アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

うがい

f:id:harienikki:20200327223006j:plain

(2020年1月15日 アルツハイマー認知症の診断から約12年11ヶ月) 

 

外出から帰ったら

コロナウイルスによる新型肺炎「COVID-19」の感染がジワジワ広がってきたように思います。

25日夜の都知事の会見後、一種の危機感からでしょう。スーパーには食品を買う客が押し寄せて、一部の商品棚が空っぽになっております。

日本はこれからなのでしょうか。

感染爆発を避けるために、各自が出来る事をやっていくしかありません。

 

まず、集団感染が起こる3条件と言われる3つの「密」を避けるしかないと思います。

①密閉  寒気の悪い空間

②密集  手の届く距離に多くの人がいる

③密接  近距離での会話や発声

 

そして、外から帰ったら、うがい手洗い。


認知症歴13年のおママは、外出から戻っても、自分からはうがい手洗いをすることはありません。長年根付いたその習慣が、今ではおママの頭から消えています。

しかし、側で促して上げれば、まだ出来るのです。

 

おママと一緒の買い物から帰宅した時は、私がおママにうがい手洗いを促します。

手洗い「お母さん、手を洗ってください」と伝えれば、おママはまだ出来ます。

しかし、「うがいをして下さい」と言われただけだったら、ママは理解出来ないでしょう。

私はそう思って、お手本を示しました。

 

「お母さん、うがいをして下さい。ほら、こんなふうにやるんです。」

ガラガラ……ぺぇ〜。(喉を洗浄)※「ぺぇ〜」は水を吐き出す擬音語です。

 

すると、おママは、

「あ、うがいね。はい…❗️」

クチュクチュ……ぺぇ〜。(口内を洗浄)

 

「あら、お母さん、ガラガラとやって下さいよ。」

「はーい。」

再度説明すれば、おママは喉を洗浄出来ました。

 

 私からすると、 「うがい」

水を口に含んで上を向き、喉でその水をガラガラと震わせる「ガラガラ……ぺぇ〜」です。

そして、「クチュクチュ……ぺぇ〜」口の中をゆすぐ事です。

 

辞書的には「うがい」は「ガラガラ……ぺぇ〜」「クチュクチュ……ぺぇ〜」も良いようですが、どちらかと言うとニュアンス的には「ガラガラ……ぺぇ〜」ではないかしら?

 

www.weblio.jp

www.weblio.jp

 

(昔からだけど、認知症になっても、おママにとって「うがい」とは…。

「ガラガラ……ぺぇ〜」ではなく、

「クチュクチュ……ぺぇ〜」なのね。)

 

私は感慨深かったです。

おママと私の「うがい」についての解釈違いには、ちょっとした思い出があります。

 

あれは、46年前?

私が小学校3年生の頃だったと思います。

休日の昼間、おママに突然声を掛けられました。

「ねぇ、チャーコは水でうがいができる?」

 

私は母親の言わんとする事が飲み込めませんでした。

いくら姉より頭の悪い妹と思われていても、8歳になる私に「うがいが出来るか?」とは、馬鹿にするにも程があります。

「出来るよ❗️」

私は洗面所でコップに水を汲み、勢い良く「ガラガラ……ぺぇ〜をしました。

 

するとおママは呆れ顔になりました。

「そうじゃなくて、うがいは口の中をゆすぐ事でしょう。」

 

私はこの時、母親とは文化が違うのだと感じて、ショックを受けました。

 

「ガラガラっていう方だと思っていたよ。」

いやぁねぇ。違うわよ。それで、チャーコは水でうがいが出来るの?」

「………。」

 

水で「クチュクチュ……ぺぇ〜」と口をゆすげとな…⁉️

 

f:id:harienikki:20200208092020j:plain

「水で、やるの…?」

「そうよ、出来る?」

この当時、私は密かに虫歯を数本隠し持っておりました。当然、水ではしみるので、歯磨きはぬるま湯でやっていたのです❗️

 

(おママの目的はこれだったか…。)

私は自分の浅はかさを思い知らされました。

おママの前で、キーンとしみるのを必死に堪えながら、私は口をゆすいだのです。

でも、隠し事は直ぐに露見してしまい、私は歯医者通いをする羽目になりましたとさ…。

 

この頃から、おママと私では「うがい」の概念が違っていたのです。

おママに「ガラガラ……ぺぇ〜」をしてもらいながら、何だか懐かしくなってしまいました。

 

f:id:harienikki:20200328111508j:plain

きえぇーー! 歯にしみる!(涙)

本日アップの貼り絵

 1月15日の午後。

ジジはダイニングテーブルでソフトバンクからの封書を開けていました。恐らく請求書と明細書でしょう。

ジジに必要なのは封書の中身だけです。それでジジはその封筒を、目の前でテレビを見ていたおママに渡しました。

「内側が使えるでしょ。」

おママは直ぐに封筒を切り開き、グレー地に白文字で「SoftBank Corp.」と細かく書かれた内側を嬉しそうに眺めました。

そして、色々な形に切り分けました。

長方形、三角形、台形…それらを机の上で構成し始めたので、私は白い葉書を差し出しました。

f:id:harienikki:20200327223028j:plain

 

20分ほど経って、おママ納得のデザインが決まりました。

でも、最初の完成形には、赤がなかったのです。

ソフトバンクの封筒だけで、グレー系のみのデザインだったんですよ。

「完成ですね。」

「そうよ、これで良いの。」

おママは自信を持って言い切り、新聞紙を見ながら裏面に日付を記入しました。

 

しかし、私が収納ファイルを持ってきてみると、おママは赤い紙から小さな三角形を切り、

「ここ、ここ、ここ…」

完成したはずの貼り絵の上に、おママは迷う事なく置いているではありませんか❗️

気が変わったのですね。

 

モノトーンの世界に突然、赤い花弁が降ってきた❗️

 

やはり、この小さな赤が有るのと無いのでは大違いでした。(^O^)

 

 おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。