(2021年2月11日 アルツハイマー型認知症の診断から約14年)
*夕食を食べながら
ジジは96歳。それなりにボケております。
それでも、頭より足腰の方が衰えてしまって、
現在は外出時は車椅子、家の中でも歩行器がなければ歩けません。
食欲はまぁまぁありますが、最近は暑かったりするので少し量が減りました。
ジジと私が夕食を食べていると、ジジはふと疑問に思ったようです。
「お母さんは病院で元気にしているの?」
ジジの言うこの「お母さん」て誰だろう。病院は病気の人が入院する場所です。そもそも『病院で元気にしている』と言う発想がおかしいです。
「あの…、お母さんって誰のことですか?」
私はジジに訊ねました。ジジのお母さんの事かもしれません。
「あの、ほら、フキコさん(おママの名前)ですよ。」
それならおママの事ですね。
「あぁ、おママなら病院ではなく老人ホームに入っていますよ。」
「へぇ。でも、もう一人いるでしょう。病院にいる人が…。」
うーん。ジジの頭の中では、やはり混乱が生じているようです。
「だれ?家族で病院に入っている人は居ませんよ。」
するとジジは怪訝な顔をしました。
「えーー、じゃぁ。あの人は?」
「あの人って誰?」
「ほら、あれがああして、あの人だよ。」
多分、ジジは自分の母親のトミさんを思い浮かべているようですが、どうも自分の妻と母親がごちゃごちゃになっているようです。でも、私は補足する気にはなりませんでした。
「『あれ』じゃ分かりませんよ。」
「うーーん。そうだね。」
悩めるジジはご飯を口に運び、しっかり咀嚼してから飲み込みました。それから再び疑問を呈しました。
「それで今、私の奥さんは誰になっているのかな?」
あらら。
(↓)ジジの頭の中では、例の後妻業の話がまた蒸し返されているのでしょう。
「今も昔もフキコさんですよ。」
「ふーん。今はフキコさんなんだね。
ぐるぐると頻繁に変わるから分からなくなったよ。」
ジジは「ぐるぐる」と言いながら人差し指を「ぐるぐる」と回すので、私は思わず笑ってしまいました。
「『ぐるぐる』って、現実は『ぐるぐる』変わっちゃいないわよ。ずっとお父さんの奥さんはフキコさんじゃないの。」
「そうなのか?それなら別に良いけどさ…。」
全くジジは納得していないようです。
ちょっと酷かも知れませんが、無慈悲な私はハッキリ言いました。
「ぐるぐるしてるのは、お父さんの頭の中だけよ。」
「えーー。」
ジジは驚愕しておりました。
*本当にぐるぐるしてる
ふと思いました。
真実も現実も「ぐるぐる」はしていないのですが、ジジの頭の中は本当に「ぐるぐる」しているのでしょう。
ジジは最近、記憶力も認知力も衰えてきました。
本当の事があやふやになってきたから、
「こうかも知れない」
「ああかも知れない」
「いや、本当はそうだったんじゃないか」
ジジの頭の中で目まぐるしく様々な考えに囚われるのなら、まさに「ぐるぐる」状態です。
そう思うと、ちょっとジジが気の毒になりました。
(あまり無碍に否定しないようにしよう。)
チャーコは少し反省しました。(^◇^;)
*本日アップの貼り絵
2021年2月5日の作品です。
私が実家にいない時に、おママ1人で取り組んだので、制作途中の写真も動画もありません。でも(↓)この「お題パック」を使ったのだと思います。
*「お題方式の貼り絵」と「お題パック 」について
2019年の夏ぐらいから、おママは貼り絵に使う紙を自分で1から探して選ぶ事が難しくなってきました。それで、あらかじめ私が「お題」と称して何種類かの紙を用意することが多くなりました。その他に組み合わせする紙片をおママに選んでもらってから、切り貼りを楽しんでもらうようになりました。私はこれを「お題方式の貼り絵」と呼んでいます。
私が実家に行かない時でもおママが貼り絵に取り組みやすいように、「お題」と台紙にするハガキをチャック付きのビニール袋に入れておく。これが「お題パック」です。
おママの貼り絵を見てくださり,ありがとうございます。