アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

もう炊き出しはしないの

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(2021年7月18日 アルツハイマー認知症の診断から約14年5ヶ月)

 

台風16号

関東地方でも災害に見舞われた地域がありました。

御被害のあった方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

台風の実家

昨日は天気予報ばかり見ていました。

金曜日は実家へ行く日なので、前の晩から台風16号の動勢が気になりました。

台風が近づくと、頭痛持ちの私は体調がパッとしません。出掛けたくない気はやまやまですが、

(おママも元々頭痛持ちだったし、台風でおママの神経が妙に不穏になったりするのではないか…?)

そんな事を思いました。

 

心配するダンナやアズキに

「こんな時に不測の事態があるかも知れない」

と主張して、私は出かけました。

あ、因みに私の考える不測の事態は「おしも」関連です。

 

昨日の東京地方、午前中は雨でしたが、風は強くありませんでした。

その間に台風と追い駆けっこする様に出掛け、実家に着いたら30分後に暴風雨が始まりました。そして、すっかり収まった夜に実家を出たから、私はほとんど影響を受けずにすみました。

 

おママはというと、私が拍子抜けするほど平穏でしたわ。

ご機嫌で食欲はガッツリありましたし、私が昼食の片付けをしている間に自ら貼り絵に取り組むほど意欲もありました。

「なぁんだ…。オネコさん(私の姉)が冷凍のお弁当を買っておいてくれたのだから、私は来なくても二人で大丈夫だったわ。」

私は心配性ですね。(^◇^;)

 

肝心なのは炊き出し?

実家ではいつも大音量でテレビが点いています。それで、昨日のおママは台風情報をじっと見つめていました。

別に取り立てて反応もありません。

ただ見つめているだけです。

気象予報士やアナウンサーが「大型の台風16号が関東地方にかなり接近しています」と言っても、ぼんやり聞いているだけでした。

 

(おママが台風情報を聞いて反応しなくなったのはいつからだったかしら?)

 

以前は、と言ってもきっと10年くらい前だと思いますが、

その頃はまだジジも私も実家で仕事をしていました。

当時すでに認知症になっていたおママは、天気予報で台風情報を聞くと、とても敏感に反応していました。それが東京からずいぶん離れた地方であっても不穏になりました。

 

「ちょっと、あなた❗️おっきな台風が来るから、早く帰った方が良いわよ❗️」

「台風が上陸するっていうのよ。どうしよう。」

 

大概、仕事で込み入った書類を作成している最中に言われるから、私は随分閉口したものです。

 

時には、冷蔵庫に前日のご飯が残っているのに、一人で勝手にご飯を炊き始めてしまう事もありました。

仕事が一段落して休憩しようと2階に上がると、すでに炊飯器が美味しそうな湯気を立てて後の祭り。しかも普段は1合半とか2合なのに、3合も炊いちゃって…。

 

「え、どうしてこんなにご飯を炊いたの?」

 

「だって、台風が来るから、

炊ける時に炊かないとダメなんです❗️」

 

おママは強気で主張していました。(°_°)

 

台風が来るから、炊けるうちにご飯を炊いておく。

これは生活の知恵なのだと思います。

きっと、戦後間もない少女時代や、おママがジジと所帯を持った昭和30年代は、台風が来ると、すぐに停電していたのかも知れません。当時の電柱は木製だったし、設備的に今より脆弱だっのでしょう。

それとも「ご飯は炊けるうちに炊いておく」というのは戦時中から母親(私の祖母)の教えなのかしら。

 

漫然と台風情報を見ているおママの姿と、炊き上がるご飯の香りに、

つらつらとそんな事を思い出していました。

 

台風だけでなく地震の時も

(この話。ブログに書いたかな…。)

私がブログを始めたのは約4年9ヶ月前です。過去記事を検索して探してみましたが、「台風」ではヒットしませんでした。

 

しかし、東日本大震災の思い出を書いた記事にありました。

 

2011年3月11日、

大きな揺れを体験したのに、おママはすぐにそれを忘れてしまいました。しかし、テレビの画面に繰り返し映し出される非常事態に、おママも只事ではないと感じたのでしょう。すかさず炊飯器でご飯を炊き始めました。

 

ジジによると、
「災害の時は炊ける時に炊くんだ。炊き出しだ!

おママがそう言って炊いたんだよ。3合も…。」


  しかし、炊き上がると、ご飯を混ぜっかえしながら、おママは言ったのです。
「どうしていつもよりたくさん炊いたのかしら?」
おママったら…。(笑)

harienikki.hatenablog.com

 

テレビで災害情報を繰り返し見ても、今のおママは無反応です。

それは仕方のない事です。10年前とは記憶力、認識力も比べ物にはなりません。現在は言葉も理解できない状態なのですから。

不思議なことに、私にはそれが悲しいとか寂しいとかいう感覚はありません。

今となっては、災害情報を見て不穏になられるより良いのではないか。

ぽやんと画面を見つめている穏やかなおママの姿に、私はホッとしております。(^◇^;)

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昭和レトロな炊飯器って、こんな感じだったかしら?(^O^)





本日アップの貼り絵

台風の目のように見えるので、選んでみました。(^O^)

この台風の目は最近何回か登場しているおママ秘蔵のマーブルペーパーです。

7月12日におママは2種類のマーブルペーパーを裁断しました。これはその一つです。

(↓)裁断すると言ってもマーブル模様の流れを意識してハサミを入れるので直線には切れません。おママの気分次第でハサミが動いていきました。

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何度見ても迫力です。

(↓)だいぶ細分化されました。

そして,ちょうど台風の目のを切り始めているところです。

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youtu.be

<貼り絵制作動画>

2021年7月12日 14:57〜(2分11秒) カット編

おママは模様の流れを見極めながら切っていきます。しかし、途中で1番薄い黄色の部分を余白と思って切り抜こうと試みました。切っていくうちに、おママは「自分が何を切っているのか?」少々混乱しているようにも思えました。

 

そして私がセットした「お題パック」はこちらです。(↓)

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7月中は「お題パック」があれば、まだおママ一人でも制作できていました。

 

おママがどれとどれを使ったのか。

今、改めて見返すと、おママもかなり考えながら取り組んだと思います。

 

使用した他の紙です(↓)

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*「お題方式の貼り絵」と「お題パック 」について

一昨年の夏ぐらいから、おママは貼り絵に使う紙を自分で1から探して選ぶ事が難しくなってきました。それで、あらかじめ私が「お題」と称して何種類かの紙を用意することが多くなりました。その他に組み合わせする紙片をおママに選んでもらってから、切り貼りを楽しんでもらうようになりました。私はこれを「お題方式の貼り絵」と呼んでいます。

 私が実家に行かない時でもおママが貼り絵に取り組みやすいように、「お題」と台紙にするハガキをチャック付きのビニール袋に入れておく。これが「お題パック」です。

 

関連作品です(↓)

harienikki.hatenablog.com

harienikki.hatenablog.com

 

 

 

おママの貼り絵を見おてくださり、有り難うございます。