(2022年4月1日 アルツハイマー型認知症の診断から約15年2ヶ月)
*何気なく褒める
おママは人を褒めるという習性があります。
他人の良い所を見つけて褒めるという事は、美徳でもあります。
しかし、私はちょっと複雑な気分です。
これは単に社交辞令、もしくは何も言うことが思いつかないから「とりあえず褒めとこう」的なノリなのだと思います。
それでも、何かにつけて人を腐すよりは気分が良いと思います。
例えば、
ケアマネージャーさんが来ると、必ず彼女の髪の毛の色や笑顔を褒めます。
「あなた、ここがとてもいいわね。ほんとうににいいわぁ。」
これは来訪者に限ったことではなく、商店街でティシュやチラシを配っているお姉さんやお兄さんに対しても、スーパーではレジ打ちの女性の制服も、しっかり褒める対象になっています。
「あなた、ここがとてもいいわね。ほんとうににいいわぁ。」
判で押したように同じ文言なので、やはり習性に近いのかも知れません。
勿論、私も綺麗な色のセーターやTシャツを着ていたら猛烈に褒めてくれます。
「あなた、ここがとてもいいわね。ほんとうににいいわぁ。」
褒める点が目に付かないと、私の贅肉がたっぷりついた肩や背中をぽんぽん叩きながら、
「あなた、ほんとうに、おおきくていいわね」
と肥満ですら誉めてくれます。
「ありがとうございます、」
と一応お礼は言いますが、私の内心は穏やかではなりません。
そんなこと、余計なお世話でしょ❗️
例えば、先月のことでしたが、
夕食を食べている時、おママはジジを見てにっこり微笑みました。
「あなたのね。ここが…」
おママは自分の鼻を右手の人差し指でなぞりながら、
「ここがとてもいいわね。」
ジジは慣れっこなので、あっさりとした笑顔で「そう?ありがとう」と対応していました。
微笑ましい老夫婦の会話です。長年飽きるほど見た夫の顔も、認知症になれば毎日が新鮮に映るのでしょう。ある意味、幸せだと思います。(^O^)v
*褒める子育ては大事
この様に書くと、誤解される方も多いでしょう。
「きっと、おママさんは娘さん達をいっぱい褒めて育てたのね。」
いえ、全く逆です。
こう言っては何ですが、私は認知症になる前のおママから殆ど褒められた事はありません。
高度成長期の子育ては褒めるより厳しかったのです。むしろ悪い点を指摘し理解させて矯正するという、一般的に褒めない教育てでした。
昭和一桁のおママもその時代の人ですから、基本的に褒めませんでした。
私が絵を見せても、ちょっと頑張ってテストで85点を取っても(小学生の時は勉強ができなかったので画期的な点数だったのに)褒めてくれないばかりか、できなかった部分を叱責されたのであります。
もし、おママが褒めてくれる母親だったら、私の自己肯定感はもっと高かったかも知れません。今もそう思います。
その後、昭和晩期になって、世の中は「褒めて伸ばす」子育てが推奨される様になりました。
オネコさんも子供が生まれる前は
「厳しく育てられたから、子供が生まれたら『いい子、いい子』してあげて、たくさん褒めてあげようと思う」
と言っておりましたし、私も極力「褒める子育て」を実践しようと努めてきました。
しかし、それでもです。
娘アズキが小学生の時、何かで私の対応が気に入らなかったのでしょう。
「もっと、ちゃんと❗️ほめろよ❗️
私は褒めて伸びる子なんだから❗️」
と私に向かって渾身で叫んでおりました。自分で「褒めて伸びる子なんだから褒めろよ」と言うのも、かなり斬新な言動ですよね。私は思わず笑って褒めてあげました。
彼女の少々ぶっ飛んだ言い分が面白かったからです。
ジジの鼻の形を褒めるおママを見ながら、私はそんな事を思い出していました。
今になって、太ってしまった私の身体を殊更に褒めてくれてもね…。ちっとも嬉しくないですよ。
私は子供の時に、アズキのように、
「もっと、ちゃんと❗️ほめろよ❗️
私は褒めて伸びる子なんだから❗️」
と、おママに叫べば良かったのでしょうか。でも、時代的に親にそんなこと言える感じではありませんでしたわ。
でも、確実なのは、子供でも大人でも高齢者でも、良いなぁ素敵だなぁと感じたら、絶対褒めた方がいいと思います。
今も、出来上がった貼り絵をジジに見せて、「良いのが出来たね、とても面白いよ」と褒められて、おママは満面の笑みを浮かべるのですから。
やはり、褒めるって大事なのですね。
私は、自分に一生懸命言い聞かせております。(^。^)
*本日アップの貼り絵
(↓)このお墓参りの日に制作した作品です。
ジジも私もグッタリ。当然おママも草臥れていたはずなのですが、おママは小さな紙片を貯めた箱を開けて、机の上で構成を楽しんでいました。
それで,私は台紙に使っているハガキを出して、おママの並べた通りにその上に載せてあげました。
(↓)とても楽しそうです。
<おママの貼り絵制作動画>構成編
2022年4月1日 16:37〜(1分34秒)
冒頭、おママはテレビの音楽に合わせて鼻歌を歌っています。
楽しそうに指で紙片を動かしながら構成をしています。中央部分は折り紙の一部でしょう。折ったそのまま使うのがオシャレだと思いました。
因みに背景の音声は、夕方再放送していた朝ドラ『純ちゃんの応援歌』だと思います。
今現在、この時間帯は、松嶋菜々子主演の『ひまわり』を放送中です。(^O^)
私はこの朝ドラが大好きです。
(↓)あっという間にできてしまいました。
おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。