(2020年9月11日 アルツハイマー型認知症の診断から約13年7ヶ月)
*歌舞伎座を前にして
先週の火曜日、私は歌舞伎座に行きました。
久しぶりに歌舞伎座の外観を見上げて、ちょっと胸が熱くなりました。
おママの影響で、私もオネコも歌舞伎が好きです。
しかし、今年はコロナ流行の影響で殆ど観にいかれませんでした。
本来、2020年は歌舞伎界、歌舞伎ファンにとっては大事な年だったと思います。
大名跡の市川團十郎襲名披露興行が、5月6月7月の3ヶ月に歌舞伎座で予定されていました。その後、襲名披露の巡業が組まれていたのです。
それなのにコロナ禍。
歌舞伎公演は4月からすべて中止となり、それがまるっと流れてしまった…。
(↓)この写真は東京都に緊急事態宣言が出されてすぐの頃に撮影したものです。
歌舞伎座建替中を除いて、こんなに絵看板も立看板も真っ白な歌舞伎座を、私は見たことがありませんでした。
8月に歌舞伎興行が再開されても、私はコロナ禍で、なんとなく気分は沈みがちでした。それで、歌舞伎から足が遠のいていたのです
先月、オネコから
「10月は仁左衛門さんが『石切梶原』をやるわよ」
と言われ、ちょっとその気になりました。
オネコにチケをポチしてもらい(姉にネットでチケットを取ってもらい)ました。
地下鉄東銀座駅の改札を出て、直結している木挽町広場から地上に上がるエスカレーターに乗った時、ふと思いました。
おママはいつから歌舞伎を観に行かなくなったのだろうかと…。
*歌舞伎が好きだったおママ
おママは2017年の秋まで、よくオネコと歌舞伎を観に行っていました。
ほぼ毎月でした。
「認知症になっても何か楽しいお出掛けが出来たら良いね」
とオネコが考えて、チケットを取り、おママと観劇してくれました。
歌舞伎はおママにとって一番馴染み深い芸能です。子供の時から、よく母親と一緒に歌舞伎座や東劇に行ったそうです。
勿論、戦中はそれどころではありません。でも、戦後になって歌舞伎が復興してからは、戦後の名優の舞台を楽しみにしていたようです。
「子供の頃から馴染んでいたものは、結構覚えているものだ。」
実際、診断から10年近く、おママはすぐ忘れてしまうにしても、観てるその時は歌舞伎を楽しめていました。
でも症状が進んで、2019年からは一度も観に行っていません。
もはや、長時間座って観ているのも酷だし、あれこれ繰り返し言い出しては他の観客の迷惑です。これも仕方ないかな…。
(↓)おママがオネコと歌舞伎鑑賞を楽しんでいた頃。
(↓)行かれなくなった頃。
おママは歌舞伎に行かれなくなってしまった。
おママはもう歌舞伎を覚えていないだろうなぁ。
でも、おママの為に観始めたオネコはすっかり歌舞伎にハマってしまいました。
私は日本舞踊を習っていたから小学生の頃から祖母やおママと観に行き、歌舞伎は大好きです。
祖母もおママも好きだった歌舞伎。
祖母は25年ほど前に亡くなり、おママも観に行かれなくなってしまったけど、
オネコと私が観続けている。
これも形のない遺産だと思うこの頃です。
私が先週火曜日に観たのは、
十月大歌舞伎の第三部は『梶原平左誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)』
通称「石切梶原」です。
With コロナの中での歌舞伎興行についてや感想などもあれこれ書きたいのですが、長くなりそうなので、それは次回にしましょうか…。
m(_ _)m
*本日アップの貼り絵
これも「お題方式の貼り絵」です。
「お題方式の貼り絵」とは…。
昨年の夏ぐらいから、おママは貼り絵に使う紙を自分で1から探して選ぶ事が難しくなってきました。それで、あらかじめ私が「お題」と称して何種類かの紙を用意することが多くなりました。そして、他に組み合わせする紙片をおママに選んでもらってから、切り貼りを楽しんでもらうようになりました。私はこれを「お題方式の貼り絵」と呼んでいます。
9月11日。おママの作業机から、こんな包みを発見しました。
開けてみると…。いろいろ入ってますね。おママったら良いなぁと思う紙片を寄せ集めた感じです。
こんな紙切れは面白いですね。
おママがオネコと頻繁に歌舞伎座へ行っていた頃に、会場内で貰ってきたチラシの部分です。失われたところは、おママが過去の貼り絵に使ったのでしょう。
昨年の6月におママはこのような貼り絵も作っていましたから、チラシは2枚あったのかも知れません。
(2019年6月14日 おママ制作)
下記の記事の一番下の方に、大きい写真があります。
「良いものを見つけたぞ」
私はそれをすかさず「お題」にしました。
組み合わせにおママが選んだのは、小津和紙で購入した葉模様の千代紙でした。
<動画①>
切り抜いた葉模様をどう配置するか、指で動かしながら吟味しています。
この段階で、一応本人は構成を完成させたようです。
「これでアレしちゃう。」
「アレ」とは、糊付けの事です。
(↓)しかし、糊付けしている間に、決めた構成が崩れてしまいます。
<動画②>
葉模様の位置が変わって、物足りなく感じたおママは、更に葉っぱを切り抜きました。
それを糊付けしたら、糊で汚れた手をスカートで拭きやがり💢
更に他の小さな葉を落として、恥ずかしながら、私が叫んだところで動画は終わります。
ジジかオネコが背後で何か作業をしており、そんな雑音が入っています。
結局、その後も葉っぱは増えていきました。(^O^)
単純そうなデザインです。
しかし、葉の散らし加減など、おママなりにかなり熟考していました。
おママは歌舞伎を忘れても、その名残はしっかり残っています。
そして、この作品が生まれました。
おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます