(2017年5月16日 アルツハイマー型認知症の診断から約10年3ヶ月)
*おかずは鮭の切身
ある日の事…。昼食のおかずは冷凍の鮭の切身でした。
冷凍庫から出して、電子レンジで解凍。
実家ではその後、再びシリコン鍋に入れ、レンジ強で加熱します。
生の切身より冷凍の方が一手間掛かります。
ま、そのくらいはジジでも大丈夫ですが、一応…、
「解凍した切身魚は速やかに加熱しましょう」
と、私は念を押しました。
*献立が見えないから
電子レンジで調理していると、おママには見えません。
だからでしょう。おママはどうしたらいいか分からず、手持ち無沙汰でした。
「お昼はどうしたらいいの?」
「大丈夫。今やっているから。」
「お昼は何にするの?」
「今日はね。もう鮭(サケ)を調理していますから。」
すると、おママはちょっと考えて、
「サケって何よ。」
ジジ、さすがに一瞬言葉を詰まらせます。
「魚の鮭だよ。」
「サカナノサケ?なんだか分からないわ。」
「何言っているの、魚の…。」
私はちょっと思い当たることがあり、口を挟みました。
「お母さん。今日はシャケの切身を食べるのよ。」
すると、おママは合点がいったのか、
「なんだ!シャケね❗️」
と明るい声で言いました。
*サケとシャケの違いには諸説あるそうですが
鮭(サケ)とシャケの違いは何なのか?
生きている状態または捌く前の状態が鮭、
切身やフレークになったものをシャケと言う説。
単に鮭をシャケという方言説。などなど。
でもはっきりした区別やいつ頃から2通りの言い方がされたのか、定説はないそうです。
私の記憶では、おママは前者でした。その影響か、私にとってシャケとは鮭の切身の事でした。
一方、海を泳いでいるのは鮭(サケ)です。「鮭の産卵」を「シャケの産卵」とは言いません。
それでも不思議ですね。
もともと、おママの頭の中では、鮭もシャケも同じ魚を指していました。そして長年両方を使い分けてきたのに、今は鮭だけ分からなくなったのですから。
もしかして…?
おママの海馬に残るわずかな幼年期の記憶に、こんな光景があるのかもしれません。
食卓を彩るシャケの切身があり、私の祖母が『シャケよ〜』と言っていた…。
それはおママが泳いでいる鮭を知る前の事か…。
まぁ、これは私の想像です。
6月18日追記……オネコの記憶によれば、私達の祖母(おママの母)は切身をシャケと言っていたそうです。
⬇️鮭とシャケについて