アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

おママなりの考え

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(2017年12月15日 アルツハイマー認知症の診断から約10年10ヶ月)

  

今週月曜日の夕方の事

   すっかり日も暮れた夕方の5時半。

私は実家の玄関にいました。

帰り際で、ドアノブに手を掛けながらジジと話していると、おママが2階からバタバタと駆け下りてくるではありませんか⁉️。

あんまり急いだからか、おママは息を切らしております。そして言いました。

 

「あなた、これを持っていらっしゃい。」

 

おママが半ば強引に私の手に握らせた物は、白いティッシュペーパーでした。

それは3組重ねて八つ折りにされています。

 

「………⁉️  これは何でしょうか?」

「いいから、いいから、これを持っていって…。」

 

私はティッシュペーパーに、何か挟んでいるのかと思いました。例えば綺麗な切り抜きとか…。お菓子が挟んであるとか…。結構、お菓子だったら私には迷惑な事ですが…。

しかし、開いて見ると、何もありません。

「あの…、お母さん。何も挟んでないようですが。」

するとママは笑顔で言うのです。

「いいの、持っていってね。外で鼻をかむ時に、これを使ってくださいね。」

「…………⁉️」

 

 えっ⁉️おママ…。剥き出しのティッシュペーパーを渡されたって、どうすりゃいいのさ…。今、私は鼻すすってないよ…。せめてポケットティッシュの包ごと渡して欲しい…。

 

アルツハイマー認知症歴が長いおママに反論しても堂々巡りになるだけです。

「ありがとうございます。」

私は大人しくそのティッシュペーパーをバックに入れて帰途につきました。

 

おママの言動を考えてみた

おママは何を思ったのかしら?

 

この日、時折鼻をすすっていたおママ。自分が鼻をかもうとティッシュペーパーを手にしたところ、階下の玄関で誰かが帰る物音を聞きつけた。

(帰る人が寒い外で鼻をかむかも知れない。ならばこれを!)

そんなところでしょうか?

 

電車の中であれこれ考えていると、最初は突飛に感じた行動も、

おママの脳では筋道が通っているのだと分かります。

 

ただ剥き出しのティッシュペーパーを人に渡したら、コートのポケットの中やカバンのでグシャグシャになるでしょう。

以前(アルツハイマーになってもしばらくは)のおママなら、そこまで考えが及んでいたでしょう。

今は思考回路が続かないのですね。(^。^)

 

おママはもうすぐ診断から丸11年になります。

たとえ私を娘と思っていなくても、

おママにはまだ他者を思いやる感情が多く残っている。

私はそれを天に感謝すべきなんだと思います。

 

案の定、私のカバンの中で、

ティッシュペーパーはグシャグシャのボソボソになりましたけどね。(^。^)

 

本日アップの貼り絵

前回アップした貼り絵と同じ日に同じ紙類を使って仕上げたようです。

この日は制作途中を見ていなかったので、どちらを先に作ったかは分かりません。

時々、連作のような作品たちは、2枚並べて進行させたりします。

これらもその様な例だったかも知れません。

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。