アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

風立ちぬ

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(2018年8月12日  アルツハイマー認知症の診断から約11年6ヶ月)

 

 さぁ❗️出掛けよう。

「昼食べたら出掛けるよ。久しぶりに補聴器の調整をしてもらおうと思ってね。

晴れてるから、おママも散歩がてら行くって。」

昨日(9月19日)、昼前に私は実家に着くと、ジジからそう言われました。

「天気も良いしね。丁度いいわ。」

補聴器の販売店までは電車で1本です。でも、シルバーカーを押してないと歩けないジジ。お出掛けも楽じゃないですね。ましてやおママ付きとなると心配です。

「私も行くわ。」

お供をすることになりました。

日中はそれなりに暑く感じるけど、空気は爽やかです。玄関を出て歩き始めると、すっと涼しい風が通り抜けました。

風立ちぬ

そんな言葉が似合うお日和になったのですね。

私が思い浮かべる風立ちぬの後のフレーズは、松田聖子『今は秋〜』です。

聖子ちゃんの歌声を心で聴きながら、しみじみ思いました。

(ジジもおママも何とか夏を越すことができました。)

 

道中

電車でのお出掛けは久しぶりでしたが、おママはさして問題も無くこなせました。

もちろん、ジジも私も一緒で安心だったからだと思います。

車内では往復「ねぇ、どこへ行くの?」を連発していました。でも、これって私達は慣れっこだから平気平気。

補聴器の販売店で待っている時も、駅ビル内の大型書店でジジが雑誌と本を探している間も御機嫌でした。

駅の公衆トイレで用を済ます事ができました。

1年前と比べて、おママは記憶力だけでなく認知機能も全体的に衰えたと、私は感じています。

でも、まだまだやろうと思えば、お出掛けは大丈夫そうな気がしました。

 

爽風

ところが、最寄りの駅の改札を出たら、おママが言うではありませんか。

「ウチがどこだか分からないわ〜。」

ありゃ…、そうですか。

「大丈夫よ。みんな一緒に帰るんだから。」

「そうよね。」

おママがにっこりと笑顔を見せた時、また私はすっと風を感じました。

 

そして、角に差し掛かるたびに、確かめたかったのでしょう。

「こっちよね?」

まるで少女のように、おママは進む方角を指さしました。

 

本当に良いお散歩日和でした。

風立ちぬ。』

おママ、ようやく秋になりましたね。(^。^)v

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。