(2017年3月23日 診断から約10年1ヶ月 過去のだいぶ前の号だと思いますが、『銀座百点』に掲載されていた胡蝶蘭の写真をひたすら切り抜きたくなったようです。)
昼時はいつもNHKニュース→ひるブラ→朝ドラ再放送の流れでテレビをながら見ております。
なんとなく心許ない顔でおママは私に聞くのです。
「錦糸町ってどこ?」
「東京の墨田区にある街よ。」
「ふーん。知らないわ。私はあんまり行ったことないと思うわ。」
「そうね〜。あまりご縁は無かったかものね〜。」
確かにおママの言う通りで、私が子供時分から大人になるまで、おママの口から錦糸町という地名を聞いた事はないし、知り合いもいなかったでしょう。
すると、おママは急にキャハっと笑ったので、私は身構えました。
この笑いの時は、ろくな事を言わないんだから。
「私はね〜。」
「はい。」
「最近、パァーになってね。」
おママ…。またパァーですか?(笑)
「はい。何でしょう?」
「パァーになって分からないんだけど、ここはどこなの?」
そうか…。おママはそれが知りたかったのね。
「ここは東京の◯◯区△△ですよ。」
「あー、そうなのね。」
他人事みたいです。
「ずっとここに住んでいるんだよ。」
ジジがたまりかねて、そう呟くので、私も良くないとは思いながら言わせてもらいました。
いつもは忘れた事を指摘しないように気をつけているのです。でも今日は…。
「お母さん。私が子供の頃から、ここに40年以上住んでいるんですよ。」
正直、私はその後の反応が怖かったです。
しかし、おママは穏やかに優しく、私を見つめました。
「あなたも後20年もすれば、こうして分からなくなってしまうのよ。みんな、同じように分からなくなるものなの。」
「…………。」
菩薩のような微笑みで言われても…。
おママ…。
実感がこもりすぎ…。
怖すぎる…。
(涙)
私、おママから新手の反撃を食らい、撃沈しました〜❗️