(2021年10月22日 アルツハイマー型認知症の診断から約14年8ヶ月)
今年も残すところあと5日。ジタバタしてもあと5日なのです。
世の中は節操がないので、クリスマス一色の街は今日から年の瀬商戦に入るのでしょう。
この時期、やるべき事は大掃除ではなく、胸に手を当てて1年を振り返る事だと思います。(←単なる私の持論です。掃除は大嫌いですから。)
それで、今回は2021年のあれこれを振り返ってみようと思います。
*おママの2021年
今年の序盤から春はあまり感じませんでしたが、おママは夏頃からアルツハイマー型認知症の症状がかなり進んだように思います。
<その1>
言葉に対する理解力がさらに衰退した事です。
昨年までも語彙が少なくなっているのは十分承知していまいしたが、割と生活に密着した動詞は理解できていました。
例えば「食べる」です。
「ご飯を食べましょう」と声を掛けて通じない時があります。分かる時もあるのですが、実際に料理を目の前にすると合点がいって食べ始めます。
実態のない言葉だけでは理解が難しくなっているだと思います。
誰かに「〇〇をしましょう」と言われて、おママが肯定の場合は「はい」「そうなの?」と返事がきます。逆に否定の時は「いいわ」「いいの」「いらない」「もうダメ」です。
動詞の語彙が減ってしまっても、これらの返答ならそれなりに代用できてしまいます。
ただ、問題は、おママが自分の意思を人に伝えたい時です。一番身近なジジでも
「おママが何を言おうとしているのか分からない事が増えた」
と言っているくらいです。きっと、おママも伝わらないジレンマを抱えているのでしょう。すぐに記憶がなくなるので、このジレンマを長く抱え込まないのが、せめてもの救いだと思います。
そういえば(↓)こんな風に冴えている時もありました。
<その2>
排泄の問題です。
現在、おママは24時間ずっとリハパンツ(紙パンツ)を履いています。そのため、間に合わなくて粗相があっても、物理的には受け止められる状態です。
それでも、まだおママは尿意や便意を自分で感じて席を立つのですが、行き先があやふやな時があります。
もちろん、尿や便を示す慣用語を理解することは出来ませんから、私がどちらかを聞くときは
「チャーーーですか?ウーーンですか?」
とジェスチャーで問います。おママはかろうじて「チャーー」などと答えてくれますが、全くどちらか分からないこともあるようです。
排泄の後の紙の始末も問題です。
一応、まだ汚れはトイレットペーパーで拭くという意識はありますが、あまり拭けてはいないようです。そして、汚れのついた紙を便器の中に入れて流すことが理解できずにトイレ内のゴミ箱に捨ててしまいます。今に紙で拭くことさえわからなくなるのでしょうか。
最近はおママも羞恥心がなくなってきたのか、私がトイレの中まで同行しても嫌がならなくなりました。もしかしたら羞恥心やプライドよりも「分からない」不安感の方が大きくなったのかも知れません。私が一緒の時はお尻を拭いてあげることも増えました。
<その3>
視力と視野の問題です。
紙を細かく切ることもできるのですから、視力はまだあると思います。しかし、認知症の視野狭窄は結構進んでいると感じます。目の前のテーブルの上に載っていて、しかもおママの手元にあるのに、ハサミや糊の蓋が見えない事があります。おママがどのように外界を見ているのか?私も知りたいです。
*現在のおママの貼り絵
言語で意思の伝達が難しくなってきた現状では「ハサミ」「切る」「糊」「貼る」という単語は、それだけでは通じなくなっています。しかし、現物を見ると理解できるのです。
例えば花の模様を切り抜く場合、予め、おママにハサミを持ってもらい、
「ここを切ってみましょう」
と私がいうと、「これね…」と切り抜く事ができます。
これまで、私は「お題方式」でおママに貼り絵を勧めてきました。しかし、現在はハサミを使う作業をしてもらうために、メインピースとなり得る紙を私からおママに提示して切り抜いてもらっています。
私の勧めで切り抜いたメインピースが白いハガキの画面上に載ると、おママの制作意欲がぐんと上がります。それに何かを組み合わせようとする時、おママはとても楽しそうです。ピースの向きを変えたり、形を修正したり、あれこれ工夫をする作業はおママにとって、とても良い時間なのではないかと考えています。
おママが貼り絵が出来なくなる時…。
近い将来、それは必ず来ると思います。
おママがハサミや紙を前にして、切ったり貼ったり工夫したりする事を苦痛に感じ始めたら、
その時はもうやらない方がいいと思っています。
*このブログの1年
5周年を迎えて、今後も継続していきたいです。
今はおママが最近制作した貼り絵を中心にしています。
でも、もし、おママが新しく貼り絵を制作できなくなったら、膨大な過去の作品の中から選んでご紹介していこうと思います。
今の、認知症が進んでいるおママの作品はとても魅力的です。
でも、もっとおママ自身の理性が働いている時の貼り絵も、繊細でシンメトリーがバッチリ決まった実に綺麗な作品が多いです。乞うご期待❗️
おママは制作中に写真や動画を撮られても、あまり気になりません。もしかしたら視野狭窄があるせいでしょうか。全く気がついていません。
それで、ついつい私はたくさん写真を撮ってしまいます。枚数が多くて、ブログに何枚も写真を載せたいけど、データーが重くなるのは困ります。
それで、最近は一枚の画像の中に複数枚の写真をレイアウトして文字入れをするようになりました。自分では見易くなったと思うのですが、来年も更に工夫をしていきたいです。
今年も頻繁にYouTubeで動画をアップしてブログに掲載しています。
これはブログを見てくいださった方で、「ご興味があれば見てください」というものなので全く再生回数は気にしておりません。
しかし、恐ろしい事があったのです。
なんと800回以上の再生回数を誇ってしまった動画があります。
実は「実証実験」とタイトルをつけた短い動画です。
ブログとは関係なくYouTubeを見ていた方が、タイトルに釣られて「なんだなんだ?」と再生してくださったのでしょう。ブログ記事とは合致した内容なのですが、この動画だけですと、再生してみて「は?何これ?」と思いますよね。
不快に思った方がいたら、本当に申し訳ないです。
5年間のブログを振り返って、年々、文章が長くなってしまいました。この記事もかなり長文です。できれば1000文字くらいで、読みやすく分かりやすい文章を書いていきたいものです。これは今後の課題にしていきたいです。
来年もどうぞ宜しくお願いいたします。
1年を振り返るにあたり、『見返り美人図』を模写してみました。
着物の柄が違うので模写にもなっていませんが、描いてみると形を取るのが難しかったです。本物の見返り美人さんは思いの外スラっと足も長いようです。
年末の忙しい時に、大掃除も年賀状もやらずに『見返り美人図』を描いているのですから、私も大概ですわ。(^◇^;)
*本日アップの貼り絵
「お題パック」を使っておママ一人で取り組んだ作品です。
*「お題方式の貼り絵」と「お題パック 」について
一昨年の夏ぐらいから、おママは貼り絵に使う紙を自分で1から探して選ぶ事が難しくなってきました。それで、あらかじめ私が「お題」と称して何種類かの紙を用意することが多くなりました。その他に組み合わせする紙片をおママに選んでもらってから、切り貼りを楽しんでもらうようになりました。私はこれを「お題方式の貼り絵」と呼んでいます。
私が実家に行かない時でもおママが貼り絵に取り組みやすいように、「お題」と台紙にするハガキをチャック付きのビニール袋に入れておく。これが「お題パック」です。
(↓)お題パックはこちらです。
おママがずっと好んで使ってきた紅茶のティーパックの袋です。今現在、この紅茶の個別包装袋の形態は材質が変わってしまったようです。
おママは形を整えてたくさん保管していました。その名残を「お題パック」に入れてみました。
おママが以前よくやったように、今回は窓枠のように切って使っています。
覚えていたのではなく、この時におママがそうしたかったからやったのだと思いますが、私は嬉しかったし、感慨深かったです。
波模様や寄せ木細工風の千代紙も効果的だと思います。
10月はおママは冴えている事が多く、「お題パック」が活用できていました。
おママの貼り絵を見て下さり,ありがとうございます。