(2021年6月7日 アルツハイマー型認知症の診断から約14年4ヶ月)
*おママのお気に入り
今月はとても嬉しい事がありました。
無くなりそうだから、無くならないうちに、
買いたいな。
もし今度、購入する機会があったら、
1枚2枚じゃなく、大人買いしちゃおう。
そんな風に思っていた物を手に入れる事ができたのです。
それは、おママのお気に入り。
これです。(↓)じゃーーん❗️
私は月に一度、用があって日本橋に行きます。そのついでに必ず小津和紙に寄ります。
おママが貼り絵の台紙に使っている「越前耳付きはがき」や、好みに合いそうな千代紙を探すためです。
そして、お店の棚におママのお気に入りがある事を期待して…。
小津和紙の千代紙は定番の柄もありますが、季節によって少しずつ替わっていきます。だから、見ていてとても楽しいし、毎回ついつい欲しくなっちゃいます。(^O^)
2019年に1度だけ,水色を見つけて2枚購入しました。
しかし、それも残り僅か。
それで、5月の下旬に、思い切ってお店の人に聞いてみました。
「欲しい千代紙があるのですが…。」
すると、在庫があれば取り寄せが可能との事でした。
とんとん拍子に話が進んで、6月の上旬に友禅紙全5色購入しました❗️
ねーー。こうして並べると綺麗でしょう。おママも興奮気味でした。
大きさは1枚 30×38cm なので、上の写真では既におママが使いやすいように分割してあります。
*好きなものへのこだわり
認知症には「こだわり」という症状があります。
元来おママは一つの事に夢中になると、大変な集中力を発揮しますが、
近年はそれが「こだわり」かな?と思わなくもありません。
それは、貼り絵の材料にも当てはまります。
好きな紙はとことん使い倒す。
ヘタをするとそればっかりになる。そんな感じです。
小津和紙で購入した寄木細工模様の千代紙もそうでした。(買える時に多めに買ったので、こちらはまだ余裕があります。)
私がブログでおママの貼り絵を紹介し始めて間もない2017年の2月頃、
おママは怒涛の勢いで、ある千代紙に夢中になっておりました。
認知症になる前に、小津和紙で赤,青、紺、緑を購入していたようです。
「これが好きなの。」(↓)
でしょうね。(^。^)
だって、その年の2月から3月に掛けての作品ファイルは、ほとんどそのオンパレードですもの。メインで使っている貼り絵だけでも36枚。
その後も脇役として登場している作品は数しれず。
おママはどうしてそんなにこの友禅紙が好きなのでしょう。
没我的に、おママはライン上をハサミで辿るように切っていきます。
自然で均一でない美しい曲線。
ひたすら細長く切るのが楽しいようでした。
それを更に短くカットして、組み合わせながら貼り絵の画面を構成していました。
(↓)2017年の作品です。恐らくブログで紹介していなかった作品です。
「これが好きなの」と言い続けて4年。
ある時は主役で、そして頻繁におママの貼り絵に登場する名脇役として大活躍してきました。
今回大人買いして、5色15枚もあるのですから、これからはおママに好きなだけ使ってもらえそうです。
でも、おママが最初にこの友禅紙を買ったのはいつだったのでしょう。
今回、2007年頃からのおママの貼り絵を全て見返してみたところ、
最初の作例は2007年4月ごろでした。(↓)
時期的には、アルツハイマー型認知症の診断を受けたのが2007年 2月ですから、その直後ですね。この時期におママはオネコと小津和紙に行ったようですから、その時に買ったのかもしれません。
しかし、この2作品の後はパッタリと見かけなくなってしまいます。
使われないまま、おママの机の周辺に眠る事10年。
そして、おママは2017年の2月に、この友禅紙3色を再発見し(緑のみ2019年まで行方不明だった)、改めてその魅力に惚れ込んだのだと思います。
これは認知症10年目の覚醒(?)だったのではないでしょうか。(^O^)
*おママの根っこ
今回、小津和紙の方と在庫確認や注文はメールでやりとりしました。
ついでと言ってはなんですが、おママの貼り絵も少し見ていただいたのです。
そうしたら、とても素敵な感想を頂きました。
「御母上の作品、拝見致しました。
どれも、シンプルでモダンな作品。
とても素敵!
柚木沙弥郎さんを思い出しました。
和紙を好いて頂き、それを生かして下さり…
更にご本人も心安らかに過ごせる。
和紙も喜びます。
字の通り「なごむかみ」(和紙)
誠に有難う存じます。」
柚木沙弥郎さんのお名前を拝見して、私は思わず声を上げてしまいました。
今も活躍していらっしゃる染色家で、私の母校女子美術大学で学長を務められた方。
当ブログでお名前を出すのも申し訳ないような大先生です。
実は、おママは独身時代に、女子美で開催された今で言うところのワークショップのような、芹沢銈介先生の短期講座で染色(型絵染)を習いました。すっかり型絵染に魅せられたおママはその後しばらく芹沢銈介先生のアトリエに通いました。