(2022年6月24日 アルツハイマー型認知症の診断から約15年4ヶ月)
*また眼科へ行った
10月17日月曜日。
ジジが目が痛痒いと言い出しました。
「昨夜くらいからだよ。」
確かに私が見てみても、右目が赤く目脂もたくさん出ていました。緩んで垂れた瞼が一段と重く腫れ下がっていたのです。
「眼医者に行きたい。」
と言い出したのがお昼過ぎ。あいにくの天気です。車椅子だから、乗ってるジジは傘をさせても、押して歩く私はずぶ濡れだわ。
「でも、雨だよ。」
「それなら明日行く。」
「明日はデイサービスだよ。」
「休んでも眼医者に行きたい。」
日頃,温厚で娘達に迷惑をかけまいと遠慮するジジがここまで言うなら、やはり行った方がいいのかも知れません。
折しも、雨は止み始めていました。降られたら濡れる覚悟で参りましょうか。幸いオネコさんが実家へ来て、おママと留守番をしてくれると言うので、思い切って出掛けました。
今度も車椅子で現れた私に、眼科の受付スタッフさんは
「今日はお父様なのですね」
と笑顔で迎えてくれました。
結果、ジジは「ものもらい」と結膜炎でした。瞼に塗る薬が1種類、目薬は2種類処方されました。
*眼薬の行方は?
目薬も塗り薬も良く効いたようです。
10月21日金曜日に、私が実家へ行ったら、ジジの目の腫れは殆ど治まって、痒みや痛みも無くなっていました。
ジジは真面目なので、デイサービスへも持って行き、ちゃんと日に4回の点眼を守っていましたから、その甲斐がありました。
その日の昼食後、ジジは目薬を入れようと思ったのですが見当たりません。引き出しやら机の下やらをガサガサ探しているのですが、
「どこへ行ったんだ❗️ない❗️」
と慌てているではありませんか。
「どこに入れていたの?」
「デイサービスのチャック付きの袋だよ。」
(↓)これです。
それはデイサービスとの連絡袋で、薬や連絡事項などを入れている袋です。
「前回目薬をさしたのは何時?」
「今朝だけど、その袋に目薬をしまってから、全く記憶にない。」
私はデイサービスへ持って行く入浴セットのバックや、シルバーカーの中、そして部屋のあちこちを見渡しましたが見つかりません。
ジジは突然おママに叫びました。
長い結婚生活の習慣で、今だにジジにとっては困った時の頼みの綱なのでしょう。
「おかあさん!
あのチャック付きの袋がどこへ行ったか知らない?」
「えーーー?なに、なに?」
私は呆れてしまいました。ジジったら,何を言ってんだろう。
記憶もない、言葉もよく解さない。おママは認知症末期なんですよ❗️
「そんなこと言ったって、おママに分かるわけないじゃん。」
私がボソッとジジに言った5秒後、背後に何やら気配を感じました。
「はい、これ。」
おママが例のチャック付き袋を差し出すではありませんか。
心なしか…、おママに後光が差しているように見えました。
おママさん、どこにあったんですか?
「探しているものが分かったんだね。ありがとう。」
「芙貴子さん、本当にありがとうございます。」
ジジと私が感謝の意を伝えている間に、おママは自分の偉業を忘れ果て、何が何だかわからなくなったようです。
「なにが?どうして?」
でも、悪い気はしないようです。はにかみながら微笑んでいました。
ジジと私の会話を理解して、しかも探し物を見つけてくれたなんて、
ほんの数秒だけでも、おママの頭の中の回路がピタッとつながったのかも知れません。
認知症歴15年で、脳の萎縮も大概なおママ。でも、分かる時は分かるのですね。
できれば、その回路が何時も繋がっていて欲しい。
それは、無理な願いとは知りながらも、そう思わずにはいられませんでした。
*本日アップの貼り絵
2022年6月24日の作品です。
回路が繋がるイメージに合うかしら。そう思いながら選んでみました。
この日の「お題」は東京国立科学博物館の特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」のパンフレットです。見開き右ページを使いました。
<おママの貼り絵制作動画①>
2022年6月24日 14:45〜(3分48秒)
おママは赤と緑のジュエリーに興味を持ったようです。おママなりにお話をしてくれますが、内容はよくわかりません。(^◇^;)
<おママの貼り絵制作動画②>
2022年6月24日 15:03〜(1分33秒)
おママはピースを動かしながら構成を考えていました。
結果的に、動画終了時のデザインはかなり変化してしまいました。
(↓)おママは糊付けが終了しても、さらに細かい聞く花菱文様を切って配置しています。
<おママの貼り絵制作動画③>
2022年6月24日 15:26〜(1分02秒)
おママは細かいピースを貼るのに一苦労していました。自分で決めた通りに貼るのも四苦八苦しています。
最後は指についた糊をピースに塗り付けていました。
マ「これのこれですか?大丈夫?」
チ「大丈夫じゃない?ダメだったらまた剥がして貼ればいいよ。」
マ「大丈夫?」
おママは小さなピースを不安げに画面に貼り付けました。上手く治りました。
マ「大丈夫❗️」
チ「いけた❗️イケましたね。」
そして完成しました。
同じパンフレットを使った関連作品です。(↓)
おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。