(2021年7月22日 アルツハイマー型認知症の診断から約14年5ヶ月)
*叱咤、叱咤、叱咤❗️
前記事はジジとおママと三人で駅前の眼科に行ったお話でした。(↓)今回はその帰り道でおママが言い放った一言についてです。
ジジはシルバーカーで身体を支えなければ外を歩くことができません。
今回に限らずいつもなのですが、おママはどうしてもジジがシルバーカーを使う必要性が理解できないようです。
そんなおママの言動にはおママなりの思いがあるのでしょう。おママの台詞の後のカッコ書きは、私が想像するおママの心境です。
「そんなではダメよ。しっかり、しなさい。」
(ヨボヨボフラフラしながらではなく、しっかり押した姿でいてほしい❗️)
「ほら、こういうふうに。」
(しっかり押すのよ。私が手伝ってあげるから❗️)
ジジが掴んでいるシルバーカーの持ち手を、おママは強引に掴んでスピードを上げて押そうとします。勿論ジジはその速度では歩けませんから、私が横で制止しました。
果ては…ジジからシルバーカーを取り上げようとします。
「そんなら、わたしがやるわよ。」
(あなたでは大変そうだから、私が代わりにそれを押してあげるから。)
勿論、私は毎度おママを説得して止めてもらいます。
傍から見たら、腰の曲がったジジがシルバーカーを押す様子は、誰の目にも辛そうに見えるでしょう。それはおママも同じだと思います。
おママにとって「たぶん家族であろう爺さん」が歩行もままならなくなっている。それが歯痒いし、気の毒だという思いがあるのです。
本来なら叱咤激励するところを、言語能力の衰えから、おママは激励の部分が抜け落ちてしまいます。だから、言われた方はとてもキツく感じます。
ジジからしたら、これは完璧に叱責でしかありません。
歩くのに草臥れてシルバーカーに座れば、「どうしてそんな!」と責められてしまうのですから…。
「はやく、あそこ(家)にいかないとダメなのに、どうして、あなたはいつもこうなんですか❗️」
「身体が動かないんだから、仕方ないでしょう。」
「お父さんは歩くのが大変なので、少し休ませてあげてください。」
ジジと私が言っても、おママにその言葉は音でしかなくて、意味は伝わりません。
「ほら、しっかりしないとダメよ。」
この堂々巡りを繰り返した果てにおママが吐き捨てた言葉はこれです。
「それなら、もう、私は先に行ってしまうわよ。
あなたはそれでいいんですね❗️」
ジジも私も暫し沈黙してしまいました。(°_°)
先に一人で行ったら、おママだって困るでしょう。まず、家に辿り着かないかも知れません。それが出来たとしても、鍵を開けられないから玄関の外でジジを待つことになります。
連れの二人が無言のまま反応しないので、おママは自分でもマズイ空気を読んだようです。数分は沈黙していましたから。
*それ、昔、言われた
「それなら、もう、私は先に行ってしまうわよ。あなたはそれでいいんですね❗️」
私はこのおママの言葉を聞いた時、苦い薬を飲むような、古い記憶が蘇ってきました。
これは脅し文句です。
幼い頃に何度もおママに言われました。(^◇^;)
私は小学校低学年くらいまで、家族で旅行やお出掛けをすると、必ず愚図っておママを困らせました。単純に思い通りにならなかったり、歩くのに疲れた事が原因です。我儘と思われても仕方ありませんでした。
しかし、小さな子供にとって、旅行やお出掛けはいつもと違う状況です。はしゃいだり緊張したりすると、私は本当に具合が悪くなったのです。頭が痛くなって気分が悪くなったり、お腹が痛くなるのです。でも、幼い私は自分でも上手く説明ができませんでした。だから愚図って動かなくなったり、トイレもない所で排泄を訴えたりしました。
しかし、これは多分に精神から来ることですから、本当に切羽詰まった状態でない場合もあります。(切羽詰まっている時もありましたわ。)だんだん、おママも私のそんな状態に慣れてくると、「またか!」という思いになったのでしょう。
「それなら、いいわよ。もう先に行ってしまうから。
チャーコはそれでいいのね❗️」
この言葉を言われる度に、私はベソをかきました。そして仏頂面で引きずられるようにようにおママに付いて行きました。
だって、置き去りにされたら、子供は家にも帰れず、生きていかれないもの。
あまり、こんな事は子供には言わない方がいいです。私はそう思います。自分では小さいアズキに言わないように気をつけましたわ。
懐かしいけど、私にとっては黒歴史です。
今の疲れて歩けないジジは、ちょうどあの頃の私なのかしら。
状況はちょっと違いますね。
昔だって今だって、先に言ってしまったら、おママもかなり困った事態になるはずです。昔はそれを承知の上で、あえて言った脅し文句でしょう。
でも、今のおママはそんな事は分かりません。
そして、語彙を失いはじめて、ほとんど感情表現もままならなくなったのに、
それでも、おママの口から昔の脅し文句が出てきたなんて❗️
私は感動というより、戦慄を覚えましたわ。(^◇^;)
*本日アップの貼り絵
制作した張本人のおママには、全くその意図はなかったと思います。
でも、私には家路につく小さな女の子のように見えました。
今日のテーマや私の黒歴史にイメージが合うかなと思って選んでみました。
「お題パック」を使って、おママが一人で取り組んだ作品です。
(↑)前記事でアップした貼り絵に使われた写真の残りを入れてみました。
*「お題方式の貼り絵」と「お題パック 」について
一昨年の夏ぐらいから、おママは貼り絵に使う紙を自分で1から探して選ぶ事が難しくなってきました。それで、あらかじめ私が「お題」と称して何種類かの紙を用意することが多くなりました。その他に組み合わせする紙片をおママに選んでもらってから、切り貼りを楽しんでもらうようになりました。私はこれを「お題方式の貼り絵」と呼んでいます。
私が実家に行かない時でもおママが貼り絵に取り組みやすいように、「お題」と台紙にするハガキをチャック付きのビニール袋に入れておく。これが「お題パック」です。
使った主な紙片はこちらです(↓)
恐らく雑誌の切り抜きだと思います。(↑)
おママが昔購入したマーブルペーパー(↑)
おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。