アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母が作った貼り絵たち。

哀愁の雨傘❗️

 

f:id:harienikki:20170907002338j:plain

(2017年8月7日 アルツハイマー認知症の診断から約10年6ヶ月)

 打合せから戻ってみると

   今日の関東地方は雨でした。気温も低めです。

最近のあるあるで、ジジの調子はイマイチ。

雨ならシルバーカーが使えないし、傘をさして杖ついたら危ない。こんな日はお買い物に出るのは禁物です。

オネコが実家に来るついでに、今夜のおかず等を買ってきてくれる事になっていたのですが…。

午後、私が仕事関連の打合せから戻ってみると、

 

「おママがお遣いに行くってうるさいから行って来るよ〜。」

 

ビックリです。その時の空模様は霧雨状態から小雨に移行中だわ〜!

傘を差さないでは歩けません。

「玄関に出て外を確認してから言ってよ❗️」

私は少々(?)声を荒げてしまいました。それでジジは外に出て納得したようです。

 

説得を試みる

「今日は雨が降っているから、お遣いには行かれないよ。」

しかし、一度は行く気になっていたおママは納得してくれません。

「そんなこと言ったって、夕ご飯の事もあるし、行かないわけにはいかないでしょ。」

「オネコさんがこっちに来るついでに買ってきてくれるんだよ。行く必要がない。」

「オネコさんが……?……?」

「だから、行かなくて良いんだよ。」

「そんな事ばかり言って。何を食べるか分からないじゃない。私とあなたで行けば済む事なのに。人に頼まなくても良いのよ。」

「こんな雨の日は私は外を歩けないんだってば!」

「なんでよ。歩けるでしょう。歩いているじゃないの。」

「家の中ではね。でも、外はシルバーカーを押さないと辛いの。雨だと傘を差して押すわけには行かないし、買ったものを下げて歩くのは無理なんだよ。」

「大丈夫よ。」

「あなたは足腰が丈夫だから大丈夫だろうけど、こっちはもう弱っているの!」

ジジとおママは暫しこの会話を繰り返しながら、だんだん口論のようになっていきました。

「お母さん…。お父さんは89歳なのよ。それに本当に雨の日は外を歩くのは無理なのよ。」

私がこんな風に口を挟んで見たものの、おママは一向に矛を収めません。

ジジとおママの会話はリピート再生のようにドツボにハマっていきました。

 

しまいには…。

「もう分からない…。買い物に行かないなら、夕飯はどうするのよ。」

「だから、オネコが買ってきてくれるって。」

「もう、分からないわよ。だいたい、あなたはそんな事ばかり言って、ちっとも外を歩かないでしょ。こんな事では、しまいには歩けなくなってしまうわよ。歩かないとダメよ。」

「雨じゃない日は一緒に行っているでしょ❗️」

「そんな事ないわよ。」

「お母さん。お父さんはもう、歩けなくなってきているのよ。無理はできないの。」

「それはそうかもしれないけど、私は外に行きたいのよ❗️

あゝ、これがおママの本音ですね。

すると、ジジは鋭い切り札を繰り出しました。

「雨が降ったり、体の調子の悪い時に無理して出掛けて、具合が悪くなったりするし、そんなことが重なると、私は貴女より先に往ってしまうかもしれないよ。」

これを聞き、おママはキッパリ断言しました。

「そんな事ないわよ!」

「お母さん、お父さんはもうすぐ90歳なのよ。無理させないでね…。」

俯きながら、おママは悲しげに呟きました。

「そうね…、でも、なんだか分からない。もう、嫌になっちゃう。死にたいわ…。」

 

あゝ、追い詰めすぎたか…。おママが可哀想になりました。

ここまで、エスカレートさせては行けなかったと、私は反省しました。

とにかく、この負のスパイラルを断ち切らなければなりません。

「それなら、お母さん。私はコンビニに用があるから、お散歩がてら一緒に行きましょう。」

それで、なんとなく治まりがつきました。

 

いまだに学習できていない。

  その後すぐに、おママと私は2人でコンビニに出掛けました。家を出たところで、おママはしみじみ言うのです。

「歳をとるって…、大変で、つらいことだわ。」

本当にそうね。

そうだと思うわ。

私は激しい自己嫌悪に陥りました。もっと早くにあの会話は打ち切るべきでした。

 

出口のない堂々巡りは、何度も経験してきたはずです。

最近、気をつけてはいたのですが、頭では分かっていたのですが、

ズルズルと足を取られて、スパイラルに引きずり込まれた感じがしました。

 

実家からコンビニまで、

短い距離でしたが、雨傘に雫がいっぱい付きました。

あゝ、雨はふる…。

 

おママの貼り絵を見て下さり、有難うございます。