(2022年1月28日 アルツハイマー型認知症の診断から約14年11ヶ月)
*車窓を眺めながら
4月1日金曜日。
前記事で書いた桜の墓参とランチの後、ジジとおママと私は従姉妹のKちゃんの自動車で実家へ向かっておりました。
温かい自動車の中で適度にゆられて、私はうとうとしていました。運転してくれているKちゃんには本当に申し訳ないのですが、睡魔には全く勝てません。
私の意識がふわりと夢見心地の時に、隣から鼻歌が聞こえたのです。
(あゝ、おママがご機嫌で歌っている。)
しかし、私はあまり聞いたことがない曲でした。即興でメロディーを口ずさんでいるようにも思ったのですが、フレーズが良い感じに繰り返されていて、おママ作曲とは思えません。
(なんだろうか?)
おママの鼻歌を聞きながら考えているうちに、眠気が増すのではなく、すっかり冷めてしまいました。
同乗している叔母も考えていました。
「昔、オトモ(おママの女学校時代の愛称)はあまり歌わなかったんだけど…。」
叔母とおママは女学校時代の友人で、その付き合いは実に12歳の頃まで遡れます。
「そうなんですか。最近は毎日、起きている間はよく鼻歌を歌っているんですよ。」
「不思議ね…、こんなに歌うようになるなんて。」
おママは車窓を眺めながら鼻歌続けていました。とてもすっきりとした表情でご機嫌のようです。叔母は暫くそれに聞き入り、そしてハタと思い出してくれたのです。
「『浜千鳥』だわ。そうそう、『浜千鳥』よ。」
そして叔母さんも一緒に口づさんでくれました。
『浜千鳥』の旋律は、もの悲しく美しいです。
(↑)の「歌ネット」で改めて聞いてみました。歌詞も素敵です。昔の歌って日本語の言葉の美しさを感じます。
作詞 鹿島鳴秋
作曲 弘田龍太郎(他の代表作は『鯉のぼり』『叱られて』『雀の学校』)
1919年に発表された曲です。
おママはデイサービスで皆さんと一緒に聴いたり歌っているのかしら。
しかし、記憶が10秒も保持できないおママですから、よほど古い記憶に刻まれていないかぎり、おママはこのメロディを口ずさむことはできないと思います。子供の頃によく歌っていたのかも知れませんね。
*鼻歌も侮れない
二人のハミングを聞きながら、運転中のKちゃんが言いました。
「こうやって、鼻歌を歌う人は長生きできるよ〜。」
Kちゃんは小規模多機能型居宅介護サービスの施設に勤めているバリバリの介護士です。今まで接してきた利用者さんの中にも鼻歌をよく歌っている方がいたそうです。そして皆さん押し並べて御長寿とのこと。
「ふんふんと軽く口ずさんでいるだけでも、声を出しているから心肺機能は知らず知らずに鍛えられているのよね。」
なるほど❗️(^○^)
それに歌を歌うって健康に良いそうです。
◎ストレス発散効果
歌うことでストレスが発散され、自律神経や血圧も安定してくる。
◎誤嚥防止
歌う時は自然と口の周りが動きます。その周辺の筋肉が鍛えられるので、誤嚥防止になる。
◎脳の活性化
歌うことは音程やリズムをとるので、脳に刺激を与える。
◎口腔環境が整う
口を動かすと唾液が多く分泌されるから。
(↓)こちらのサイトを参考にしました。
おママが毎日鼻歌を歌っているのは、歌っていると心地よいからだと思います。
今のおママは言葉も会話も何もかも、理解できないことばかりでしょう。きっと不安やストレスも多いと思います。
おママは無意識に鼻歌をいながら、心のバランスを保ち、身体も良い状態であろうとしているのかも知れません。
おママさん、どんどん、鼻歌を歌ってね。v(^○^)v
*本日アップの貼り絵
2022年1月28日の作品です。
日が短くなる晩秋から冬場はイルミネーションのシーズンです。毎年、全国各地で夢のように素敵なイルミネーションが開催されています。でも、このところコロナ禍で集客は大変だったかも知れません。
私も広告チラシは手にするのですが、行きたくてもなかなか難しかったです。
総じてイルミネーションイベントの広告チラシは綺麗です。おママも見ると必ず喜びます。
今年入手したのはこちらです。(↓)
『湘南の宝石』❗️
ネーミングが既に輝いています。チラシもご覧の通りのキラキラ。
案の定、おママもこれには興奮気味でした。
「さて、今日はこの綺麗な紙で遊びましょうか。」
おママは勿体無がったのですが、
「何枚もあるから、良いんですよ」
と言ったら、ハサミを手にしました。
とりあえず、光の連なったラインから切っていきました。
3ピースほど切り取ったところで、おママに一緒に使う紙を選んでもらいました。
紙の入ったクリアファイルからおママが選んだのは紗綾模様の千代紙です。これもおママのお気に入りです。(義母クレバァの遺品から出てきた千代紙です。)
この千代紙を手にした途端、おママはイルミネーションのチラシの事など、お忘れになったかのように夢中になりました。
(↓)ペーパーナイフで細長い帯状に切っています。
<おママの貼り絵制作動画①>
2022年1月28日 14:22〜(3分08秒)
模様というのは基本となる図案や図形の連続によって構成されています。その連続が規則的であったりランダムだったりします。
おママはかなり認知症の症状が進んでいますが、この模様の連続性をある程度意識できているようです。
それで、おママが見れば必ず手にしてしまう紗綾模様はどうでしょう。かっちりとした規則性のある連続模様です。
おママは紗綾文様を構成する模様の1単位をじっくり見て考えながらハサミを入れております。
(↓)ほぼ正方形に近い分割された紗綾模様は、更に3角形になりました。
<おママの貼り絵制作動画②>
2022年1月28日 14:36〜(1分19秒)
おママは三角形にした紗綾模様をいかに配置するか苦心しております。
画面を指差しながら、
マ「なんか、これの…、これと、ちっさいの…。」
空いている白い余白に小さい三角形を追加したいと思ったようです。
チ「必要なら自分で作って、自分で小さく切って。」
おママは紗綾模様の欠片を手にしながら言いました。
マ「これのね、こうしようか?」
思い付いて切ったは良いけれど、既におママは何処に貼るのかお忘れです。
マ「どこだっけ?」
チ「どこにするって言ってたっけ?」(^○^)
この時は「どこ」かをすぐに思い出せた(というより再び思い付いて)無事に構成が終わりました。
あとは糊付けです。
今回はほぼ構成通りに貼ることができました。
このチラシを使って、おママはこの他4枚制作しています。どれも楽しい作品なので、追々ご紹介していきたいと思います。(^O^)/
(↓)前シーズンもイルミネーションのチラシで貼り絵をしました。
おママの貼り絵を見て下さり,ありがとうございます。