(2017年6月3日 アルツハイマー型認知症の診断から約10年4ヶ月)
*素敵な寄り道
子供を対象とした絵画教室をやっている友人がいます。
そこの生徒さん達の作品が展示されていると聞き、昨日実家の帰りに作品展に行ってきました。
壁面いっぱいにお子さん達の絵が飾られています。入口に立った時、
「わぁ、きれい…」
私は溢れる色彩の躍動感にちょっと目眩がしました。
全部で100枚以上。圧巻でした。
半分は猫がテーマ。もう半分は色々な動物がテーマです。
たくさんのお子さん達が思い思いの表現で描いているのが面白くて、1枚1枚見ていくと実に楽しかったです。
制作者は未就学児から低学年が中心、
画用紙の大きさは八つ切(271㎜✖️382㎜)です。
その中に動物なり猫ちゃんをぽつんぽつんと描いて背景を塗るシンプルな手法あり、画面を埋め尽くすほど物語を感じさせるような描き込みをしているものもあり。どれもお子さん達の個性が発揮されているようです。
たくさんの絵を見ていくと心が癒され、和んできます。
それと同時に少し違う感動もありました。
私には、小さい子って、わーっと興奮したりすると物凄い熱量を発する印象があります。それがそのまま画面から感じられるのです。
子供の絵画を見慣れていない私は完全にノックアウトされました。
幾つか、私の好きな作品をご紹介しますね。
あそぶ 小2年
三毛猫 小2年
ドアをあけたら 小1年
「なんで、こういう風に模様を書いちゃうんだろう?」
私が興味深く訊ねると、友人は言います。
「小さい子供の絵に『なぜ』はないわよ。『なぜ』と(本人に)聞いたら、その時は何か答えるけど、おそらく求めるような回答は得られず、あなたの疑問は深まるばかりよ。」
つまり、大人の理屈は通用しない世界なのですね。お子さんの年齢にもよるのでしょうけれど、制作時はその時の感性が前面に発揮されるのでしょう。
おいしいハチミツをありがとう 5才年長
ママもうっとり6才年長
*友人と色々話をしました。
画用紙は…。
通常お教室では、この八つ切を使っているそうです。大きすぎず小さすぎず、お子さん達にもいい大きさですね。今、私が何かを描くとしたら、このくらいの大きさなら取り組めるかもしれません。(笑)
時間は…。
だいたい、1枚に2時間くらいとのことです。熱心に描写するお子さんはもっと時間をかけるとか…。これも個人差のようです。小さいお子さんが本当に集中出来るのは1時間ほどで、後はお話をしたりアドバイスしながら描き進めると聞きました。
ふと、私はおママが貼り絵をしている後ろ姿を思い浮かべました。
おママが一度に制作できるのは、だいたい30分から1時間です。(休憩を挟んで、新たな発見のように続きに取り組むこともありますが…。)
おママはハガキサイズに、切り抜いたパーツを貼っています。やはり所要時間的にもハガキは丁度良い大きさなのだと思います。
記憶が持続しないアルツハイマーのおママは「こうしよう」とデザインを決めても、糊付けしている最中に、パーツがズレたらどんどん構成が変わってしまいます。アドバイスをしても忘れてしまう…。(笑)
お子さん達には記憶力が備わっているから、初めのアイデアが最後まで続くのかしら?それとなく友人に訊いてみたら、
「描いているうちに、付け加えたり、ああしよう、こうしようと、変わっていく事はあるのよ」
との事でした。そうですよね。やっていくうちにアイデアが浮かんでくるのは自然な事です。
*異なる星の輝き
おママはアルツハイマーの症状のために、だんだん記憶や時間の概念をなくしつつあります。そんなおママに接していると、時々、童心に返っているような気がします。だから、私はお子さん達の創作に近いものがあるのではないかと思っていました。
でも、全然違う。
おママ自身はアルツハイマーで失われたとしても、すでに大人として生きてきた時間があります。記憶は薄れても、積み上げてきた経験や嗜好は湧き上がってくる。そして、それらがハガキ大の中に、楽しげに切り貼りされているのでしょう。それは素敵。
お子さん達はこれから新しく色んな体験して成長しています。そのプラスの輝きはまるで星のようです。未知のエネルギーが画面の中で躍動して生命力に溢れているのでしょう。それはとても素敵。
昨日は楽しいひと時でした。
お子さん達の絵に元気をもらいました。
星の子展 VOL,3 皆 未来の輝く星になる
猫部門☆2017年9月1日(金)〜5日(火)
動物部門☆2017年9月8日(金)〜12(火)
12:30〜19:00 日曜、最終日は17:00まで。
おママの貼り絵を見て下さり、有難うございます。