アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

記憶についてNo.7 心残り

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             (2017年3月17日 診断から約10年1ヶ月)

 

  上の貼り絵。⬆️  最近とても珍しいのです。

何が最近珍しいと言いますと…。

小さいパーツを中心とした入り組んだ構成だからです。

今年に入って、単純なデザインの貼り絵が増えています。

   例えば、⬇️の記事の貼り絵とか、昨年秋の作品はかなり凝ったデザインのものが多くありました。

 

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  しかし、今は、あまり細かいものは取り組みたく無いようです。

「もう、目がダメなの。」

目のせいか、脳の問題かは定かではありません。

 

  この⬆️一番上の貼り絵。もう1つ、珍しい点があります。

 

実はとても時間をかけた作品なのです。

  3月17日にほぼ1日がかりで完成しました。

おママは頭や目が辛くなるから、一度に出来るのは30分〜1時間が限度です。

この作品は4回に分けて取り組みました。

午前中に仕上げられず、昼食をはさんで午後完成させる事はよくあります。

でも、ここまで粘って完成させるのは、今のおママには容易なことではありません。

 

その流れは…。 

   昼前に30分以上試行錯誤しているのを、私は目撃しています。

「上手くまとまらない。」

糊付けまでは遠い道のりのようでした。それで私は昼ご飯に誘いました。 

 

   昼過ぎに取り組んでいましたが、細かいパーツの配置は決められない。

悩んで「頭がいたい」となりました。

この日は家庭医のところへ行くので中断。

 

   ここまでは私も見ているのですが、この先はジジの目撃談です。

「帰って来て夕食を食べてから、また始めたんだけど、やっぱり悩みすぎて出来ないんだよね。お風呂に入るように言ったら素直に入ったよ。血の巡りが良くなるんだろうね。出てからまたやったらしく、寝る前に『出来ました…』って嬉しそうに見せに来たよ。」

 

  アルツハイマー認知症のおママは作業机を一旦離れれば、作品が途中になっているという記憶はなくなります。

日常の記憶は5分で消え去り、今は昔の事も怪しくなっている人ですから。

出来上がっていない記憶が、おママを突き動かしたわけではないでしょう。

 

なのに、なぜ、おママは1日がかりで完成させられたのかしら?

 

   いつもの事ですが、

おママは常にふと気がつくと、作業机に向かってしまいます。

小さなパーツをたくさん構成しようすると、なかなかまとまりません。

そして、貼り絵を中断するたびに記憶はリセット。

再び机に向かった時に、おママは途中になった貼り絵を発見するのです。

 

これからは私の想像。

上の一連の行動を1日の中で何度も繰り返すと、もしかしたら?ですよ。

まだ、仕上げられていない…。

そんな心残りな気持ちが残影になり、脳に宿るのかも…。

ひょっとして、それは脳ではなく、ハサミで紙を切る手の感触。

指でパーツを動かすその皮膚の触覚に宿り、

おママをまた貼り絵に向かわせるのかも知れない…。

 

おそらく私の考えすぎですね。(笑)