(2018年9月7日 アルツハイマー型認知症の診断から約11年7ヶ月)
*へぇ〜❗️
9月7日の夕方。
夕飯の支度の合間に私はおママの作業部屋を覗いてみました。そこには無心に机に向かうおママの背中がありました。いつものように私が、
「お手元暗くありませんか?」
と声をかけますと、おママは「大丈夫よ」と答えました。そして、机の上、おママの手元を目にして私は思わず「へぇ〜❗️」と声を上げてしまいました。
それが⬇︎の写真です。
既に「越前和紙はがき」にはグリーン系の色紙がベタッと貼り付けられていました。上下をピンキーングはさみでギザギザにしている点は、おママの遊び心でしょう。
その上に、折り目がたくさん付いて少々くたびれた水色の折り紙を細かく切ったパーツがありました。
そしておママはまさに通販カタログから切り抜いた写真を、更に分割しようとしていました。よく見ると龍の水墨画のようです。
「面白いですね。」(^。^)
「そうかしら?」(^_^*)
*水色の三角
面白いといえば、三角形の水色の折り紙を2つに折って、細長い三角をこしらえた点です。
「ねぇ、その水色の三角はどうしたの?前から折り目が付いていたの?」
まだ、作業中だから、もしかしたら覚えているかも知れないと淡い期待を持った私が甘かった…。
「そうよね〜。」
私の質問の答えにもならない事を言うのね。おそらくおママの記憶はもう消し去られていたようです。(°_°)
もしかしたら?以前、何かを折ろうとして折り目を付けた折り紙を、この日この時に再発見したのかも知れません。そして水色と白のさわやかなパーツが出来るとおママは思ったのですね。
⬇︎下の写真は三角パーツの内側を糊付けしているところです。
⬇︎あっという間に構成がまとまりました。完成までの所要時間は30分くらいでした。
「もう、これでいいかしら?」
「いいんじゃない?」
おママが良ければそれが良し。
「面白いから、すぐに糊付けちゃったら?」
そして、おママは黙々と完成させていました。
*逆さ龍?昇り龍?
この貼り絵は気になる点があります。
それは天地の問題です。(上下の向きの問題ですね。)
「これはどっちが上ですか?」
写真撮影の時に本人に確認すると、
「どっちでも良いのよ、あなたの良い方で…」
と言われてしまいました。私の一存で決めろと言われてもねぇ。(°_°)
制作過程の写真をみると、おママが想定していた天地の向きは、トップの写真が正しいと思います。しかし、単純に龍の絵に重点を置いて考えると⬇︎下の写真が良いのかも知れません。
認知症ではなく、見当識障害もない普通の人ならば、きっと龍が描かれている事を意識するでしょう。そうしたら、トップの写真のように龍を逆さに配置したりしないと思います。
(トップの写真の向きを上下逆にしたもの。⬆︎)
果たしておママはカタログから切り抜いたこの写真を「水墨画の龍」と認識していたのでしょうか?それは甚だ疑わしいと思います。単にシックな模様と捉えていたかも知れません。それに、おママだったら、赤い鮮やかな色彩は上方に置きそうです。
先入観なく見てくれそうなので、私の娘のアズキにどちらが良いと思うか聞いてみました。すると、即座に答えました。
「制作中と同じ向きの方が良いと思う。」
なるほどね…。実は私もそうかなと思います。
龍の姿は逆さまだけど、考えようによっては、身体をくねらせながら龍は天に向かって飛んでいるような感じもします。昇り龍なのかも知れません。
おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。