アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

席を譲る人

 

f:id:harienikki:20171222002308j:plain

(2017年10月19日 アルツハイマー認知症の診断から約10年8ヶ月)


久しぶりの国立劇場
  これは10月の話です。

夏はお休みしていたお姉子とおママの歌舞伎鑑賞。10月は片岡仁左衛門さんを目当てに出かけました。


2人とも楽しめたようです。


「おママとてもよい調子で居眠りもせずよく見てたわ~。
エスカレーターもノンビリ止まらずさっさと登っていっちゃって元気。」


そんな話を聞くとホッとしますね。

来年も観劇できますように。大丈夫そうかな…?

 

席を譲られる人
   終演後は国立劇場からターミナル駅まで直通バスが運行されます。
この日は雨だったので、オネコはおママを気遣い利用することにしました。
でも、バスは混んでいて、おママは座れません。

 

するとご親切な方が「どうぞ」と席を譲って下さったそうです。

それに対して、おママは素直に会釈をして座りました。

 

この時点で、おママは83歳です。しゃんと歩けますが、見た感じも高齢女性です。

席を譲って頂けて、オネコもホッとしたことでしょう。
実はこの日は往きの電車でも、おママは席を譲られておりました。

 

*席を譲る人
それから2人はターミナル駅から電車に乗り換えます。

始発駅からなので、今度はちゃんと座れました。
夕方の時間帯、満員電車ではありませんが、立っている人も多かったそうです。


ふと、おママの視界に3歳くらいの男の子を連れた若いお母さんが入りました。

その2人は立っている。

いつものことですが、おママは小さいお子さんがとても気になります。


「あら、大丈夫かしら?」
席を立って譲ろうとするから、オネコは慌てました。
「お母さんは座ってて。」
それで、オネコが立ち上がって男の子に席を譲りました。
しかし…。それで終わりにはならなかったのです。


「あら、やっぱりお母さんも座った方がよいわ」

おママはそう言って、すっくと立ち上がりました。

そして、オネコが驚く光景が繰り広げられたのです。

 

「そしたら、そのお母さん、25才くらいかな、ありがとうございますって、さっと座っちゃったの!」

 

後日、オネコの話では…、

おママが席を譲った若いお母さんはお元気そうで、大して荷物も持っていなかったそうです。

 

うーむ…。
私やオネコには80代の人間が若い人に席を譲るという感覚はありません。

 

譲る方も…、
譲られる方も…です。

 

若い気分
  ほんの30分くらい前には素直に席を譲られていたおママが、

今度は席を譲る側になる。


考えてみれば面白いことだと思います。

 

30分で気分がかなり若返ってしまったか?
というより、普段のおママは自己認識年齢が10〜20歳くらい若いのです。

 

若いお母さんと小さな子供を見たら、それは気遣うべき対象になるのでしょう。


(お母さんも座った方が、お子さんも安心よ。)

ただその思い一点です。


自分の歳なんて意識に上らず、目の前の事象だけに没頭してしまう。その時に思った事を実行に移しただけですね。


あれこれ考えると、
若いお母さんも、すっと座って下さって良かったのかも知れません。
電車の中で座る座らないの押し問答になるのはお互い辛いですし…。


それとも気の若いおママですから、見た目も若く見えたかな?(笑)

 

あとで、オネコはこんな事を言っていました。
「席を譲ってもらった時も、おママは本当は不本意だったのかもよ〜。」
そうかも知れません。(笑)

おママは歳を取った記憶がないのですものね。

若い気分のままね。(^。^)

 

おママの貼り絵を見て下さりありがとうございます。