(2018年5月25日 アルツハイマー型認知症の診断から約11年2ヶ月)
*5月25日金曜日
この日、私が昼前に実家の前に着くと、門のところにおママがいました。
(あら、出迎えてくれたのかしら!)
そんなわけありませんね。(^。^)
私が来る事をジジがおママに話していてても、記憶がなくなるのですから。
おママは門のところで右往左往しているので、私は何か気になる事でもあるのかと思いました。
「お母さん、どうしたの?さ、おウチに入りましょう。」
すると思いがけない事を言うのです。
「ちょっと外を歩いて来るから、あなたは中へどうぞ、どうぞ。」
なるほど、お散歩したいのね~~。
「じゃぁ、私もご一緒しますね。」
するとおママは毅然として言い放ちました。
「私は1人で行くの。この辺をぐるっと回って来るだけよ。1人で大丈夫だから‼️」
門の所で一緒に行く行かないの押し問答の末、おママは強引に1人で出て行ってしまったのです。
私は急ぎドアを開けてジジを呼び、荷物を置いて事の次第を話しました。
「えーっ、1人で出ちゃったのか?さっきから外に行くって、言うことをきかないんだよ。もうすぐチャーコさんが来るからダメだと言っても、1人で行くから‼️と聞かないんだから。」
ま。ジジの話は後です。とりあえず、私はおママの後を追いました。
実家の含まれる番地はほぼ長方形で、比較的広い道に囲まれています。15~16軒もあるので結構大きな区画です。実家はその角地にあります。
門を出てすぐブロック塀沿いに行き、角を左に曲がる、そんなおママの姿を目撃していたので、私はすぐに後を追いました。長方形の長い辺をトコトコ歩くおママの背中が40メートルほど先に見えます。私が後を追い始めると、急におママは振り向きました。
私はビクっとして停車中の車の陰に身を隠すと、おママはまた前を見て歩き始めました。
(あんなに1人で‼️と言い張っていたのだから、こっそり後を付けないとね。)
おママはゆっくり歩き、角まで来ると立ち止まりました。そして少し周囲を見回しながら、迷いなく左に曲がりました。
角を左へ、左へ、左へ、3回曲がっておママは無事に家へ帰ったのです。
私が玄関に入った時、もうおママはすっかりご機嫌でした。
「あら、あなた…。いらしたの?」
今日初めて会うかのごとく、おママは私を家に迎え入れました。
どうやら私の尾行は成功だったようですね。(^。^)v
*一人で出掛けたい。
それは誰だって当然の事だと思います。自由でありたいのですから。
しかし、認知症の場合はそうもいきません。行方不明になる可能性が高いからです。
もし、おママが門を出る瞬間に、私が玄関に現れなかったら…。そう思うと冷や汗がでます。
ジジは耳が悪いのです。ですから玄関の物音は聞こえないし、まさかおママが一人で出るとは思わなかったらしい。
「徘徊が始まるのか…⁉️」
ジジと私は思わず顔を見合わせてしまいました。正直、不安です。
この事をオネコに話しますと、
「見覚えのある風景かどうか確かめたかったのかも❓」
と言うのです。
確かに、おママは角で必ず周囲を見回してから、迷いなく左に曲がっています。脳裏に薄ぼんやりと残っている風景を実際の場所で確かめようとしていたのかも知れません。
あれから10日くらい経ちました。おママは今のところ、黙って一人で出掛けたりはしていません。
徘徊の始まりか⁉️
記憶の確認作業説⁉️
あくまで私の希望的観測ですが、後者の方が有力のようです。
でも、今後どう転ぶか分かりません。注視していこうと思います。
あ、これが前回の記事で言っていた「気になる事」でした。(^。^)a
*本日アップの貼り絵
前回の記事でアップした貼り絵の連作です。
おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。