今後、1番の問題はおママが自分の家探し始めることです。
こればかりは何とか阻止したいです。


  それにはおママが安心出来る家でなくてはなりません。
でも、これは今までも努めていますし、更に上を目指すのには限界も感じます。

 

今回は長くなりました。読んでくださり、有難うございます。

そして、おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。