アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

記憶についてNo.33(木を見れば…。)

 

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(2018年4月6日  アルツハイマー認知症の診断から約11年2ヶ月)

 

2018年5月の感動⁉️(¬_¬)

今、おママの作業机のある部屋は、かつて子供部屋でした。

オネコと私が実家を出るまで使っていた部屋です。

その日当たりの良い2階の窓を開ければ、1本の木が立っております。

少女期の私は、窓辺で風に揺れる枝をながめ、その葉音に耳を傾けながら、

この木とともに暮らしていたとさ…。(笑笑)

 

アメリカ杉だとジジは言うけれど、良く分かりません。

戦争中に祖父母が子供達(ジジと叔母)と移り住んだ時には、既にこの木はあったそうです。きっと樹齢は80年を遥かに超えているのでしょう。

 

だから小学2年生から住んだ私にとっては、最初から背の高い大きな木でした。

それが月日は流れて、早くも40数年…。

20年くらい前、タダでもデカかった木は、これ以上背が伸びないように上を切られてしまいました。それ以来、横に太り(私と同じじゃないか‼️)現在はこんなになりました。⬇︎繁ってます。(^O^)

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(2018年5月11日撮影)

昨年の5月、暑くなってきたので風を入れようと窓を開ければ、

側にいたおママが突然歓声を上げました。

あら〜❗️この木は小さくて細かったのに、こんなに大きくなって‼️」

 

おママ…。私達が祖父母と同居し始めた45年くらい前の姿を覚えているのね…。

いえ、たとえ覚えていなくても、印象だけでも残っているのかしら?

私が子供の頃に眺めていたアメリカ杉を、おママも一緒に懐かしんでくれるのね。

私は胸が熱くなりました。*\(^o^)/*

 

ところが、この話をオネコに熱く語ると、冷静に言われてしまいました。

「おママの考える昔が、どの時点なのか定かじゃないわよ。もう子供の頃の記憶も曖昧なのよ。もしかしたら、自分の子供の頃には『小さかったはず』って考えて言っているんじゃないかしら?」

う〜む。言われてみれば確かにそうかも知れない…。

私は「記憶について」シリーズに感動エピソードとして書こうと目論んでいたのですが、この話をお蔵入りにしました。σ(^_^;)

結果として、お蔵入りにしておいて良かったのです。

 

どことなく引っかかるぞ❗️

 昨年の秋にジジの補聴器の調整に出かけた時の事です。

久しぶりに電車に乗って急行の止まる駅で降りました。ジジとおママと3人で駅舎を出ると広場があり、そこには木が何本も立っています。そして道路には街路樹が植わっておりました。

広場の木々の周りで小さな子供を連れたお母さん達が楽しそうに話しています。その周りを子供らが飛んだり跳ねたりしているのです。

おママはその光景を笑顔で見つめていました。そして、視線を上に向けて言いました。

「あら〜、この木は小さかったのにこんなに大きくなって…。」

「………、ん?」

あの時の感じに似ている…。言い方もそっくり。(^ ^?)

何となく引っかかりは感じましたが、この時、私はあまり気に留めませんでした 。

 

もしかして、そういうシステム⁉️

その後、気になった事もすっかり忘れておりました。

それが今年(2019年)1月の下旬になって、俄かに蘇ってきたのです。

 

おママと2人でスーパーに買い物に行った時、

駅前に植わっている木を見ておママが発した一言。

「あら〜、あんなに小さかったのにこんなに大きくなって❗️」

おママは手で自分の肩の高さを指し示しながら「このくらいだったのよ」と付け加えたのです。

(え……。おママ、それ、ほんとうか⁉️)

本当だとしたら、おママは完全に駅前が改修された当時を覚えていることになります。

(もしかして、覚えているの?

木を見ると、木が成長する前の姿を必ず思い出すの?)

 

私は目眩がしました。思い出すのでなければ…。

おママの脳の中では次のようなシステムが出来上がっているのか?

 

大きめの木を見たら、

⬇︎条件反射的に

⬇︎「〜こんなに大きくなって!」と言う

 

システムが出来上がっているなら、それはある意味で記憶の一種かしら?

いえいえ…。

本能のレベルで、木を見ると言いたくなるのなら、記憶とは無関係ですかね。

 

私は頭がクラクラしながらおママと帰途につくと、目の前を中学生くらいの男の子が通りました。

すると、おママが言うのです。

「あら〜、あの子、小さかったのにこんなに大きくなって❗️」

通りすがりの子ですよ。

どの子よ。どこの子よ。面識あるんですか⁉️

木だけじゃないのね。

もはや、目に付いて気になったら言う決まリ文句だったのか…。

 

最初にオネコが言った通りだったようです。

私は自分のノスタルジーとおママの言葉を重ね合わせて、

安易に考えすぎないようにした方がいいのかも知れません。(^O^)

 

本日アップの貼り絵

木の年輪のイメージからこの貼り絵を選んでみました。昨年(2018年)4月の作品です。背景に貼ったのはおママが自分で染めた墨流し染です。

まだおママがアルツハイマー認知症になる前、マーブル染をして自分で製本した本の裏表紙に使っていた頃のものです。

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 ⬇︎花模様はこちらから。

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 ⬇︎おママは同じ日にこの貼り絵も制作しました。

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(2018年4月2日  アルツハイマー認知症の診断から約11年2ヶ月)

 

おママの貼り絵を見て下さり。ありがとうございます。