(2017年10月10日 アルツハイマー型認知症の診断から約10年8ヶ月
何から切り取った写真かは不明です。おママには木製のお人形たちがとても可愛らしく見えたのでしょう。)
*ある昼下がり
私はおママの作業机の前で、貼り絵の写真撮影をしていました。
すると、リビングダイニングの方で、おママが何やらごそごそ動いている気配がします。
あちこち引出しを開けては、
「ないわ、おかしいわ」
と言い募っております。
耳をすまして様子を伺えば、おママは新聞のテレビ欄を見たくて、眼鏡を探しているようです。
「そんな所にはないよ。有るとしたら、こっち!」
ジジはお帳面、算盤、財布の三点セットがしまわれている戸棚を指さしました。
しかし、有りません。
実はおママの老眼鏡は作業机の引出しの中にあります。
私はその真ん前に居るのだから、教えてあげなきゃぁ。
「お母さん‼️何を探しているの?眼鏡?」
私の声を聞きつけて、おママがこちらを向きました。
「あら?なに?」
「何ではなくて、眼鏡をお探しなんでしょ?」
するとおママは今の今まで眼鏡を探していたのに、
「えっ?眼鏡?眼鏡がどうしたの?」
どうしたも、こうしたも…。
「お母さんが眼鏡がないないと言っていたから…。」
「眼鏡?どうもしないわよ。お父さんが眼鏡を探しているの?」
「いえ、探しているのはお母さんでしょ。」
「お父さん‼️眼鏡探しているの?」
ジジはテレビを見ながら無言でした。言葉もない心境でしょう。
それとも聞こえなかったかしら?
一応、私はおママに老眼鏡を手渡しました。
「お母さんは新聞を読みたかったらしいわよ。」
「そうなの〜?」
すっかり他人事ですが、おママは眼鏡を掛けて新聞を手にしました。
*考えてみれば…。
これまでも、おママは話題が変わると直前の内容は完全に抜けました。
しかし、今回は一連の眼鏡についての会話の途中です。
探しながら、探している記憶が失われるなんて❗️それも、数分の間の事です。
私は目眩がしました。
事の重大さに、私はオネコに注進しました。
すると、オネコの見解は次の通りです。
「不意に別の事が発生したら、そっちに気を取られて、忘れたんじゃない?」
えーっ!
話題はひと続きだと思います。
別の事なんて起きていないでしょう…。
しかし、どの時点で眼鏡を探している記憶を劇的に失ったか?
それを考えてみると…。
私が声を掛けた時でした。
私は一連の会話の中で声を掛けました。
しかし、これが「別の事」に該当したようです。
おママは私の方を向いた時点で、
直前の行動がリセットされてしまったのですね。
これからは、注意しなければと思いました。
おママの注意がこっちを向いた途端に、やっている事を忘れるとしたら…⁉️
おママが何かをやっている時に声を掛けるのはやめた方がいいですね。
ところで、老眼鏡はおママの目に合わなくなっているのかしら?
掛けて新聞を眺めて、一言。
「もうだめだわ〜、私は目が全然見えないのね〜」
そ、そうなんですか…。
貼り絵をしている時は見えているようですが……⁉️
おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。