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アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母が作った貼り絵たち。

記憶についてNo.15 家族を忘れて⑧(2016年11月)

 

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            (2016年11月2日  診断から約9年9ヶ月)


  長期記憶に翳りが見えたと言っても、おママの暮らしはあまり変わりませんでした。変化といえば、秋風の吹く頃に毎日のように野菜スープも作らなくなったことか…。

  それでも、おママは毎日精力的に貼り絵に取り組んでいました。興に乗れば続けて何枚も制作するのです。

 

それは11月の初めの事。

  オネコとおママは恒例の歌舞伎鑑賞をしました。

この日、オネコとしてはいつもと違って少々困った事もあったもですが、概ね母娘は楽しめたようです。
歌舞伎座からの帰途、地下鉄に乗っていると、乃木坂、赤坂あたりを通ります。
おママは子供の頃、赤坂に住んでいました。
それで赤坂はおママの最も古い記憶に紐付く地名なのです。
「懐かしいわ〜。今度行ってみたいわ〜。」
おママは地下鉄がこの辺りに来ると、必ず昔の話をしていました。
この日もやはり赤坂の家の話になりました。

(でもでも…。以前に比べて…。
昔のこともかなり忘れちゃっているようだわ。
おママが小学生の頃に亡くなった父親の事もよく分からないみたい…。
それに終戦直後どこに住んでいたかも、だいたい目黒辺りかなと出てきたが、ほとんど覚えていない…。)

そして、おママはオネコに聞きました。
「それで、あなたは子供の時にどこに住んでいたの?」
オネコは一瞬言葉を失いましたが、
「赤根台団地よ…。」
「そうなの〜。」

(あー、私が誰かよくわからないのだろうな。
わかってそうな時もあるのだが、その時その時で違うみたい。
しかし、誰なのかわからない人と電車に乗っていて不安じゃないのか?
誰だかわからないけど、親しい信頼できる人と思っているのか?)

そして不思議な事に、もちろんオネコの名前は出てきませんが、5〜6分後の電車の乗り換え時には、娘と認識されているような感じがしたそうです。

読んで下さり有難うございます。続きます。

 

今回のepisodeは⬇️この時の帰り道の話でした。

harienikki.hatenablog.com