アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

気掛かりでリピート…。

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(2017年12月2日  アルツハイマー認知症の診断から約10年10ヶ月)

 

お薬が無くなりそうです。

ジジの血圧の薬、おママのアリセプトとメマリーなど、いつものお薬が週末に切れてしまいます。

それで、今日(1月19日)2人は掛かりつけのお医者さんへ行きました。

「雨は降らないにしても、午後はどんより曇ってくるし、

寒くなると身にこたえるから、早めに行ったほうがいいね。

それで、午後3時半過ぎに実家を出ました。

まだジジの頭と気持ちがしっかりしているから、私はよっぽどの事がない限り、付き添いません。(付き添えよーと言うご意見ごもっともですが…(^。^))

「出るときにチャーコさんも一緒に出て帰っていいから。」

ジジに言われて私もそうすることにしました。

 

忘れ物はない?

忘れ魔の私の事です。

いつまでたっても親に心配を掛けさせているのは情けないことですが、

「忘れ物ない?携帯とか?」

実家を出る時に、私は必ずジジに言われます。

今日も同じ事を聞かれ、

「はーい。ありまーす!」

私は調子よく答えました。

 

戸締りを万全にやって、玄関の鍵を閉めて、さぁ、参りましょう!

 

実家の門を出て角を曲がった所で、私はハッ❗️と気がつきました。

Wi-Fiを忘れた❗️先に歩いていてよ。追いつくかお医者さんまで鍵を持って行くから。」

ポケットWi-Fiが無ければネット環境が大打撃です!

私はジジに鍵を借り1人家に入りました。(私も鍵を預かっているのですが、また、今日も持っていなかった。自分の家に置きっ放しです。)

幸いWi-Fiを置いた場所は分かっているので、直ぐに回収。

「きっとお医者さんの手前で追いつけるな。」

そう思いました。

 

リピート中なら忘れない

戸締りをもう一度確認して、玄関の鍵を閉めて、門扉を閉めると、

バタバタ戻ってくるジジとおママの姿が見えました。

「どうしたの?」

「チャーコさんが1人で戻ったから、おママがずっと気になって仕方ないんだよ。

戻ろうとうるさく言い続けるから、面倒くさくなって戻ってきたよ。」

 

どうやらおママは「戻る」と言い張って、50メートルほど先の電柱から一歩も動かなくなったそうな。

申し訳ない事です。

 

しかし…。下手をすれば5歩歩いたら忘かねないおママです。

あそこまで(50メートル先まで)、私の事を覚えていたのか…。それは素晴らしい。

一瞬、私はそう思いました。

でも、違いますね。

ずっと繰り返し「あの人が戻ったんだから戻りましょう」と言い続けたり、思い続ければ、その間の記憶は保てるのですものね。

繰り返している間は、おママにとって過去の事にはなりませんから。

 

気掛かりの根っこを考えてみる。

おママは何故そんなに心配になったのだろう。

 

私が一人で戻るのが気の毒と思ったからかしら?

その要素も絶対にあると思います。

 

でも、やはりおママの中では親子関係が希薄になっているからではないかしら?

信頼関係のある娘が自分の家に一人で入って行く事は、対して問題ないはずです。

 

でも、自分達が居ない間に、他人が家に入って行くとしたら、誰だってかなり心配ですよね。

 

おママなりの考えを持って、50メートル言い続けたのは、よほど気掛かりだったのでしょう。

アルツハイマー認知症と診断されて、もうすぐ11年ですが、

いまだにおママの言動の意味を模索しております。

 

*今日アップの貼り絵について

何回か登場しているボルガノスパゲッティの古い古い包装紙から、そのロゴを切り取っています。⬇️

それが全く関係のない3色の長方形と菱形に上手く組み合わされていると思います。

おママもかなりお気に入りの貼り絵です。

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ボルカノ 食品事業 展開事業紹介 日本製麻株式会社 THE NIHON SEIMA CO., LTD.

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

 

今年も「お帳面」(^。^)

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(2017年12月14日アルツハイマー認知症の診断から約10年10ヶ月)

 

去年の取り組み、今年も出来れば続けたいです。

   今日は「お帳面」についてです。

このブログで時折登場する「お帳面」とは、おママが付けている簡易家計簿。

初めてこのブログでをご覧になる方は認知症なのに「家計簿‼️」と驚かれるでしょう。

でも、アルツハイマー認知症10年選手のおママですから、流石に家計を管理しているわけではありません。

この「お帳面」は、その日に購入した支出を前日の残高から引くだけのものです。

おママは半世紀以上にわたって算盤を弾いて家計を切り盛りしてきたました。

ですから、これは本能のレベルで染み付いた家計簿の、最後の名残であります。

 

おママにとっては、「自分のやるべき仕事」

ジジや私達姉妹にとっては「おママがやれる事を残したい」一念で見守っている事。そんな感じのものです。

 

私が実家に行く時には、必ずジジに買い物を頼まれます。

その立替金をおママに払ってもらうために、私はほぼ付きっ切りで「お帳面付け」を見守るのですが、これがなかなか大変❗️

 

なにせ記憶は数分で失くなりますから、計算し終えても何度も繰り返して足し算したり、同じものを何度も支出に加えてしまいます。

しっかり見張って(見守って)いないと永遠に終わりません。

 

昨年、私はこの「お帳面付け」の見守りに力を入れて取り組みました。

それは、ひとえにおママに残された機能を残したいがためでした。

こんな事もあんな事もあった「お帳面」❗️

⬇️

harienikki.hatenablog.com

 ⬇️クレジットカード払いの買い物について、この時点では「お帳面付け」の時にかなり混乱していましたね。

でも現在はその場合もジジの働きかけにより、何とかなってきました。

harienikki.hatenablog.com

出来れば、今年もおママには「お帳面」を続けて欲しいです。

どうしてもやりたくない❗️となったら仕方ありませんが、

買い物の後に「お帳面」を開く姿勢がみられるうちは、私も頑張ろうと思います。

 

見守る側にも問題が…。

しかし❗️昨年の晩秋からは、文字を書くのも相当難しくなってきました。

おママは文字を忘れつつあります。

年末くらいからは、それだけでなく、お得意だった算盤も怪しくなりました。

まだ足し算は何とかなるのですが、引き算は難しそうです。

例えば…、

10325ー866

というような繰り下がりの算盤は、ほぼ無理になってきました。

 

「…ん‼️これって…‼️」

昔のおママはお得意でしたが、

私は昔からこの手の計算は無理でしたね…。算盤も出来ないしさ…。(笑)

自分の家では能力がないから家計簿なんて付けないし…。(笑)

こんな算術に疎い私が「お帳面」の見守りは正直キツイですわ。

 

おママは算盤を怪しげに弾き、私はスマホの電卓機能でオタオタしながら検算し…。

風前の灯のようですが、今年も何とか続けられますように❗️

 

今日アップの貼り絵について

紅茶のティーパックの袋を使っています。赤い葉っぱの模様のあるパーツも同様です。

算盤の珠を想像させるようなパーツがあるので選んでみました。

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⬆️これの仲間です。

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

のこりもの♪

 

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 (2017年12月7日  アルツハイマー認知症の診断から約10年10ヶ月)

 

おママ,自作を評論する

  月に数度、私はおママの貼り絵を写真撮影します。

喜ばしい事に、最近のおママはとても多作です。

撮影するのもなかなか大変なんですよ。うれしい悲鳴です。

撮影の時に、おママは自分の貼り絵を批評します。

 

「ここはこうすれば良かったのに。」

「これがもう少し右に寄っていたら、もっとああだったのに。」

 

その口調は反省というより、誰かにアドバイスするような感じだから可笑しい…。

 

 今日アップの貼り絵については、ちょっと吹き出し笑いをしてから、

「可笑しいわね。きっと、のこりものを集めたのね。たまにはこういうのも良いわよね」

との事でした。

 

自分が作業机に貯まっている残り物を貼った、その記憶の切れ端でも頭の片隅に残っていたのかしら…。

「とてもかわいいと思うわ。」

私が言うと、

「そうよね。こういうのはこれで良いわ。」

と微笑みました。まるで先生の風格すら感じさせます。

そんなおママは頼もしく見えるから不思議です。

 

残り物とは…。

金色の折り紙の切れ端、

小津和紙の寄木細工模様の千代紙、

小津和紙の包装紙。

そして時々あらわれる無地ピンクの紙…。

これまでのおママの貼り絵にたびたび登場していたパーツの残り物ですね。

そして、赤いリボンのプレゼントも残り物なんですよ。

 

⬇️こちらを制作した後の残り物でしょう。

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(2017年12月1日 アルツハイマー認知症の診断から約10年10ヶ月)

これは多分、伊東屋の広告写真から取ったのだと思います。

 

一番上の貼り絵は、残り物の寄せ集めで、気分で貼り付けた感じですが、

なかなか味な構成になったと思います。

おママ❗️残り物には福があったね‼️

www.ito-ya.co.jp

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

ジジの頭は湯たんぽ⁉️

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(2017年11月27日  アルツハイマー認知症の診断から約10年9ヶ月)

 

年末あたりからよく見る光景

寒いですね。

寒いと手先が冷たくなりますね。末端冷え性の私には辛い季節です。

私が子供の頃、おママも手先が冷たかったような気がします。

私もおママと同じで血流が良くないのかしら?

 

最近のおママは手が冷えると、座って和んでいるジジに寄っていきます。

自分の両手をジジの背中や頭部で温めようという魂胆です。(^。^)

「寒いのよ。手を温めたいのよ。」

特に薄毛の頭部に手を当てられるとジジはなんとも気の毒な様子に見えます。

「お母さん、やめたら?」

私が咎めても止めません。

ジジは黙っていて、もう抵抗すらしない。諦めムードです。

「だってこうしていると手が温かいんですもの。」

なんとも微笑ましい姿であります。

 

オネコは同じような光景を見て

(天真爛漫に磨きがかかってきたね〜)

と思ったそうです。

 

私は同じ光景を見て、素朴な疑問を持ちました。

(人の頭って、そんなに温かいか?)

自分の頭に手を当ててみました。いえ。温かくないですよ。むしろ冷たい。

でも何故かといえば、髪の毛があるからですね。髪はヒンヤリしていますから。

おっと…。ジジ…、すみません。

でも、頭髪が少ないからこそ…。

ジジの頭はおママの湯たんぽなんですね。

実際、ジジに言わせると、「頭は熱い」なんだそうです。

 

今日アップの貼り絵

三越前にあるコレド室町の案内冊子を使いました。⬇️

 

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おママの貼り絵を見て下さりありがとうございます。

 

 

 

はさみの音

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(2017年12月4日  アルツハイマー認知症の診断から約10年10ヶ月)

 

今日はジジの短歌です。

 

   工房にはさみの音のあかるみて

              春を取り込む妻のゆびさき

 

  ジジは30年以上前から短歌を詠んでいます。

数年前までは短歌の会に参加していました。

今でも、先生に添削指導を受け続けています。

私はというと、歌はさっぱりです。全く分かりません。(笑)

ですから、ジジに「これ、どう?」と聞かれても「はぁ?」てな感じ…。

娘なんて冷淡なもんですよ…。

 

でも、この短歌はなんとなくイメージが浮かぶと言うか、

おママのはさみの音が聞こえるように思いました。

だから、ブログに載せちゃいましょう。

貼り絵の制作は昨年でしたが、ジジの短歌は年明けの早春の歌です。

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⬆️今日アップの貼り絵の制作風景です。

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

 

 

また明日ね。

 

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(2017年11月20日  アルツハイマー認知症の診断から約10年9ヶ月)

 

 昨日(10日)の事。

   最近体調を崩していらっしゃる方が多いようです。

私の周りでもそうなんです。

何を隠そう私めも…。(笑)

 

  私は帰る時に必ずおママに声を掛けます。

すぐに記憶が消去されてしまうおママですから、声を掛けても掛けなくても、

同じだと言えばそうなのです。

でも、その家を失礼する時は、家人に挨拶するのは常識ですもの。

「お母さん。じゃぁ、もう帰ります。」

すると、おママはいつも「はーい」と答えてくれるのですが、

昨日は少し言葉が長かったのです。

「はーい。また明日ね〜。」

おママにとって、私は毎日来る人なのね。それはちょっと嬉しい。

(でも、ごめんね、明日は来ないの…。)

そんな言い訳しても、おママは混乱するだけでしょう。

私は「はい」と言って帰りました。

 

そして、今日。私は体調悪すぎ…。

おママ…、ごめんね。明日も行かれないかも…⁉️  がんばるけど…。

 

今日アップの貼り絵

どことなくゴージャスな雰囲気がある貼り絵。

銀座百点の広告ページから切り出したようです。

銀座ヨシノヤさんは昨年110周年でした。

そのロゴを上手く取り入れているのがミソですね。

青い花は…、鳩居堂の袋の柄なのではないかと思うのですが…。


(平成30年1月12日  追記) 

青い花は、やはり鳩居堂の包装でした‼️

オネコが写真を送ってくれたので、判明しました。⬇︎

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⬇️銀座ヨシノヤのHPです。

日本に、うつくしい歩み。銀座ヨシノヤ


⬇️東京鳩居堂のH Pです。

http://www.kyukyodo.co.jp/index.html


⬇️銀座百点とおママ 

harienikki.hatenablog.com

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。

 

 

おママなりの考え

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(2017年12月15日 アルツハイマー認知症の診断から約10年10ヶ月)

  

今週月曜日の夕方の事

   すっかり日も暮れた夕方の5時半。

私は実家の玄関にいました。

帰り際で、ドアノブに手を掛けながらジジと話していると、おママが2階からバタバタと駆け下りてくるではありませんか⁉️。

あんまり急いだからか、おママは息を切らしております。そして言いました。

 

「あなた、これを持っていらっしゃい。」

 

おママが半ば強引に私の手に握らせた物は、白いティッシュペーパーでした。

それは3組重ねて八つ折りにされています。

 

「………⁉️  これは何でしょうか?」

「いいから、いいから、これを持っていって…。」

 

私はティッシュペーパーに、何か挟んでいるのかと思いました。例えば綺麗な切り抜きとか…。お菓子が挟んであるとか…。結構、お菓子だったら私には迷惑な事ですが…。

しかし、開いて見ると、何もありません。

「あの…、お母さん。何も挟んでないようですが。」

するとママは笑顔で言うのです。

「いいの、持っていってね。外で鼻をかむ時に、これを使ってくださいね。」

「…………⁉️」

 

 えっ⁉️おママ…。剥き出しのティッシュペーパーを渡されたって、どうすりゃいいのさ…。今、私は鼻すすってないよ…。せめてポケットティッシュの包ごと渡して欲しい…。

 

アルツハイマー認知症歴が長いおママに反論しても堂々巡りになるだけです。

「ありがとうございます。」

私は大人しくそのティッシュペーパーをバックに入れて帰途につきました。

 

おママの言動を考えてみた

おママは何を思ったのかしら?

 

この日、時折鼻をすすっていたおママ。自分が鼻をかもうとティッシュペーパーを手にしたところ、階下の玄関で誰かが帰る物音を聞きつけた。

(帰る人が寒い外で鼻をかむかも知れない。ならばこれを!)

そんなところでしょうか?

 

電車の中であれこれ考えていると、最初は突飛に感じた行動も、

おママの脳では筋道が通っているのだと分かります。

 

ただ剥き出しのティッシュペーパーを人に渡したら、コートのポケットの中やカバンのでグシャグシャになるでしょう。

以前(アルツハイマーになってもしばらくは)のおママなら、そこまで考えが及んでいたでしょう。

今は思考回路が続かないのですね。(^。^)

 

おママはもうすぐ診断から丸11年になります。

たとえ私を娘と思っていなくても、

おママにはまだ他者を思いやる感情が多く残っている。

私はそれを天に感謝すべきなんだと思います。

 

案の定、私のカバンの中で、

ティッシュペーパーはグシャグシャのボソボソになりましたけどね。(^。^)

 

本日アップの貼り絵

前回アップした貼り絵と同じ日に同じ紙類を使って仕上げたようです。

この日は制作途中を見ていなかったので、どちらを先に作ったかは分かりません。

時々、連作のような作品たちは、2枚並べて進行させたりします。

これらもその様な例だったかも知れません。

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。