アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

記憶についてNo. 49 「私は女だから」

(2022年3月28日 アルツハイマー認知症の診断から約15年1ヶ月)

 

おママの独り語り

2022年5月23日月曜日

この日のおママはお喋りでした。私が実家へ着いたのは昼少し前でした。

その少し前に、おママはしきりとジジに昔の思い出話をしていたそうです。

「なんだかんだとよく喋るんだ。今日は元気なんだね。」

昔話と言っても、友人など固有名詞が出てくることはまずありません。

ほぼ「こ、そ、あ、ど」で構成された話なのです。

そのため、誰と何処へ行った時なのかも、私には理解できません。

 

しかし、不祥の娘チャーコも認知症介護に必要な程度の演技力はありますから、にこやかにおママに合わせる事は出来るのです。

「よっこいしょって、ああやってみたんだけど、うまくいかなくて笑ったの。」

「へぇ、みなさん楽しそうでしたね。」

「そうなのよ、それで他の人も「エイ❗️」ってやったのを見たのよ。」

「それで出来たんですか?」

しかし、私はその答えを得られませんでした。

おママの思い出話はあまりにも断片的で、直ぐに他の場面に切り替わってしまいます。

「そうしたらね、あっちこっち行って、あそこのおいしそうだわねってなって」

「良かったですね。美味しかったですか?」

するとおママは両手で風景を再現するように

「そうね、とてもきれいで、よくみたいのよ。それでみんなでこれを(両手で双眼鏡を持つようなジェスチャーを交えながら)使ってみたのよ。」

 

あれ?話がまた飛んだ?(^◇^;)

 

おママの昔話は理解不能です。でも、これはきっと、独身時代に友人と出かけた旅行か、銀行時代に参加した社員旅行の思い出なのだと思います。

楽しそうなおママ。青春時代はそれなりに充実していたのですね。(^O^)

 

突然ジェンダー問題が…

おママの独演会はまだ続きました。

「それでね、行った先で、見たのよ。すごいわね,大変だわねって話していたの。でも、わぁーとかひゃーとか言って、みんな笑っていてね、」

「楽しそうですね。何をやっていたんですか?」

「そうなのよ、やってみたいなとおもったの。」

「芙貴子さんもなさったんですか?」

「でもね、やっているのは男の人ばかりで、ちょっとね、私は女だから、どうしようかと、女の人はみんな見て、わーとかきゃーとかだけなのよ…。」

もしかしたら,社員旅行でどこか高原の方に行ったら、楽しそうな物(今風に言うところのアスレチックかアトラクション)があったのだと思います。

 

おママはお転婆さんだったから、本当はやりたかったのね。

参加したら運動神経の悪い男どもより格好良く出来るのにね。

認知症になって既に15年、88歳のおママさんよ。

今、思い出す旅行の一コマに

「私は女だから,本当はやりたかったけど、女だから仕方ない」

と諦めた事が一瞬蘇るなんて❗️なんとも感慨深いです。

 

おママは昭和一桁生まれで、戦後復興と高度成長期にその人生のピークがピッタリ嵌まった世代です。それでも「女だから」と我慢する事が多い時代だったのでしょう。

現在でもまだまだ社会には「男だから」「女だから」という概念がしっかり残っています。

でも、女性の挑戦できる事は、おママの若い頃よりずっと増えたと思います。

若いおママさんが今を謳歌していたら、もっと楽しかったろうと思います。

「女だから」

これからの若い女性が、そんな言葉で自分を規制しないでいい社会が、どんどん広がっていきますように❗️(^O^)

 

      「男だから」「女だから」にとらわれたくないですね。

 

本日アップの貼り絵

おママは現在でも、赤系を「女の色」青系を「男の色」と感じるようです。

これは長い歴史をかけて遺伝子レベルで植え付けられた固定概念なんでしょうか?

本来、色に性差はないと私は思うんですがね…。

でも、おママの気分からすると、今日のテーマに合うかなと思って選んでみました。

 

「お題方式の貼り絵」です。

*「お題方式の貼り絵」と「お題パック 」について

一昨年の夏ぐらいから、おママは貼り絵に使う紙を自分で1から探して選ぶ事が難しくなってきました。それで、あらかじめ私が「お題」と称して何種類かの紙を用意することが多くなりました。その他に組み合わせする紙片をおママに選んでもらってから、切り貼りを楽しんでもらうようになりました。私はこれを「お題方式の貼り絵」と呼んでいます。

 私が実家に行かない時でもおママが貼り絵に取り組みやすいように、「お題」と台紙にするハガキをチャック付きのビニール袋に入れておく。これが「お題パック」です。

 

この貼り絵の「お題」は(↓)この貼り絵を制作するときにたくさん切った三角形です。

harienikki.hatenablog.com

 

(↓)沢山ありますね。(^○^)

 

(↓)おママは、初めはこんな風にド派手な事を考えていました。これはこれで良いかも知れません。(^。^)

黄色の古風な格子模様は私の義母クレバァの遺品の中にあった千代紙です。

三角形も格子模様ですから、おママは格子の幅が合うかどうか確認中です。

合いませんね…。

youtu.be

<おママの貼り絵制作動画>

2022年3月28日 14:56〜(31秒)

白いハガキの上に青と赤に直角二等辺三角形をどのように配置しましょうか。

おママが考えたのはとてもシンプルな合わせ方。

でも,うまい具合に白い格子模様に線が直角に合わさるではありませんか❗️

おママはそこにこだわりがありました。(^O^)

 

そして動画終了後にサッサと糊付け終了。

しかし、その作業中に中央の2ピースが少し左上方向に斜めになってしまいました。

(^◇^;)

 

円つなぎ模様をサイドに配置するようです。

 

(↓)結局、黄色の格子模様はほんの少しのアクセントになりました。

 

おママは中央の2ピースが作り出す正方形が水平に配置出来なかった事を悔やんでいました。糊付け中の痛恨のミステイクですね。

でも、改めてこの作品を見返すと、その正方形の傾きが左上方向へのリズムを醸していて、むしろ良かったように思いました。

www.ozuwashi.net

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。