アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

記憶について No.22 お父さんに言われたのよ〜。

 

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(2017年8月3日  アルツハイマー認知症の診断から約10年6ヶ月)

 

  夏の昼下がり…、

  私は写真撮影をしようと、貼り絵のファイルを開きました。

その前日に制作したばかりの、1番新しい貼り絵が目に入りました。

「あら、ステキじゃない。」

「そう〜?」

嬉しそうに言いながら、おママはクスクス笑います。何かを含んだような微笑みが気になりました。どうも褒められて嬉しいだけではないようです。

「どうしたの?」

するとおママは言ったのです。

「お父さんにこれを見せたらね、『口(クチ)が開いているから好きだ』と言うのよ。やぁね〜。」

「…………⁉️」

これって…。

内容は謎めいていますが、文法的には別に問題のない発言です。

しかし、おママはアルツハイマー認知症

それなりの時間、人の発言を覚えているなんて❗️

驚くべき事です。

 

記憶が1日以上、保たれた件。

「いつ言われたの?」

おママは小首を傾げながら言いました。

「見せた時に。」

何時ジジに見せたのか⁉️

おママはよく出来上がったばかりの貼り絵をジジに見せにいきます。

私は貼り絵をファイルから取り出して、裏を返しました。日付は8月3日。

1日前です。

私の予想が当たっていれば、普段はすぐに記憶を失くすのに、おママは前の日の事を覚えていたのです。

(快挙だ‼️)

この件をジジに聞いてみると、やっぱり…。

「昨日、見せにきたんだよ。」

「『口が開いているから』と言ったの?」

ジジは満面の笑顔で頷きました。

 

ツボにはまったか?

私の今までの経験上、おママがふいに思い出す記憶には法則があるように思います。

 

よほど嬉しい記憶。

よほど印象的な記憶。

よほど可笑しかった記憶。

などなど…。

 

あくまで私の推測ですが、「よほど……」という具合におママの強い心の動きが伴っているようです。

今回はジジの『口が開いているから』発言がよほどおママのツボにはまったのでしょう。そして、おママは1日の間に何度も繰り返しジジの言葉を反芻したのかもしれません。だから、記憶は保持された?

 

何のお口が開いてるのよ❗️

申し訳ございません。

このようにお怒りの方もいらっしゃるでしょう。m(__)m

今回アップした貼り絵に口(クチ)も唇も関係ありませんものね。

 

貼り絵には紫の六角形を6個繋げたドーナッツ型のパーツが4つあります。

そのそれぞれを拡大して見て頂くとわかるのですが、真ん中は元々周囲と同じ紫の六角形でしたが、切り抜かれていてハガキの白地が見えているのです。

 

器用に真ん中を切り抜いているから「まるで口(クチ)が開いているみたいだ!」とジジは感嘆しての発言だったようです。

 

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(2017年8月4日撮影)

 

  きっと、予想外の感想におママはツボったのでしょう。

ジジの言わんとしている事は分かりますが、私は開いた口が塞がりませんわ〜。

 

おママの貼り絵を見て下さり、有難うございます。