アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

子供時代の片頭痛

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(2018年9月14日アルツハイマー認知症の診断から約11年7ヶ月)

harienikki.hatenablog.com

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前々回、前回に続いて片頭痛のお話です。

今回は子供時代の片頭痛についてです。

片頭痛は大人がなるもののように思われがちですが、子供でも苦しんでいる人は大勢の居るのではないかと思います。

 何故なら、私は小学4年生の時からなので、他のお子さんだって居るはずよ…。(^_^)

40年前に比べれば、片頭痛に対する世間の認知度も少しは高くなったと思います。

片頭痛の発作を起こす子供への理解も深まっていたらいいなぁ。

 

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恐怖の初体験

閃輝暗点

あれは暑い季節の昼下がりの事でした。9歳の夏だったのでしょう。

私は家に居たから日曜日だったのか、夏休みだったのか…。

おママが居てくれたから、まだ良かったと思います。

何がきっかかなんて、忘れてしまったけど、突然私の視界にキラキラした光が現れました。初めは「何だろう、キレイだな」なんて呑気な事を考えていたのですが、光は次第にギザギザの帯のようになり広がっていきました。

「あれっ?お母さん…目の前に星が飛んでる…。」

おママは笑いました。

「何を言っているのよ。」

しかし、この時すでに胸悪く、イヤなものが込み上げてくる予感がありました。

ギザギザの光の帯が視界の3分の1を覆うようになった時、私は自分の身体に異変が起きた事を悟りました。それと同時に目が見えなくなるのではないかという恐怖を感じました。

「お母さん、星がいっぱいで、目が見えないよーー!」

駆け寄ったおママの顔が、光の壁に遮られて半分も見えませんでした。

心底恐ろしかった。おママは心配で側に居たのだと思うけど、ギザギザの光が邪魔をしていたから、よく覚えていません。ただ、このまま、もうまともに物を見ることができないのではないかと、恐れ慄いた記憶があります。こめかみの上あたりにかすかな痛みを感じました。

その光は割りとすぐに消えました。嘘のように引いていったのです。

<痛みと苦痛>

恐ろしい光の帯が去って、あれよあれよという間に激痛が始まりました。(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

両こめかみから額、その上あたりにグワーン!グワーン!と響くような痛みでした。

それはこれ以後何度も経験しなければならなかった痛みなので、忘れる事は出来ません。外部から殴られるような感じではなく、頭の内部で激しく揺れて脈打つような、気持ちの悪い痛みです。グワーン!から次のグワーン!までの間に脳の中に振動が残るのです。脈打つ痛みの振動が幾重にも重なり、まるで頭が割れて内側から外側に噴出していきそうな痛みが、絶え間なく繰り返すような感覚です。そして痛みはおでこの内側から眼の奥を侵食していくのです。(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

これを読んで、きっと「理解できない」「頭がおかしい」と思う方もいらっしゃるでしょう。実際、子供が感じる片頭痛の痛みは、親や大人の想像をはるかに超えるものだと思います。子供の頃のMAXで痛かった時、私は「死にたい」と強く思いました。

 

この時、ロッキングチェアにもたれかかり、呻き声を上げて苦しむ私を見て、おママは驚愕したと思います。

「どうしたらいい?救急車呼ぶ?」

おママの問いに答えるのも苦痛。こめかみ、眼の奥、額…。もう、どうしたらいいか自分でも分かりませんでした。

「お母さん、お願いだから、眼玉をくり抜いて…。」(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

おママの返答はありませんでした。絶句していたんですね。きっと…。

しばらくして、嘔吐、下痢を併発し、トイレの前でうずくまる娘におママは再び聞きました。

「大丈夫?水は要る?どうして欲しい?」

私は鼻を指差して、答えた記憶があります。

「死にそう。こっから(鼻から)上を全部切り落として…。」(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

この要求を飲める親はいないでしょう。(°_°) それこそホラーです。

 

親は分かってくれない

謎の頭痛と嘔吐と下痢で悶絶する娘を前に、立ちすくむしかなかったおママも気の毒といえば気の毒です。もちろん心配だったろうし、どうにかしてやりたいと思ったでしょう。

でも、症状の激しいのは半日くらいです。力尽きて数時間眠るとピークを越し、翌日はまだ体力が回復しないけど、翌々日にはケロリと元気になるのです。親としては狐につままれた感じでしょうか。何とも不可思議ではあるけれど、これが生命に関わるわけでないと知り、ホッとしたと思います。

 

1学期中に1回くらいある謎の頭痛。

片頭痛」なのではないか?

何かで調べたらしく、おママが最初に言い出しました。そして、近所のかかりつけ医に相談したようです。

「でも、片頭痛ってそういうのじゃないって言われたわ…。」

そう言われたおママは困惑したと思います。でも、病名のつかない苦しみに襲われる私はもっと辛い。一応、私とおママは普通の頭痛と区別するために、これを片頭痛と呼ぶことにしました。 

 

中学生になってもこの症状は同じような頻度で起きました。その頃、私はおママに自分が苦しんでいる時、どう感じているのか聞いたことがあります。

「だって、どうしようもないでしょ。どんな痛みかわからないし。1人で痛がって、自分でトイレで吐いて、時間が経つと治るんだもの。私がやる事は何もないわよ。」

そうでしょうね…、としか言いようがありません。おママも辛かったとでしょう。

私が高校生になって市販の鎮痛剤を使うようになり、幾分コントロールが効くようになると、おママも少し気が楽になったと思います。

 

回数を重ねる毎におママはこれに慣れていきました。(私は慣れないけどね‼️)

トイレの前で悶絶している娘に言いました。

「ごめんなさいね。お昼食べちゃうわね。」

そこはかとなく漂うのはインスタントラーメンの匂い。私の頭痛と吐き気は更に助長されました。その時、私は思いました。

「結局、親は分かってはくれない。」(°_°)

 

学校はもっと分かってくれない

家で片頭痛になるのも大変ですが、学校で発症するのはもっと厄介です。

 私が小学生だった頃(昭和50年代の前半)、保健室に行くのって、結構ハードルが高かったと思います。今はどうでしょうか?

娘のアズキが小中学校の時は幾分良くなっていたように思います。それでも、熱が出ているか否かは分かれ目のように思います。

そして残念ながら、片頭痛はあまり熱が出ないのです…。

 

⬇︎これは私が小6の時に学校で発症した時の流れです。

①午前中、教室で前兆現象から激痛へ。➡︎友人に伴われ保健室へ行った。

②保健室で熱がないことが判明。「教室に戻って様子を見てね。」と保健室の先生に言われ、激痛を訴えるも撃沈。➡︎友人に支えられて仕方なく保健室を出た。

③途中でトイレへ寄り嘔吐を繰り返した。➡︎保健室でようやく受け入れてもらえた。

(つまり、分かりやすく症状が出ないと休ませてもらえないのね。)

④具合がよほど悪いので、早退して医療機関へ行くように勧められた。

「お家の人に迎えに来てもらった方がいいわね。お医者さんに行きなさいね。」

(分かっちゃいるけど、ウチは車がない。歩いて帰るのは無理。出来ません❗️)

➡︎動くと余計激痛がひどくなるから、保健室にいさせてとお願いした。

⑤身動き取れる状態ではなくなり、先生が折れた。➡︎私は力が尽きて夕方まで寝込んだ。➡︎夕方におママが来て一緒に帰宅。翌日も体力戻らず学校を休んだ。

 

基本的に保健室で休むのは授業1コマ分と聞いたことがあります。この時は、結果的に破格のご理解を頂いたと思います。m(_ _)m

 

子供時代はきちんと症状を説明出来ないものです。激烈な片頭痛の最中でも、その危機感が伝わらなかったりします。当時、「頭がいたい」という事だけでは、私には保健室は開かれていませんでした。

その上、「どうして、頭痛で翌日も休むのか?」と教師にもクラスメートにも言われたものです。ハタから見たら怠けと見えるのでしょう。

「学校は分かってくれない…。」

 

 この苦痛に寄り添って

 もし今…。

時折、激しい頭痛に嘔吐などの腹部の症状を伴うお子さんがいましたら、片頭痛を疑ってみて下さいませ。「目の前に星が飛ぶ」とか「頭が割れてどっと脳味噌が溢れ出すような痛み」とか不可解な事を言うなら、その可能性は高いと思います。

学校での発症を考えると、事前に症状と激痛の最中は安静が必要なことも知っておいてもらった方がいいと思います。

そのためには、やはりきちんと医療機関(頭痛外来やペインクリニックなど)を受診して、診断書を書いてもらう方が説得力があるかも知れません。

受診してお薬を飲んで、保護者の方の理解と手助けがあれば、予防も出来るでしょう。

 

そして、片頭痛の誘発因子は様々です。片頭痛の症状が出た事を責めないで欲しいです。本人が一番辛いのですから。

私は中学の時、マラソン大会の練習の後に発症したことがありました。

その時、教師から、

「どうして頭が痛くなったんだ。」

と聞かれました。走る前は正常で走ってから具合が悪くなったので、そのままに答えたら、

「走って頭が痛くなるなんて聞いたことがない。いい加減な事を言うな」

と大勢の前で怒鳴られました。この時の事は40年経っても、辛い思い出です。

 

もし、子供がひどい頭痛を訴えたら、

たとえ痛みを実感として理解できなくても、その苦痛に寄り添って頂きたいです。

 

長々とお付き合い下さり、ありがとうございます。

次回からは、今まで通りの『おママの貼り絵日記』を続けたいと思います。

m(_ _)m

 


相互読者になっていただいている  はるうさぎさん  が言及して下さいました。

⬇︎こちらの記事に  はるうさぎさん と御家族の頭痛のお話もあります。閃輝暗点の画像をもアップしていらっしゃるので、是非、参考になさって下さいませ。私の体験する閃輝暗点とは形が違いますが、イメージはとても伝わると思います。

はるうさぎさん  ありがとうございます。

haruusagi-kyo.hateblo.jp

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。