(2018年3月22日 アルツハイマー型認知症の診断から約11年1ヶ月)
*卒業してもうすぐ丸3ヶ月
ついこないだまで当ブログで頻出していた言葉と言えば、「お帳面」。
あんなに頑張っておママの「お帳面付け」をサポートしてきた私ですら、すでに懐かしい響きに変わっております。
「お帳面」とは今年の2月末までおママが毎日付けていた簡易家計簿のことです。
前日の残高からその日の支出合計を引くだけのメモ書きみたいなものです。
おママは長年家計簿をつけてきました。結婚する前は銀行員でした。古い話で昭和20年代後半から30年代の初めのことです。だから、算盤は上手だし計算も得意でした。
家計管理の実質はすでにジジが担ってきました。しかし、毎日買った物を「お帳面」に記入して算盤を弾く事は、おママの能力を保つという意味で良いと思い、私達はサポートをしてきました。
しかし、今年に入って急に算盤の能力も落ちて、お帳面に文字を書くのも辛くなってしまったようです。
2月末にジジが決断して、おママは長年続けた「お帳面」を卒業しました。
以後、おママは今まで自分が使っていた「お帳面」にジジがジジ流のやり方で文字や数字を記入するのを見てもあまり反応もせず、さほど興味もなさそうでした。
(やはりこれがおママにとって限界だったのね。)
84歳、おママはやりきったのですね。頑張りました。
アルツハイマー型認知症の診断から11年。おママの記憶力ひどく低下しています。時によっては一呼吸する間に忘れます。
そんな状態のおママが数ヶ月も「お帳面」から離れていれば、習慣化していた「お帳面付け」は忘却の彼方でしょう。長年続けていたことすらなかった事になるでしょう。それは娘としても切ないです。
ところが、先週の金曜日(5月18日)ちょっと反応があったのです。(^。^)
もちろん復活したわけではありませんが…。
*この日のおママは妙に反応が良かった。
私が実家に着いて玄関に入ると、珍しくジジに繰り返し訴えかけるおママの声が聞こえました。その強いこだわりを持って主張するトーンは懐かしくもあります。
最近のおママはとても素直で大人しくなっているので、本来家族にとっては悩ましいこの症状すら、私達は「反応がいいね」と感じるのです。
「どうしたの? 何を揉めているの?」
ジジによると…。
私が玄関に入った音を聞きつけ、おママはジジに階下へ見に行くよう強く主張したらしい。私は駅から電話しているから、ジジには誰が来たか分かります。
それで、ジジは「チャーコさんだよ、すぐに2階にくるからいいの」と言いましたが、おママは納得なんて出来なかったのでしょう。
「ちゃんと(お客さんなんだから)この方が来たんだから、下へ行ってああしないとダメじゃないの❗️」
「ああする」とはこの場合「迎える」だと思います。
明らかにおママは言うことを聞いてくれないジジに強い苛立ちを感じていました。
その時、ジジは既に「お帳面」を開いて待っていました。
そして、買い物の立替え分を支払うために「お帳面」を付けていると、おママは珍しくジジの眼前で見張っているではありませんか。
しかし、ジジは構わずにジジ流の記載方法で記入していきます。
おママはそれを見て驚ろきとも怒りともつかない声を上げました。
「あっ、それ、どうして、そんな風にするのよ❗️そんな風に書かないの❗️」
まるで、自分が以前やっていた事を蔑ろにされたような響きでした。
おママ…。長年自分が書いてきたやり方とジジ流の違いがわかるの?
数ヶ月も離れていたけど、この一瞬だけとしても、習慣化していたおママ流「お帳面」が蘇ったのかしら?
記憶力に関しては、現在おママの認知症の症状はかなり進んでいると思います。
それでも、何らかの感情の高ぶりが脳を刺激して、途切れていた記憶の回路を一瞬繋いだように感じました。
記憶と感情の関係ってあるのかも知れませんね。
*本日アップの貼り絵
メインの曲線状のパーツは、15年から25年前におママが自分で染めた墨流し染め(マーブル染め)です。
この紙の面白さは、2度染めしていることです。最初に絵具でマーブル染めをしたのだけど、おママは不本意に思ったのでしょう。ちょっと色が薄いです。それを反故にして、今度は上から墨流し染めをしたのだと思います。
これが元のマーブル紙です。⬆︎
ピンクドット柄 の四角はこちらの残りでしょう。明治ザ・チョコレートのパッケージです。⬇︎
おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。