(2021年6月4日 アルツハイマー型認知症の診断から約14年4ヶ月)
この事件で犠牲となられた方々、そしてそのご家族を思うと、今でも胸が痛みます。
私にとっても衝撃的でしたが、当時小学校1年生だった娘のアズキには、あまりにもショッキングだったようです。
「今まで生きてきて、記憶で一番古い、そして最も恐ろしい映像だったよ。」
あれが映画やアニメではなく現実だった。そして取り返しのつかない悲劇だった。
あのようなテロや戦争が起きない平和な世界を願ってやみません。
*いやん
「さっきのお祖母ちゃんには本当にビックリしたよーー❗️」
私は実家で夕食の支度に専念していたから、全く目撃していません。
以下は、全てアズキからの伝聞です。
暑い暑い8月の下旬、夕方の事。
アズキは実家へ来ていて、夕食の支度をしている母(チャーコ)の代わりにおママの相手をしていました。
なんとはなく、パラリンピックの放送が点いていてジジもぼんやり観戦中。
時々おママが
「あついわね」
という穏やかなひとときでした。
「あついわね」が繰り返されても、これ以上エアコンの温度を下げると冷えすぎになりそうです。ジジとアズキは「そうね」と言いつつ、これをスルーしていました。
すると、突然おママが着ているTシャツの裾を持ち上げて、ぱらぁ〜と脱ぎ始めたではありませんか。
それはあまりに唐突な事でした。
突然目の前の祖母が脱ぎ出して上半身下着姿になったのです。アズキは驚愕のあまり一瞬声も出なかったそうです。
しかし、それでは終わらなかった…。(°_°)
Tシャツの裾を掴んで持ち上げるような形で脱ぎますと…、自然と裏返しになります。
おママはニコニコしながら裏返しになったTシャツを、今度はそのままスルッと着ました。
そして、自分の着ているものを自慢するように、アズキに言いました。
「ねぇ、みて、これ、いいでしょ。」
おママのあまりに屈託のない笑顔にアズキ硬直状態になりました。
「……………。」(°_°)
そして、おママはジジにも
「ねぇ、みて、これ、いいでしょ。」
しかし、流石のジジも、これは褒めてあげられなかったようです。
「おかしいから、早く直しなさい。裏返しじゃないか。」
少しきつい口調で嗜めると、おママは怒ったそうです。
「なんなのよ、まったく、あなたはわからないくせに❗️」
そんな内容を日本語のセンテンスになるような、ならないような感じで、捲し立てたそうです。
アズキ流にいうと「お祖母ちゃんがキレ散らかした」らしい。(^◇^;)
ジジが何を言ってもおママが言うことを聞かないから、ジジはアズキに応援を求めました。
「ねぇ、変だよね。アズキちゃんはどう思う?」
アズキにしてみれば、おママの「キレ散らかす」矛先が自分に向くのは是が非でも避けたい。
「わ、私に、聞かないで〜。(こっちに振らないでよぉ。涙目)」(°_°)
アズキがブルブルと首を振るのを見て気がついたのか?
はたまた、アウェな空気を読んだのか?
おママはすぐに同じようにTシャツを脱いで着直しました。
今度は自然と裏返しが直って一件落着となりました。
「あれはどういうつもりだったのか、お祖母ちゃん、謎の行動だったよ。」
「あついから脱いだとしても、裏返して着たら、同じじゃないか?」
おママの症状の進行を実感して、アズキも笑うに笑えなかったようです。(^◇^;)
*不明だが…考えてみる
この話、聞いただけだと笑い話のようですが、
考えてみると、おママの思いがいくつか浮かんできます。
まずは暑かった。しかし近くにいる人は気に留めていない。困った。
誰も聞いてくれない。
暑さを解決するために、1枚脱いでみた。
脱いだら下着ではまずいと気がついて、何か着ようと思った。
<その辺でいったん自分が何をしていたのか記憶が途切れた。>
手元に着るものがあるじゃないか。そのまま着てみた。
目の前に誰だかわからないけど若い女性がいる。
このTシャツは自分の好みなので話題にしてみようかな…。
「ねぇ、みて、これ、いいでしょ。」
しかし、反応はイマイチで、
隣に座っている爺さんは服のことなど分からないくせに文句を言う。頭にきた。
若い女性の方も芳しくない。
自分は何か間違えたかも知れない。
渋々また脱いで着た。(T_T)
おママなりには筋道は通っているようです。
最後はちゃんと空気を読んでいたのでしょう。
でもそれが突然服を脱ぐ、裏返して着て自慢する、指摘されてキレるという動作が突飛に見えてしまうのが残念でした。
おママも気の毒だったかも。(^。^)
私がちょっとアレっ感じたのは、おママが暑いからとはいえ、突然脱いだ事です。
家だからかも知れません。
でも時々、自宅を自分の家と思わない時があります。
他所でも突然脱いだりしなきゃぁいいのですが、不安ですわ。
*本日アップの貼り絵(意外と深い作品だった…)
本日アップの貼り絵はどことなく不思議な感じがします。
私からすると、前提にある作品の残り物の、更に残り物なのに、1連の作品の中では一番前衛的に見えて興味深いです。
この作品の3日前(2021年6月1日)におママはこちら(↓)の貼り絵をしました。
文字通りベタっと貼っただけの作品です。しかし、収納ファイルの中にこの貼り絵を見つけて、私は驚きました。
「これ、どこにあったんだろう…。」
おそらく、元はおママがオネコと一緒に歌舞伎をみに行っていた頃に手にしたチラシででしょう。
(2021年6月1日 アルツハイマー型認知症の診断から約14年4ヶ月)
過去に同じチラシを使っておママは幾つか貼り絵をしてきました。
私は写真データを見ながら思い出しました。
ちょうど昨年の9月11日の事でした。
私はおママの作業机の上から、紙片がいっぱい詰まった小さな袋を見つけました。
おそらく数年前におママが貼り絵に使おうと思って入れておいたのだと思います。(↓)
開けてみると、出てくるわ出てくるわ…。おママの興味や好みを反映した紙片たちでした。(↓)下の写真下部にベタ貼りした紙片が写っていますね。
こちらも昨年9月11日の制作途中写真です。なんと、本日トップでご紹介した貼り絵のメインピースが写っていました。
黄色い半月の中に「追加公演決定!チケット販売(5月4日午前10時より)」と印刷された紙、そして直角に切り込みの入った水色の紙です。
確かこの後、残った紙片は元の透明袋に収めたはずですが、その後行方不明になっていました。
それが、私の居ない日(2021年6月1日)に出てきたのでしょう。
そして、おママはその中で一番綺麗だなと思う紙を葉書に貼ったのだと思います。
「きっと残りがまだあるはず。」
私はダイニングテーブルの上を物色しました。そうしたら有りました。
そして、中をゴソゴソ見ていたら、おママが勘づいて覗き込んできました。
「あら、これ良いわね。」
そして、貼り絵を始めたのです。(↓)
ハガキの上に載っている2枚の紙片は袋から出したままの形で組み合わせていました。
そこに、おママは良い感じの赤みがかったベージュを組み合わせるようです。
(↓)おママは迷う事なく直角に切り込みの入ったピースを貼り始めました。
この記事を書こうと写真をデータをじっくり見ていたら、私は赤丸で囲んだ紙が気になりました。(↓)
小さく横向きの人物の絵が印刷されていて、
「ミニサンプル○○ B−14/R」「ティエラ(あずき)」(※〇〇は不鮮明で読めない。)
と書かれています。
(なんだろう。)
疑問に思ったらすぐにネットで検索して調べられる便利な世の中です。すぐに分かりました。
これは紙の専門商社である竹尾の見本なのです。
数十年前、おママが革工芸の延長線上で装丁の勉強をしている頃に、竹尾の店舗で手に入れたミニサンプルだと思います。
昔から素敵な紙が大好きだったおママ。そういえば、私がまだ実家で暮らしていた頃、何度もおママの口から「竹尾」という名を耳にしました。
「竹尾のサンプルで色合わせをしてから、表紙の裏側に貼る紙を買う。」
そんな話だったと思います。
50代60代のおママはルリユール(ヨーロッパの伝統的な装丁技法)に取り組んで、とても精力的でした。
このミニサンプルは当時のおママの名残でもあります。
残念ながら、「ティエラ」という紙は今はもう販売されていないそうです。
そして、おママ自身もそんなことはすっかり記憶から消え去ってしまいました。
しかし、図らずも貼り絵の中でこのミニサンプルは蘇りました。(^O^)
(↓)こんな感じにまとめたいようです。
<おママの貼り絵制作動画>
2021年6月4日 16:46〜 糊付け編
おママは順調に糊付けをしていきます。「ティエラ(あずき)」の三角形2つは貼りながら場所と向きが微妙に変化しました。
オレンジ系の2ピースは予定とはだいぶ変わりましたが、画面に緊張感と躍動感が生まれたかも知れません。
動画の最後で一応「出来上がり」になったのですが、例によって例の如く、おママは追加しました。(^◇^;)
右上が寂しく感じたようで,小さい四角に切った「ティエラ(あずき)」を付けて
最終的に、上下の向きが逆さになって完成しました。
ちょっと不思議な作品ですが、おママが大好きだった歌舞伎と、本の装丁の経験が凝縮された作品に思えてなりません。
おママの貼り絵を見てくださり,ありがとうございます。