(2022年8月29日 アルツハイマー型認知症の診断から約15年6ヶ月)
*捨てられない人
私は時々、おママがかつて使っていた作業机、革工芸や製本の作品を入れた引き出しを開けてみます。
それは、おママが貼り絵に使えそうな材料を物色するためです。
昭和一桁世代のおママは何でも捨てられない人です。
その上、綺麗な紙が好きで、気に入るとクリアファイルや透明袋に入れてゴチャゴチャと取っておきました。
でもね,おママさん。
取っておいても自分で忘れてしまっては元も子もないでしょう。(^◇^;)
「いつか何かに使おう。」
「これ、そのうち使ったら素敵かも。」
おママはすっかりお忘れでも、
20年以上前におママがそう思った紙は、認知症末期になった今でも心惹かれることが多いようです。
それで、使えそうな良さげな紙を見つけると、私は「お題」にしておママに手渡します。
過去のおママの
「いつか何かに使おう」
「これ、そのうち使ったら素敵かも」
そんな伝言をちゃんと今のおママに伝えるために。
そして、本当におママに使ってもらって、当時の思いを実現するために。
*見つけた❗️
今回ご紹介する貼り絵はとても素敵だと思います。
構成の面白さもありますが、何より使っている紙が大変素敵でした。
この紙を見つけた時、私は20年以上前のおママが「何かに使いたいなぁ」と言っているような気がしました。(↓)
雑誌の広告ページだったのでしょうか?裏面は不動産広告です。
明らかに、この表面はクリムトですね。
と記載されていました。
おママはグスタフ・クリムトが好きだったと思います。展覧会に行ったことがあるかどうかはわかりませんが、図版や図録で目にすることはあったと思います。装飾的、図案的で美しい背景が描かれた作品は特に好みだったでしょう。
昔のおママさん、確かに伝言を受け取ったよ。
*案の定
見つけたのが今年の7月1日。「お題」にしたのが8月29日でしたから、伝言を受け取ったのに、私は2ヶ月近く寝かせていました。
なぜなら、夏のコロナ騒動でおママは貼り絵を中断する事になり、私は体調不良が完治してからも続いていたからです。
それで、満を辞しておママに見せたところ、
「あら、これ、すてきね」
を連発していました。最初は当然ながら鋏を入れるのを躊躇っていましたが、いざとなるとテンションは高めでした。
<おママの貼り絵制作動画①>
2022年8月29日 10:21〜(2分46秒)
模様に沿っておママは鋏を動かしていきます。
チャーコが途中で「こっちに切ったら?」みたいなことを言っても、おママはその通りにはしません。非常に細かくハサミを使って切っていたので、段々おママに疲労が溜まって来ました。最後は相当疲れたのか、
チ「こっちに真っ直ぐ切ったら?」
の意見を取り入れたのであります。(^◇^;)
(↓)2枚分のメインピースが切れました。これだけでも十分素敵です。
(↓)以前自分で染めた染色紙を見せたら、おママは「それそれ」と喜ぶので、手近に出しておきました。
<おママの貼り絵制作動画②>
2022年8月29日 10:40〜(1分24秒)
おママは糊付けをしながら、新たなピースの配置を考えていました。
*2枚目へ
1枚目で残った染色紙を、おママはためらいもなく2枚目のメインピースの周囲に配置していきました。
<おママの貼り絵制作動画③>
2022年8月29日 10:48〜(44秒)
三角形をメインピースの周囲に配置しています。
動画の最後で途切れてしまいましたが、おママは「そいで…」と四角い紙片に手を伸ばしていました。動画の後、おママは四角形の紙片に手を伸ばし、それを三角形に分割しました。そして、連作2枚にそれぞれ追加して完成となりました。
(↓)他の紙について
非常に美味しかったです。(↓)
おママの貼り絵を見て下さり,ありがとうございます。