(2017年6月3日 アルツハイマー型認知症の診断から約10年4ヶ月)
*6月22日 おママ、かく語りき
お昼ご飯はシュウマイ❣️
そう心算をしていると、おママが仕事部屋にやって来ました。
「お昼どうするの?ね〜、ぜんぜん分かんないんだけど。何を食べるの?」
あら、おママ!まだ11時よ〜。
「チャーコさんがシュウマイを買って来たから。全部お任せているので大丈夫。」
ジジがそう言っても納得できないようです。
おママ、今度は私のところに来ました。
ところが、私に訴えるのはお昼の献立ではありませんでした。
テーマが深くなっています。
「私は何かやるように言われた時には、ちゃんとやっているらしいのよ。」
「ほう…。そうですか。」
「でもね、それが何を言われたのか、何をやったか、すぐに分からなくなるのよ。だから、どうしたら良いか分からないの。」
「自覚があるんですね…。」
すると、おママは指でこめかみを抑えながら、小さく唸りました。
「時々、私はどうしちゃったんだろう、何がどうなっているんだろう、そう思うのよ〜。何をわすれたか分からないの。思い出せなくて、どうしたらいいのか…。」
私は感嘆のあまり、暫し言葉が出ませんでした。
こんな風におママが自分の気持ちを明確な言葉で語るとは…❗️
*良いのよ。
おママは自分で何かを忘れていると感じている。
その違和感を自覚して、
思い出そうとするが、とても難しいと感じる。
それでも忘れた事を思い出したいと思っている…。
だから、常に不安でジレンマを抱えている?
「お母さん、忘れた事を無理に思い出そうとしなくて良いんじゃない?
思い出そうとすると心も体も疲れてしまうわよ。
良いのよ。忘れた事なんて忘れても。」
するとおママはにっこり笑いました。
「そうね〜。」
そして、立ち去ろうとするから、私はその背に声をかけました。
「シュウマイがあるのよ。私がやるから心配しないでね。」
おママは忘れた事自体を全て忘れる。
私はそう思っていました。
でなければ、
いつも自分を取り巻く不可解な世界に翻弄されてるのでしょう。
*タイムリーな事ですが。
今日、午後に認知症のお母様と暮らしていらっしゃる知人とお話しする機会がありました。要介護2だそうです。
歩行も問題なく、食事は自分で食べることが出来、排泄の自立も問題ないそうです。おママと似たようなケースですね。
その方のお母様もよくこんな事を仰るとか。
「私はどうかしているみたい。何が何だか分からないわ。」
極めて似た文言。(笑)
その方はお母様がアルツハイマー型認知症になって、どんどん物事を忘れてしまうのがとても悲しかったそうです。
「でも不安そうにこんな事を言う母を見ていて、考え方を変えました。忘れても良いじゃない?って笑いかけたら、それから母の表情が明るくなりました。」
忘れた事を肯定して、
その上でお母様をきちんと受け止めていらっしゃる。
知人の言葉に大きな共感を覚えました。
心に迷いや葛藤はあっても、同じように考えている方のお話を聞くことができて、とても心強かったです。