アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

記憶について No.32(おいしい記憶)

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(2018年11月21日  アルツハイマー認知症の診断から約11年9ヶ月) 

 

お煎餅、万歳❗️

並んでも買いたい物ってありますか?

食い意地の張った私は、月に1回デパ地下にある某お菓子屋さんに並びます。

目指すは❗️無選別袋❗️*\(^o^)/*いわゆる徳用袋ですね❗️

大きい袋に高級煎餅が沢山入っていているんです。壊れも混ざっていますが、味は変わりません。

通常商品は贈答用にも使える美味なお煎餅ですが、家庭用には嬉しい無選別袋。

これが太る元凶と分かってても、1度買ったらやめられん❗️

我が家の分、実家の分、オネコの分。

ガサガサ5袋も抱えるのは私は、まさに御立派なオバちゃん振りですわ。(๑˃̵ᴗ˂̵)v

えっ?

これが「記憶について」シリーズに、 なんの関係があるのかって?

あるんです。(^O^)

 

空袋を捨てないおママ

私がこの無選別袋を実家に持っていくようになって、だいたい1年になりました。

ジジもおママもこれを楽しみにしてくれるので、私も甲斐があるというものです。

気に入ってくれるのは良いのですが、おママは食べてしまっても、この無選別の空袋を捨ててくれません。

大きくて金色でキラキラしているからかしら?

今までも気に入ったお菓子の袋は忘備録的に残しておく癖はありましたが、それを後で見ても本人何が何だか分からず仕舞いですから…。(^。^)a

 

これは昨年の秋の事ですが…。

私は強制執行的に空の無選別袋を捨てようとしました。

「この袋は空だから捨てるわよ。何枚もあるんだから。」

おママの顔が曇ったので、ちょっと可哀想…。それで、私は1枚だけ残すことにしました。

「ほら、1枚あるからいいでしょう。」

私が見せると、おママは空袋を手に取り言うのです。ʕʘ‿ʘʔ

「これね、美味しいのよ。私はこれが好きなの。」

(えっ⁉️覚えているの?)

無選別袋を買うようになって、まだ1年足らずです。

短期記憶だけでなく長期記憶さえ覚束ないおママなんですよ。比較的新しい記憶に属する、このお煎餅の美味しさを記憶しているのか⁉️(°_°)

「美味しいのね…。何が入っていたのかしら?」

するとおママは小首を傾げて、

「……。あー、あれね。あの、なんだったっけ…。

でも、美味しいのよね。」(^O^)

「美味しいのね〜。」(^_^;)

何が入っていたかは忘れてしまったようです。

 

食いしん坊のおママだけかしら?

おママは袋の中身は記憶していませんが、その中味が美味しい事は覚えていました。これって、どう言う事でしょうか?

味覚は小さい頃からの記憶によって成り立つものだと思います。

だから、梅干しを見ただけで酸っぱかったり、お饅頭を見たら甘いと感じるのでしょう。

何か分からない物だけど、美味しいと思う。

これは食べ物の味わいを覚えていたわけではないんですね。

私の予想ですが、おママは金色の大袋を見ただけで、美味しくて嬉しかった記憶が蘇ったのかも知れません。

 

つまり、味わいの記憶は失くしても、美味しい記憶は嬉しくて幸せな気分の記憶に転化したのかしら…。

これって、食いしん坊のおママ限定のことかしら?

食べる事大好きだった認知症の人は、案外、当てはまったりして…。(^O^)

 

やはり、人間って、

たとえ認知症になっても、なるべく美味しいと感じる物を食べていきたいですね。

食べる喜びが幸せの記憶になるのなら…。

 

 本日アップの貼り絵

メインのお花はペーパーナプキンです。薄くて柔らかい紙は切るのが難しいのですが、トップの貼り絵はかなり細かくハサミを入れています。

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これは去年の秋の作品ですが、おママのハサミの技術は今年になっても健在です。

 

 おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。