アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

貼り絵制作へのサポート

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(2019年1月29日  アルツハイマー認知症の診断から約11年11ヶ月)

 

 やはり年月には勝てない

おママがアルツハイマー認知症の診断を受けてから、今年の2月で丸12年になりました。それ以前から続けてきたハガキに貼り絵をする作業は、この間ずっと続けてきました。

おママは今現在も、自発的に作業机に向かい、

自ら使いたい紙を選んで貼り絵を制作する時もあります。

されど12年。

夫であるジジが父親に思えたり、既に亡くなった兄さんだと勘違いしたり、オネコと私の姉妹については娘を産んだ記憶すらない有様です。

そんなおママですから…、

自分が長年何を続けて制作してきたかも、日常生活の中では全く記憶がありません。

 

それでも、昨年あたりまでは、あまり家族のサポートは必要ありませんでした。

しかし、今年に入った頃から、おママはボンヤリすることが増えてきました。

放っておくと、何日も貼り絵をせずにロックングチェアーに揺られているか、テレビを漠然と見ているようになってしまいます。

認知症歴12年の85歳高齢女性ですから、仕方がないと言えば仕方がないのです。

 

脳トレ

おママが貼り絵を続ける事に、私達家族はそれなりに拘っています。

おママが自分でお箸を持って食事をしたり、自ら感じ取ってトイレで排泄できる。

この暮らしの水準を保つためにも、貼り絵はおママにとって、唯一楽しめる脳トレだと思うのです。

 

紙を見て、どう切ろうか考える。

実際ハサミを使って切ってみる。

その切ったパーツと、他の紙や切れ端を組み合わせて構成を考える。

決めたら糊で貼る。

ところがパーツを持ち上げて糊をつけたら、どこに貼るはずだったか忘れる事もあり、糊付けしながら再構成していく。

出来たら家にいる人に見せに行く。

そしてその日の日付を聞きながら裏面に記入する。ファイルに収納する。

 

私は脳科学者ではないから確実な事は言えませんが、どの工程でも、それなりにおママの脳味噌はフル回転しそうです。

 

サポートはきっかけ作り

ともすると無気力になりがちなおママのために、ちょっとしたサポートをしています。

 

① 毎日、朝食の後に一段落をしたら、ジジがおママに声掛けしてくれています。

しかし、声掛けしても、おママはすぐお忘れになります。

それでジジは台紙となるハガキ1〜2枚を引出から作業机の上に出して、おママの目に留まりやすくします。

これがなかったら、おママはとっくに貼り絵が出来なくなっていたでしょう。

調子のいい時のおママは、白いハガキの上に貼り絵をし始めます。

集中できるのは30分〜40分くらい。目の前にある細かい色紙や包装紙の切れ端や、気になった紙からインスピレーションを得て制作をします。

 

しかし、どうもスイッチが入らない事もあります。

そんな時は、せっかくジジが準備したハガキを机にしまいこんで、またボンヤリさんに逆戻りとなってしまいます。

 

② 白いハガキを作業机に出しておくだけではダメでな事が3日間以上続いて、おママが貼り絵に向かわなかったら、もう1段階サポートしています。

 

かつておママが好んで貼り絵に使った千代紙や包装紙、おママが気を示しそうな紙をハガキとセットにして作業机に並べておきます。

こうしておいても、おママは全部引出しに片付けてしまう事もあります。

しかし、運が良ければ、おママは自分が制作途中で置きっぱなしにしたと思い、貼り絵を始めます。記憶がないのを逆手に取るようで気は引けるのですが…。(^O^)

 

実は本日アップの貼り絵もそんなサポートの末に出来たものです。

⬇︎1月28日の夕方。こんな風に並べて置き、私は帰宅しました。

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おママは翌日1月29日に完成させたのですね。

結果は私の思いもよらない仕上がりになりました。面白いなぁと思います。

 

不思議なことに、1回か2回このサポートをすると、おママは以後10日間くらいは自分で紙を選んで貼り絵をするようになります。適当な刺激になっているにかしらね…。(^O^)

 

おママがいつまで貼り絵を続けられるか、正直わかりません。

でも、しばらくは時々こんなサポートもしてみようと思います。

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。