(2017年8月7日 アルツハイマー型認知症の診断から約10年6ヶ月)
*打合せから戻ってみると
今日の関東地方は雨でした。気温も低めです。
最近のあるあるで、ジジの調子はイマイチ。
雨ならシルバーカーが使えないし、傘をさして杖ついたら危ない。こんな日はお買い物に出るのは禁物です。
オネコが実家に来るついでに、今夜のおかず等を買ってきてくれる事になっていたのですが…。
午後、私が仕事関連の打合せから戻ってみると、
「おママがお遣いに行くってうるさいから行って来るよ〜。」
ビックリです。その時の空模様は霧雨状態から小雨に移行中だわ〜!
傘を差さないでは歩けません。
「玄関に出て外を確認してから言ってよ❗️」
私は少々(?)声を荒げてしまいました。それでジジは外に出て納得したようです。
*説得を試みる
「今日は雨が降っているから、お遣いには行かれないよ。」
しかし、一度は行く気になっていたおママは納得してくれません。
「そんなこと言ったって、夕ご飯の事もあるし、行かないわけにはいかないでしょ。」
「オネコさんがこっちに来るついでに買ってきてくれるんだよ。行く必要がない。」
「オネコさんが……?……?」
「だから、行かなくて良いんだよ。」
「そんな事ばかり言って。何を食べるか分からないじゃない。私とあなたで行けば済む事なのに。人に頼まなくても良いのよ。」
「こんな雨の日は私は外を歩けないんだってば!」
「なんでよ。歩けるでしょう。歩いているじゃないの。」
「家の中ではね。でも、外はシルバーカーを押さないと辛いの。雨だと傘を差して押すわけには行かないし、買ったものを下げて歩くのは無理なんだよ。」
「大丈夫よ。」
「あなたは足腰が丈夫だから大丈夫だろうけど、こっちはもう弱っているの!」
ジジとおママは暫しこの会話を繰り返しながら、だんだん口論のようになっていきました。
「お母さん…。お父さんは89歳なのよ。それに本当に雨の日は外を歩くのは無理なのよ。」
私がこんな風に口を挟んで見たものの、おママは一向に矛を収めません。
ジジとおママの会話はリピート再生のようにドツボにハマっていきました。
*しまいには…。
「もう分からない…。買い物に行かないなら、夕飯はどうするのよ。」
「だから、オネコが買ってきてくれるって。」
「もう、分からないわよ。だいたい、あなたはそんな事ばかり言って、ちっとも外を歩かないでしょ。こんな事では、しまいには歩けなくなってしまうわよ。歩かないとダメよ。」
「雨じゃない日は一緒に行っているでしょ❗️」
「そんな事ないわよ。」
「お母さん。お父さんはもう、歩けなくなってきているのよ。無理はできないの。」
「それはそうかもしれないけど、私は外に行きたいのよ❗️」
あゝ、これがおママの本音ですね。
すると、ジジは鋭い切り札を繰り出しました。
「雨が降ったり、体の調子の悪い時に無理して出掛けて、具合が悪くなったりするし、そんなことが重なると、私は貴女より先に往ってしまうかもしれないよ。」
これを聞き、おママはキッパリ断言しました。
「そんな事ないわよ!」
「お母さん、お父さんはもうすぐ90歳なのよ。無理させないでね…。」
俯きながら、おママは悲しげに呟きました。
「そうね…、でも、なんだか分からない。もう、嫌になっちゃう。死にたいわ…。」
あゝ、追い詰めすぎたか…。おママが可哀想になりました。
ここまで、エスカレートさせては行けなかったと、私は反省しました。
とにかく、この負のスパイラルを断ち切らなければなりません。
「それなら、お母さん。私はコンビニに用があるから、お散歩がてら一緒に行きましょう。」
それで、なんとなく治まりがつきました。
*いまだに学習できていない。
その後すぐに、おママと私は2人でコンビニに出掛けました。家を出たところで、おママはしみじみ言うのです。
「歳をとるって…、大変で、つらいことだわ。」
本当にそうね。
そうだと思うわ。
私は激しい自己嫌悪に陥りました。もっと早くにあの会話は打ち切るべきでした。
出口のない堂々巡りは、何度も経験してきたはずです。
最近、気をつけてはいたのですが、頭では分かっていたのですが、
ズルズルと足を取られて、スパイラルに引きずり込まれた感じがしました。
実家からコンビニまで、
短い距離でしたが、雨傘に雫がいっぱい付きました。
あゝ、雨はふる…。
おママの貼り絵を見て下さり、有難うございます。