(2021年3月22日 アルツハイマー型認知症の診断から約14年1ヶ月)
*見えているのか?
2度に分けて8月の面会について書いてきましたが、今回はその最終回です。
7月の面会の時、私はおママの緑内障が更に進んでいるのではないかと思いました。
シール遊びをしていて、手元がよく見えていないように感じたのです。
2022年6月の時点での画像検査により、眼科医の見立てはこうでした。
「視野のほとんどは失われて、中央部分だけかろうじて見えているのではないか。」
しかし、認知症のおママには一般的な視野検査は不可能です。
説明も理解できず、機械の中の小さな光の点滅に合わせてスイッチを押すなんて芸当は無理でしょう。だから、本人がどのように見えているのかは推測の域を出ません。
おママがまだ家にいた2022年12月頃の私の印象では、おママの見えている視界の殆どは真っ暗でな部分が多く、その中央から下の辺りに、小さな視野が幾つかまばらに存在しているようでした。
(それが更に損なわれているのではないか?)
そう感じたのです。
おママ自身は自分の目に起こりつつある事を認識出来ません。
なぜなら、おママに過去の記憶がないからです。今見えている視界が、昔からそうだったのだと思うのでしょう。私だったら失明していく恐怖に気が狂いそうになりそうですが、認知症になって記憶がなくなるのは、おママにとって幸せな事だと思います。
*穏やかな日々
「食事とか自分で食べられているのかな?」
オネコさんと話していて心配になりました。面会時に頂く「個別記録」には、
ほぼ毎食『【主食】10【副食】10【汁】10、【おやつ】10』
と記載されています。「10」というのは完食したということです。
それで,今回の面会時に担当のスタッフさんに聞いてみました。
「前回の面会の時に、シール遊びをしたのですが、以前にもまして母の視野が狭くなっているように感じましたが、施設での暮らしで見えていないという印象はありますか?食事は自分で食べられているのでしょうか。」
すると,おママの日常では目が見えなくて不自由な様子は全くみられないようです。
「お食事はご自分でお箸やフォークで召し上がっています。」
うーむ。さすが食いしん坊のおママさんですね。
食べる事にかけては視野欠損もなんのその❗️(๑˃̵ᴗ˂̵)v
施設の嘱託医は眼科も診るので、目薬は続けています。ただ視野に関しては取り立てて何も言われていないようです。
「あまり視野に関しては気にならないのですが、全体的に認知症が進んでいます。だから、それが目の問題なのか、認知力の衰えによるのか、なんとも言えないような気がします。」
まぁ,確かにそうですね…。言語も失われてくると、
「フキコさん、あちらの窓の方を向いてください」
と言われても、おママには何を言われているのかわからないでしょう。何を見たらいいのか、「あちら」も「窓」も「向いてください」も理解不能かも知れません。
「最近、頂いた『個別記録』には殆ど特記事項が書かれていませんが、問題などありませんか?」
恐る恐る聞いてみると、スタッフさんは笑顔になりました。
「全くありません。本当にフキコさんは穏やかです。」
「昨年のように,夜徘徊したり、他の入所者さんを打ったりはしていませんか?」
「いえいえ、今年は本当に落ち着いていらして、よく馴染んでくださっているのだと思います。とても穏やかで,いつもニコニコと笑顔でいらっしゃいます。症状が進んできたのは確かですが…。」
おママが穏やかに過ごしているとのこと。ホッとしました。
以前だったら不快に思うことも、感じなくなっているのしょう。
視野に関しては本人がどのように見えているのか説明できませんし、施設側としても私たち家族としても見守るしかできないのだと思います。
(↓)まさかのビンタ事件
(↓)まさかの完全徹夜事件
*本日アップの貼り絵
2021年3月22日の作品です。
この作品はとても綺麗だと思うのですが、私はなぜ今までブログに載せていなかったのでしょう。今となっては謎です。(^◇^;)
制作日より1週間ほど遡りますが、おママは3月15日にこの作品に使われたピースをじっくりと切り抜いていました。写真データを見返すとその時の動画が残っていました。
8分23秒という少々長い動画なのですが、そのまま貼り付けようと思いました。
おママの視野欠損が判明する1年3ヶ月前です。この頃は細かい部分までしっかり見えていたようです。(๑˃̵ᴗ˂̵)
元は(↓)このような洋紙でした。恐らくおママが認知症になる前に購入したのだと思います。
<おママがピースを切り抜く動画>
2021年3月15日14:40〜(8分23秒)
おママは模様に沿ってハサミを動かしています。かなり集中していました。
「こっちが…ここなんでしょ。」
「きばた、きばた………どうなってんだか。」
謎の言葉を呟きながら切っています。
4分4秒頃には突然、何か昔のことを思い出したのでしょうか。
「おにーちゃんがね。うちのね。あれがすきで、ずっとあれしたらしいのだけど…。」
そう言っています。白い余白を徹底的に切り取りたいと思ったのか、一生懸命に切っています。
そして、2021年3月22日、
(↓)これらの紙を使っておママは貼り絵に取り組みました。
『鬼滅の刃』炭治郎の羽織の市松模様は小津和紙で購入しました。
中央に貼られたマーブルペーパーは、おママがルリユール(ヨーロッパの伝統的な製本技法)を学んでいる時に購入したのだと思います。
おママの貼り絵を見て下さり,ありがとうございます。