アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

愛おしい時間

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(2020年10月16日 アルツハイマー認知症の診断から約13年8ヶ月)

 

秋の感傷

10月に入ってから10日ぐらい過ぎた頃でしょうか。

暑さの名残も和らいで、秋らしさが日毎に増していました。こんな日はお天道様が真上にあっても清々しい。

 

おママと私が駅前のスーパーまで買い物に行った時の事です。

住宅が軒を連ねて向かい合う細い小道で、おママと私は1枚の葉を拾ました。

まだ10月でしたから、大して落ち葉なんてないのですが、大きくて状態が良い。

「柿の葉かしらね。」

1枚の葉の上に、赤と緑の斑点がいい具合でなかなか綺麗だったのです。

私が屈んで葉を拾っていると、おママの声が頭上から聞こえました。

「いいわね。」

それで私は実家に持ち帰る事にしました。

おママと歩く道々、こうして一緒に落ち葉を拾うのも、いつまでできるかなぁと感傷的になりました。

今後の症状の進み具合では、来年すらあまり想像できません。

(こんな何気ない事も、後々思い返せば「愛おしい時間」になるのかも…。)

 

おママと落ち葉を拾うのは些細な事だし、何度もやってきました。

 

でも、この日のおママは、青く広がった空に浮かぶ雲と同じように、1枚の葉を喜んでいる。その姿をが大切に思えて、私はこの記憶を形に留めたくなったのです。

 

しかし、実家へ戻り30分ほどテーブルに置いていたら、平だった落ち葉は反り返り始めました。

(この反りを直すには…。)

軽く洗って水分を拭き取り、本にでも挟むしかないかな?

私は昼食の支度の合間に、粗雑に古い『文藝春秋』の間に挟み込んだのです。

 

押し花ではなく押し葉

 柄にもなく、おセンチになったチャーコでしたが、根がガサツだから長続きしません。

1週間ほどで押し花ならぬ押し葉を思い出しただけでも、偉かったと思います。(^◇^;)

「あれ、どうなったかね。」

 

げっ‼️

 

文藝春秋を開いてみると、美しかった赤い色と緑の斑点がすっかり色褪せていました。

私の清らかな(⁉️)感傷が見る影もなく失われてしまったではないか‼️(T_T)

なぜ,なぜ…。私は綺麗なうちに写真を撮っておかなかったのだろう。

後悔先に立たず。

 

 (上が表面の写真。下が裏面です。)

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 それでも活用

私の落胆は激しく、この落ち葉を「愛おしい時間」の思い出と共に捨ててやろうかと思いました。

しかし、意外にもおママは興味を持ったのです。

 

それなら、葉書に貼ってもらいましょうか。(^O^)

(↓)本人は大きな葉をハガキにベタッと貼りたいようです。

周囲に合わせる紙は何にしましょうか?

おママは直ぐに、この3枚を選びました。

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 ぶつぶつ言いながら因州板締め染め和紙を切り抜いています。

これ、おママは好きですね。

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「 こうしようかしら。」

「どうぞ…。」

おママは葉の裏面を表にして貼りたいようです。

(嗚呼、葉表の美しかった紅の色彩と緑の斑点は失われて、しかも糊で潰されるとは…。)

私の胸の傷が疼いたけど、物理的にその方が貼りやすいのも確かです。(^◇^;)

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<制作動画>

葉っぱが大きいのでおママは盛大に糊付けしております。(^O^)

 葉表が糊でテカテカしたら、美しかった名残が垣間見られてちょっと悲しい。


2020年10月16日 13:57〜 おママの貼り絵制作動画

 

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貼れました❗️(^O^)

葉に厚みがあるので、おママは丁寧に押さえながら貼っておりました。

 

ま、おママが貼り絵にしてくれたから、ギリギリ?

ギリギリのギリで、私の「愛おしい時間」の記憶は、

形に留められましたとさ…。(^O^)

 

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秋なのね…。

(↓)最近の落葉を利用した貼り絵です。

harienikki.hatenablog.com

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おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。