(2020年1月15日 アルツハイマー型認知症の診断から約12年11ヶ月)
*外出から帰ったら
コロナウイルスによる新型肺炎「COVID-19」の感染がジワジワ広がってきたように思います。
25日夜の都知事の会見後、一種の危機感からでしょう。スーパーには食品を買う客が押し寄せて、一部の商品棚が空っぽになっております。
日本はこれからなのでしょうか。
感染爆発を避けるために、各自が出来る事をやっていくしかありません。
まず、集団感染が起こる3条件と言われる3つの「密」を避けるしかないと思います。
①密閉 寒気の悪い空間
②密集 手の届く距離に多くの人がいる
③密接 近距離での会話や発声
そして、外から帰ったら、うがい手洗い。
認知症歴13年のおママは、外出から戻っても、自分からはうがい手洗いをすることはありません。長年根付いたその習慣が、今ではおママの頭から消えています。
しかし、側で促して上げれば、まだ出来るのです。
おママと一緒の買い物から帰宅した時は、私がおママにうがい手洗いを促します。
手洗いは「お母さん、手を洗ってください」と伝えれば、おママはまだ出来ます。
しかし、「うがいをして下さい」と言われただけだったら、ママは理解出来ないでしょう。
私はそう思って、お手本を示しました。
「お母さん、うがいをして下さい。ほら、こんなふうにやるんです。」
ガラガラ……ぺぇ〜。(喉を洗浄)※「ぺぇ〜」は水を吐き出す擬音語です。
すると、おママは、
「あ、うがいね。はい…❗️」
クチュクチュ……ぺぇ〜。(口内を洗浄)
「あら、お母さん、ガラガラとやって下さいよ。」
「はーい。」
再度説明すれば、おママは喉を洗浄出来ました。
私からすると、 「うがい」は
水を口に含んで上を向き、喉でその水をガラガラと震わせる「ガラガラ……ぺぇ〜」です。
そして、「クチュクチュ……ぺぇ〜」は口の中をゆすぐ事です。
辞書的には「うがい」は「ガラガラ……ぺぇ〜」も「クチュクチュ……ぺぇ〜」も良いようですが、どちらかと言うとニュアンス的には「ガラガラ……ぺぇ〜」ではないかしら?
(昔からだけど、認知症になっても、おママにとって「うがい」とは…。
「ガラガラ……ぺぇ〜」ではなく、
「クチュクチュ……ぺぇ〜」なのね。)
私は感慨深かったです。
おママと私の「うがい」についての解釈違いには、ちょっとした思い出があります。
*あれは、46年前?
私が小学校3年生の頃だったと思います。
休日の昼間、おママに突然声を掛けられました。
「ねぇ、チャーコは水でうがいができる?」
私は母親の言わんとする事が飲み込めませんでした。
いくら姉より頭の悪い妹と思われていても、8歳になる私に「うがいが出来るか?」とは、馬鹿にするにも程があります。
「出来るよ❗️」
私は洗面所でコップに水を汲み、勢い良く「ガラガラ……ぺぇ〜」をしました。
するとおママは呆れ顔になりました。
「そうじゃなくて、うがいは口の中をゆすぐ事でしょう。」
私はこの時、母親とは文化が違うのだと感じて、ショックを受けました。
「ガラガラっていう方だと思っていたよ。」
「いやぁねぇ。違うわよ。それで、チャーコは水でうがいが出来るの?」
「………。」
水で「クチュクチュ……ぺぇ〜」と口をゆすげとな…⁉️
「水で、やるの…?」
「そうよ、出来る?」
この当時、私は密かに虫歯を数本隠し持っておりました。当然、水ではしみるので、歯磨きはぬるま湯でやっていたのです❗️
(おママの目的はこれだったか…。)
私は自分の浅はかさを思い知らされました。
おママの前で、キーンとしみるのを必死に堪えながら、私は口をゆすいだのです。
でも、隠し事は直ぐに露見してしまい、私は歯医者通いをする羽目になりましたとさ…。
この頃から、おママと私では「うがい」の概念が違っていたのです。
おママに「ガラガラ……ぺぇ〜」をしてもらいながら、何だか懐かしくなってしまいました。
*本日アップの貼り絵
1月15日の午後。
ジジはダイニングテーブルでソフトバンクからの封書を開けていました。恐らく請求書と明細書でしょう。
ジジに必要なのは封書の中身だけです。それでジジはその封筒を、目の前でテレビを見ていたおママに渡しました。
「内側が使えるでしょ。」
おママは直ぐに封筒を切り開き、グレー地に白文字で「SoftBank Corp.」と細かく書かれた内側を嬉しそうに眺めました。
そして、色々な形に切り分けました。
長方形、三角形、台形…それらを机の上で構成し始めたので、私は白い葉書を差し出しました。
20分ほど経って、おママ納得のデザインが決まりました。
でも、最初の完成形には、赤がなかったのです。
ソフトバンクの封筒だけで、グレー系のみのデザインだったんですよ。
「完成ですね。」
「そうよ、これで良いの。」
おママは自信を持って言い切り、新聞紙を見ながら裏面に日付を記入しました。
しかし、私が収納ファイルを持ってきてみると、おママは赤い紙から小さな三角形を切り、
「ここ、ここ、ここ…」
完成したはずの貼り絵の上に、おママは迷う事なく置いているではありませんか❗️
気が変わったのですね。
モノトーンの世界に突然、赤い花弁が降ってきた❗️
やはり、この小さな赤が有るのと無いのでは大違いでした。(^O^)
おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。