アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

「おママの貼り絵」最晩期(5)ルリユールの名残

(2022年12月19日アルツハイマー認知症の診断から約15年10ヶ月)

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2年前

おママが特別養護老人ホームに入所したのは2023年正月明けです。

貼り絵制作はその直前の2022年12月19日まで続けていました。

しかし、この年の11月から12月、認知症の症状が進んだおママは、ハサミを持つのも糊をつける事も、直ぐに判らなくなっていました。

そのため作業中、一回一回、私はハサミの持ち方使い方をおママに教えていましたが、思うようにできないとおママ自身ハサミを持とうとしない日もありました。

(あんなにハサミで紙を切るのが好きで、上手だったのにね。)

そう思うと、私は悲しくて仕方がありませんでした。

私がもう少し粘れれば、もう数日可能だったかも知れません。

でもこれが限界だったと、今でも思っています。そんな「おママの貼り絵」の最晩期で、まだブログに掲載していなかった貼り絵が6枚あります。私としては印象深い作品でした。

それらをこの11月と12月でご紹介していこうと思います。

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かつてのおママからの宿題

2022年12月19日はおママが自宅で貼り絵をした最後の日でした。

この2日前におママはハサミを持つのを嫌がり、ほぼ小さな紙片を画面に並べるだけになっていました。糊付けは私がうまく誘導すれば可能でしたが、それでも私は自分がおママに無理やり貼り絵をさせているような気がして、かなり落ち込んでいました。

ちょうど特別養護老人ホームへの入所時期が確定した頃です。おママが自宅で過ごせる日数も残り少なくなった時に、

(無理に貼り絵に取り組ませるより、のんびり過ごしてもらった方が良いのかも)

と、私は思うようになりました。

あくまで私がですが、悔いが残らないようにしたい。おママに使って欲しかった材料が有ったのではないか。

思いついたのは(↓)これでした。

認知症になってからもずっと貼り絵を続けてきたおママは、2019年ごろまで自分で使いたいと思う紙片を組み合わせて透明な袋にセットすることがありました。

「いつか使うかも❗️」(๑˃̵ᴗ˂̵)

おママ自身が自分のために配色や形を考えて組み合わせた「お題パック」です。その多くがおママ自身に忘れられてしまったのですが、(↑)これは私が見つけて確保していたセットです。

「せっかくおママが自分で使おうと組み合わせていたのなら、それを使って欲しい。

以前のおママからの宿題をやってもらいましょう。

その左側の袋の中身は(↓)こちらです。

更に小さな透明の袋には、小さな色革が入っていました。

ルリユール(ヨーロッパの伝統的な製本技術)を習っている時に、おママは本の表紙にした革の表面に薄く削いだ色革を象嵌する技法に取り組んでいました。

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その名残ですね。薄い色革の小さな欠片が幾つも出てきました。桃色系の菱形を中心に同系色で組み合わせたこのセット。

明らかにおママはこれを貼り絵に使うつもりだったのでしょう。

(↓)袋から出してみると、菱形や半円など結構バリエーションがありました。

(↓)すぐにハガキの上で構成を考えていました。

youtube.com

<おママの貼り絵制作動画①>

2022年12月16日 10:17〜(2分14秒)

「もう一個あるよ」

私はそう言いながらおママに薄紫の半円形を渡そうとするのですが、おママの意識に留まりません。おママの狭い視野の中にに入らないのか,認知症の症状が進んで周囲の状況を認識し辛くなってきたのか.きっと両方ですね。それでもおママはおママなりに工夫を試みています。

(↓)糊付け中。

youtube.com

<おママの貼り絵制作動画②>

2022年12月16日 10:36〜(1分08秒)

糊付けは比較的順調でした。以前のように丁寧に貼っていました。

(↓)そして出来上がりました。

おママが熱心に取り組んだルリユールの名残と

そしておママ自身が組み合わせた「お題パック」が

1枚のハガキの上に結実して、おママも私も笑顔でした。

 

おママの貼り絵を見て下さり,ありがとうございます。