(2017年6月11日 アルツハイマー型認知症の診断から約10年4ヶ月)
*懸案の美容院
おママの髪型はショートです。仕方のない事ですが、カットしてから1ヶ月もするとまとまりがなくなってきます。
それで、美容院に連れて行ってあげようと月初から様子を見計らっておりました。
今日は暑いが晴れている!
時間に余裕もあるぞ!
午後3時過ぎに、近くの整形外科に骨粗鬆症の検査をするので、その前に行ったら効率的!(これはあくまで私の都合です。)
いざ!
でもおママは
「髪の毛?そんなの行かないで良いわよ」
「整形?外科?なに?何しに行くのよ?」
と気の無い反応でした。
それでもやはり女性ですね。
「暑い季節だから、美容院でキレイにしてサッパリしましょう。それから、帰りに骨の検査をしに寄りましょうね〜。」
何度も話せば、その気になって出掛けてくれました。
*言葉遊びに興ずるおママ
道すがら、おママは私に聞きました。
「どこに行くんだっけ?」
「美容院で髪を切ってから、病院で検査するの。」
「ふ〜〜ん。なんの検査?」
おママの質問が数度にわたると、私も些か面倒になります。
「どこに行くんだっけ?」
「美容院の後に病院に行くの。」
「へ〜〜。びよういんとびょういん❗️」
おママは2つの単語の音を楽しむように笑いました。
でも、単語の意味までは理解できているのかしら?
私にはちょっと分かりませんでした。
「それで、どこに行くんだっけ?」
たった7分の行程で、おママは10回もこの質問をしたのです。
答えは本当に忘れしまうのでしょう。
それでも、この質問をすると、私が何か面白い事を言うのだという期待感があるのではないか?
びよういんとびょういんの微妙な音の違いが、おママの笑いのツボだったようです。
「それで、どこに行くんだっけ?」
これを繰り返すおママに、私は完全に遊ばれているのかしら?
*分かっていたのね、おママ。
そして、ようやく美容院の前に到着した時、おママはキョトンとして言いました。
「あれ?お医者さんのとこに行くんじゃないの?」
「………‼️」
びよういん→髪を切る所
びょういん→お医者さんがいる所
おママは単語の意味をちゃんと理解していたのですね。
(偉い❗️でも、病院の方だけ記憶に残ったのか…。)
「髪を切ってから、お医者さんの所に行きましょうね。」
私は半ば強引におママを美容院に連れ込みました。(笑)