(2018年6月24日 アルツハイマー型認知症の診断から11年4ヶ月)
*グサッとくる言葉
何年もの間、おママからこんなに鋭い言葉を言われた事はあっただろうか…。
それは6月25日の事。
私はおママの貼り絵を一生懸命に写真撮影しておりました。こんな時、おママは興味深げに近ずいてきて、自分の作品の感想や解説をしてくれます。
私はおママに、
「これもきれいね〜、これは色がよく合っていて良いわね〜」
なんて言いながら撮影をするのが常です。そうすると、いつもおママも嬉しそうにしています。
ところが、この日は違いました…。
「きれいね」を連発している私に、おママがきつい口調で投げつけた言葉。
それが「『きれい』じゃダメなのよ‼️」です。
「…? どういうこと?」
おママが更に言う言葉はもっと凄かった。
「ひとのを『きれー』と言っているのではなく、自分がどうするかでしょ‼️」
「へ?」
おママは貼り絵のファイルを指差しながら言いました。
「これを見て、こういう風に作るのか?あなたならどうするか?が大事でしょ‼️」
私は鋭い切っ先で胸を刺されたような、痛みを伴う衝撃を受けました。
*私は何者か
おママは私の言葉を口先だけの「きれい」と思ったのでしょうか?
それが癇に障ったのかも知れません。
でも、恐らくおママは私に「人の作品をきれいと言っていないで、何か制作してみろ❗️」と言いたかったのではないか…。
長年、皮工芸や製本技術に興味を持って取り組んできたおママは、たとえ趣味であっても、何か制作活動をしている人が好きなのだと思います。
私はと言えば…、
美術大学を出してもらったのに、娘を産んでからからこのかた何の制作活動もしてきませんでした。おママは少しガッカリだったと思います。
私をどこまで娘と認識しているか疑わしいので、この6月25日の言葉は、おママがその事で私を責めているわけではないと思います。
しかし今年の初め頃のことですが、おママに言われたことがあります。
「あなたは何をしている方なの?」
この時も一緒に貼り絵を見ていたのです。私はドキリとしました。
おママは私の職業を聞いているのではありません。
その証拠に私が、「絵を描いています。仏様の絵を習っています」と言うと、おママは「絵を描いている人なのね」と笑顔になりました。
「まだ、始めたばかりです。お手本の仏画をそのまま写し取っているだけですが…。」
慌ててスマホを開いて、練習で描いた絵の写真を見てもらいました。
私はおママを納得させるために習い事を始めたわけではありません。
でも、この時ほど、始めて良かったと思いました。
おママは厳しいですね…。
でも、おママはずっと何かを制作してきました。そして、アルツハイマー型認知症になる数年前からこのハガキ大の貼り絵を始めて、今だに続けている強者です。
どんな制作活動をしているのか?
それはおママの私への期待だとも言えるし、私のおママへの負い目でもあります。
でもさ…、おママ…。
私だって、なかなか大変なのよぉ〜。時間が取れないのよ〜。
と言い訳を心の中で呟いて、自分を甘やかしている今日この頃です。
おママの貼り絵を見て下さりありがとうございます。