アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

疲れたを忘れる

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(2021年10月1日 アルツハイマー認知症の診断から約14年8ヶ月)

 

ある意味羨ましい

おママを見ていると不思議になります。

普通の高齢者でも暑い寒いの感覚は鈍くなりますが、おママの場合はそれ以外でも感じた事を忘れるのです。

例を挙げれば疲労感です。

貼り絵制作に集中して精も根も尽き果てる。かかりつけ医に行ってクタクタになる。

それはおママの偽らざる事実だし、私から見ても疲れている筈だと思います。

「今はもういいの」「今日、私はなんだかダメなの」

おママの口から「疲れた」という単語はほとんでないのですが、こんな形で疲労感を口にします。

しかし、5分から10分ほどソファーで目を瞑って休んだだけで、その「疲れた」感覚がリセットされてしまいます。

そもそも疲れた原因が記憶から失くなるので、「疲れた」感覚も消滅するのでしょう。

おママは夜間睡眠はしっかり摂れているので、昼間の倦怠感や疲労感を忘れても、健康上問題がないと思います。

そう思うと、おママが少々羨ましいです。

 

「疲れを知らない」ではなく「疲れを忘れる」おママ。

 

でも、やはり、これは良い事ではありませんね。

 

限度を超える

おママは今のところ徘徊はしていません。

でも、時々一人でも外に出たいと思うようですから、油断はできないと思います。

 

もし、おママが徘徊をしたらどうなるでしょうか。

しばらく歩いて疲れても、ちょっと公園のベンチに座って小さいお子さんの遊ぶ姿を見ているうちに疲れを忘れてしまうでしょう。そして今はもうない子供時代に住んでいた家を求めてまた歩くに違いない。

時間の認識も感覚も無くなっているから、どこまでも歩いてしまいます。そして、日が暮れて夜になって途方に暮れる姿が目に浮かぶようです。

だから、徘徊する高齢者は、思いもかけないほど遠くで発見されるのですね。

 

「疲れる」感覚がリセットされなければ、人はそう遠くまでは歩けないのではないかと思います。

今、疲れがとれなくて、私はおママを少し羨ましがっています。

でもですよ。

近い将来、この「疲れる」を感じなくなったら、それこそヤバイ❗️

疲れを身に滲みているうちが、花なのかもしれませんわ。(^○^)

 

本日アップの貼り絵

この貼り絵はおママが疲れを忘れたからこそ仕上がった作品です。

2021年10月1日金曜日

おママはこの日3枚の貼り絵を制作しました。本日アップの貼り絵は3作目に当たります。因みに1作目と2作目は(↓)こちらの記事でご紹介しました。

harienikki.hatenablog.com

 

おママは3作目に取り掛かり、紙の入った缶から赤い鹿子模様の千代紙を選びました。

これを無計画にハガキ一面にベタっと貼ろうとしましたが…。

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この鹿子模様の千代紙は少し厚手で柔らかく、縮緬ほどではありませんが少し凸凹した感触があります。

そのため、糊をつけて貼ろうとすると、紙は水を含んで伸縮性が増しまして貼りにくいのです。

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<貼り絵制作動画①>

2021年10月1日 15:55〜(1分39秒)

おママは大きな鹿子模様の和紙をハガキ一面に貼ろうと苦戦中です。

 

ようやく鹿子模様を貼り付け終わって、おママはかなり疲れたようです。

それでも合わせる紙を見つけようとしました。

沢山の紙の中からおママが選んだのは(↓)こちらです。

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一生懸命に切り抜いて形を整えましたが、この段階でおママの疲労は限界に達したようです。仕方ありません。だって、既に枚完成させているのですから。

「今はやらない。」

そうしてベタ貼りしたハガキと切り抜いた千代紙を重ねて缶に閉まってしまいました。

おママさん、お気持ちは分かりますわ。

無理はしなくていいです。

 

そこで私は考えました。

この時,おママが興味を示した紙片と赤い鹿子を貼ったハガキを「お題パック」にしたら、私のいない日曜日に一人でできるかも知れません。

(↓)それでセットしたのがこのお題パックです。

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*「お題方式の貼り絵」と「お題パック 」について

一昨年の夏ぐらいから、おママは貼り絵に使う紙を自分で1から探して選ぶ事が難しくなってきました。それで、あらかじめ私が「お題」と称して何種類かの紙を用意することが多くなりました。その他に組み合わせする紙片をおママに選んでもらってから、切り貼りを楽しんでもらうようになりました。私はこれを「お題方式の貼り絵」と呼んでいます。

 私が実家に行かない時でもおママが貼り絵に取り組みやすいように、「お題」と台紙にするハガキをチャック付きのビニール袋に入れておく。これが「お題パック」です。

 

私が「お題パック」の写真を撮影していると、おママは興味を持ったのか近づいてきました。そして,私がハガキと紙片をチャック付きのビニール袋に入れたら急にそれを手にしました。

「これはなに?」

テーブルに持っていき、さっと中身を出しているではありませんか。

おママさん…、「今はやらない」って言ったのは、たった6分前ですよ。

もう、お疲れは取れたんですか?

いえ、もう、お忘れなんですね。(^◇^;)

 

(↓)嬉々として作業を再開しています。

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(↓)まるでバックみたいですね。左右上角の飾りは決まりました。そして、下角はグリーン系のピースを付けようと思いつきました。

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<貼り絵制作動画②>

2021年10月1日 17:06〜(4分27秒)

同じ形に切る。これは認知症のおママにはとても難しい事です。

模様の入り方、形、向き、おママはじっくりと見比べながらハサミを入れていきます。

今、動画を見返してみると、息を詰めて考えているおママの様子に胸が熱くなりました。

(背景のテレビの音がわりと大きいです。m(_ _)m)

赤い鹿子模様は義母クレバァの遺品から出てきた千代紙です。

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おママの貼り絵を見て下さり,ありがとうございます。