おママはこの貼り絵を突然始めたわけではありません。
手先が器用なおママは、常に趣味の域を超える取り組みをしていました。
40代で始めたレザークラフトカービングはとても上手でした。
50代からは皮による本の装丁を習いました。
その流れで、ヨーロッパの伝統的な皮の工芸金箔とモザイクの技法に移行して行きました。
これは皮の表面に金箔で美しい文様や文字を箔押ししたり、薄く削いだ別色の皮を埋め込む技法です。
おママの中年期から老年初期は皮工芸と共にありました。
しかし、70歳になる頃から、作品作りをする気力がなくなってきました。思えばこの頃から、アルツハイマー型認知症は徐々に進行していたのでしょう。
おママの気持ちは細かい工程がいくつも必要な作品から、手軽な貼り絵に移っていきました。