アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

おママの貼り絵について

 

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(2017年12月22日 アルツハイマー認知症の診断から約10年10ヶ月

使用した紙については不明です。うろ覚えな私の記憶を辿ると、もしかしたら蔦屋書店でもらったチラシかしら?)

 

先月、ブログが一周年を迎えました。

それで、改めておママの貼り絵についてお話ししたいと思います。

もう、おママの貼り絵をよくご存知の方には重複になりますね。申し訳ありません。

 

 材料について

おママはアルツハイマー認知症と診断される前から、越前和紙耳付きはがき(小津和紙から購入)に様々な紙を使って貼り絵をしていました。

来月には診断から丸11年になりますが、今もなんとなく貼り絵を続けております。

 

使う紙は包装紙、紅茶のティーパックの袋、雑誌の切り抜き、

大好きな『銀座百点』の広告ページ、展覧会のチラシ、

テッシュボックスからお菓子を包んでいた小さな包装材などなど

もう様々で一体何を使うかわかりません。

「なんで、これを貼ったの⁉️」

貼り絵の材料になるかならないかは、おママの気分次第。

 その日、その時におママの目にとまり、心を揺さぶられなければ、貼り絵にはなりません。

「お母さん、これどうかしら?」

なんてオネコや私が渡しても、陽の目を見るまでに何ヶ月もかかったりします。

その反対で、一目で気に入る場合もあります。そんな時は速攻でハサミを手に取り切り始めます。

 

糊は文房具屋さんで普通に売っている「アラビック ヤマトのり」です。⬇️

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ハサミも一般的な物です。しかしギザギザや波型のピンキングハサミも2本持っています。それで、たまに思い出したように登場します。

 

デザインや色彩について

おママは何を思って、何を表現したくて貼り絵を作っているのでしょうか。

私はおママの頭の中を見た事がないので、定かには分かりません。

 

一つ言えることは、具象的なイメージで制作することは滅多にありません。

ほとんどの作品は幾何学と色彩の組み合わせを楽しんだ名残なのです。

様々な形のパーツを色や印刷されている柄や写真などを考慮しながら構成していく。

おママの興味はそれに尽きるのではないか。私はそんな風に考えています。

 

 特におママはシンメトリーを好んでいます。それは拘りかと思うほどです。

シンメトリー以外の構成は、おママにとって気楽に取り組んだ貼り絵のようです。

 

おママの構成する図柄は私の感性をはるかに超えています。

しかし、おママの記憶は、ほんの少しの時間で失われてしまいます。

パーツを糊付けしている最中に、何処に貼るのか忘れてしまう事も多く、

当初の計画と完成が微妙に(かなりの時もあります)違ってきます。

 

一昨年(2016年)あたりまでは、均整のとれた余白の美しさも考えた構成が多く見受けられました。

おママはとても几帳面で手先の器用な人です。

その精魂込めて取り組んだこれらの貼り絵は、余白の輝きも包み込み、手前味噌ではなくとても綺麗です。

 

ブログでは、最近の貼り絵を優先してご紹介しています。

過去9年間くらいの貼り絵もいつかアップしていけたらと思います。

 

あくまで私の目にはですが、

昨年あたりから、貼り絵の構成はその時の感覚が重視されているように思います。

均整が取れなくなったり、完璧なシンメトリーにならない時もありますが、

その分エネルギッシュな作品になりました。

これは好みの問題ですが、私は今現在のおママの貼り絵が大好きです。

 

貼り絵をしている記憶は?

作業机に作りかけがあったり、使い残りの紙片があったりすると、

おママは自然と貼り絵に向かいます。

しかし、そうでない時、例えば食事をしているなどは、全く自分が創作活動をしている記憶はありません。

 

20冊ある貼り絵のファイルを眺めると、

「どうして私はこんなにやっちゃったんだろう。」

と嘆きの声を上げたりするので、記憶の回路がうまく通じている時は、自分が貼り絵をしているという認識もあるのかも。

私はインスタグラムでおママの貼り絵をアップしていますが、

おママはそれを見ると、とても嬉しそうにします。

 

今後の不安

下手をすれば…、5歩歩くと記憶をなくすようなおママです。

昨年までは1週間ほど貼り絵を休んでしまっても、復活できました。

 

しかし、昨年の秋頃から記憶保持時間は本当に短くなってしまいました。短期記憶だけでなく、長期記憶の多くも失われているのが現状です。

 

秋から年末年始を超えて1月も熱心に制作していますが、

2日も貼り絵から離れたら、おママは貼り絵が出来なくなるのではないか。

私は最近そんな不安に付きまとわれています。

ジジが夫でなくなり、オネコや私が娘ではなくなっている今、ハサミで切り、糊で貼るという行為が、おママに残された能力の支えになっている気がします。

これが出来なくなると、食事や排泄の自立は一気にダメになるのではないか?

気が気ではありません。

 

でも、でも、でも、今まで続けられただけでも大したものです。

 

昨年も不安に取り憑かれて、私は随分ブログで弱音を吐いたような気がします。

今年はもう少しドンと構えて、おママの貼り絵を見守れたらと思います。

 

珍しい具象的な作例⬇️

harienikki.hatenablog.com

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 ⬇️ しばらく貼り絵を休んだあと、復活期の作例

ママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。